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異世界アラサー転移者の冒険  作者: モッチ~
第4章 迷宮都市ガリアム編
63/70

第56話 1人で迷宮へ

1人で迷宮に入った。

昨日と同じ部屋、同じ3つに分かれた通路。まずはホッとした。何故かと言うと、入る度に地形が変わるとかデンジャラスな迷宮だったらどうしようと思ってたからだ。元の世界ではそういうゲームに散々苦しめられた事がある。

だがその可能性はないと今分かった。

そうと分かれば技能【地図製作】があるから道に迷って遭難という事はない。

気持ち的にも余裕が生まれた。


ところで色々試したい事があったから迷宮に来た訳だが、具体的には職業や技能の取得についてと魔法の確認についてだ。

まず職業や技能の取得についてだが、この世界に来て職業や技能を取得するタイミングはというと俺が何か行動を起こした後、もしくは【技能取得】により敵から奪うのどちらかだった。

という事は色々な行動をして試せば他にも職業や技能を取得できるのではないか?他人から見れば「あいつ何やってんだ?」っていう事でも取得に繋がるかもしれないと思った。

そして魔法の確認については、魔法でモンスターを倒せるのか?何か使えば倒せるのか?まぁ威力の確認って事だ。他にも先程エドワード達と会った時に知った属性の関係性なんかを確認したいと思っている。


通路を進み、広めの部屋に出るとゴブリンがいた。昨日とは違い1匹だ。

とにかく思いつく事を試してみようと思う。

俺はその辺に転がっている石を拾い、ゴブリンに向かって投げた。

球技が大の苦手だった俺が投げた石は明後日の方向へ飛んで行った。しかもゴブリンに気付かれた。

こっちに向かって歩いてきた。急いでもう一度石を拾い投げる。

今度は真っ直ぐ飛んでったがギリギリ当たらなかった。

するとこっちに向かって走り出した。やばい、焦ってもう一度石を拾い投げる。三度目の正直だ。当たれ!!


コンッ!?


今度は当たった。しかしノーダメージみたいだ。立ち止まり頭をポリポリ掻いている。


チロリ~ン♪

○下級技能【投擲】を取得しました。


下級技能【投擲】投げ技術が向上する。


あっ覚えた。やはり条件に合った行動をすれば取得するのは間違いないようだ。

ゴブリンがまたこちらに向かって走り始めたので剣を構えた。ゴブリンの攻撃を冷静にかわし剣で胸を一突きして倒した。

ドロップアイテムを拾って次の部屋に進む。また同じようにゴブリンが1匹いたので【投擲】がどんなもんか石を拾って投げてみた。

石はゴブリンに当たったものの【投擲】を取得する前とさほど変わらない気がする。

その後何度か石を投げて近づいてきたところを剣で倒した。

俺はここで1つの仮説を立てる。技能には熟練度があるのではないか?という事だ。

【初級剣術】もそうなのだが、剣を扱えば扱うほどうまくなっているような気がするのだ。

ドロップアイテムを忘れずに拾い、次の部屋に進むと今度はコボルトがいた。

ゴブリンの時と同じように石を拾い投げて近づいてきたら剣で倒す。2匹以上の時は最初だけ【投擲】を使用してから遠慮なく倒す、もしくは気付かれていなければスルーする。これを繰り返した。


5~6回同じ事を繰り返していると何だか投げがうまくなってるのを実感する。

中学の時まで野球やってました、って位の腕前にはなったんじゃないかと思う。

しかし所詮投げてるのは石なのでダメージは期待できそうにない。

待てよ!【投擲】なんだから別に石じゃなくてもいいじゃないか。

俺はドロップアイテムで拾ったコボルトの短剣を次の部屋で出てきたゴブリンに投げた。

投げたコボルトの短剣は見事ゴブリンの額に刺さり絶命した。

驚いた、まさかの一撃かよ!

そして更に驚いた、ドロップアイテムを拾いに行くとゴブリンからドロップした木の棒と俺が投げたコボルトの短剣が落ちていた。

つまりコボルトの短剣は投げても消費されなかったという事だ。

元の世界にいた時、投げナイフで敵を倒した後にもったいないからナイフはちゃんと回収するっていうような話を聞いた事あるようなないような。

投げ武器を消費しないって事は、簡単にモンスターを倒せる無限ループができるんじゃ・・・

ウキウキしながら他の部屋へ進む。

次の部屋で遭遇したのはジャイアントアントだった。すぐにコボルトの短剣をジャイアントアントに向かって投げる。


カキーンッ!


コボルトの短剣は命中したものの高めの金属音と共に弾かれ地面に落ちた。

無限ループ終了・・・

そうだよな、モンスターの種類によっては容姿も急所も違うのだから【投擲】だけでスイスイと蹴散らしていくなんてうまい話はやっぱないよな。

落ち込む俺にジャイアントアントが突っ込んでくる。

ギリギリのところで避けた。もう少し反応が遅れたら危なかった。

そうだ、次は魔法を試そう。


「ファイアボール。」


呪文を唱えると火の玉が現れた。それをジャイアントアントに投げつける。

火の玉はジャイアントアントに直撃し、炎に包まれて絶命した。

一撃だった。

【投擲】で倒せなかったのを一撃で倒した。魔法の威力が高かったからか?火が弱点だったからか?

はたまた、FランクでLv.1だからという可能性もある。

何にしろもっともっと試して経験してくしかないだろう。

とは言っても俺の最大MPは51だからファイアボールは17回しか使えない。ホイホイ乱発していいほど余裕はない。

レベル上げも必要だ。

あ~色々やる事だらけだ。


ぐぅぅぅぅ~~~


俺のお腹が鳴った。

どの位迷宮に入っているのだろうか?時計がないので分からない。

だいぶ進んだが次の階への階段はまだ見当たらない。

そもそも奥に進むにつれて他の冒険者を見かけなくなった。

もしかして階段のある場所とは違う方向へ進んでいるのか?


「とりあえず帰るか。」


何か急に帰りたくなってきて思わず呟いてしまった。

先にお腹を満たそうと思ったが、今いるのはセーフティゾーンではないのでモンスターの不意打ちをくらう可能性がある。屋敷に帰るまで我慢する事にする。

ナナの手料理が楽しみだ。

帰りは魔法属性の関係性について試そうと思う。

丁度ファイアボールとウォーターカッターが使える。火と水だから同時にぶつけるとどうなるか気になった。

ゴブリンを発見したので気付かれないように小声で呪文を唱える。


「ファイアボール。」


火の玉が現れたので投げる前に次の呪文を唱える。


「ウォーターカッター。」


・・・・

・・・・・・・・

発動しない。同時発動はできないのか?

もう一度試す。


「ファイアボール。ウォーターカッター。」


やっぱ発動しない。

あっゴブリンに気付かれた。

もう一度だ、【投擲】の時も三度目の正直でできたじゃないか。

しかし呪文を口に出して唱えるの結構めんどくさいな。しょうがないのか?

もう一度呪文を唱える。


「ファイアボール。ウォーターカッター。」


火の玉と水の刃が現れた。やった!成功だ。

それらを同時にゴブリンへ投げつける。

火の玉と水の刃は勢いよく飛んでいき、ゴブリンに当たる直前にぶつかって小規模の水蒸気爆発が起きた。

肝心のゴブリンは無傷だった。

これは火の魔法と水の魔法の相性が悪く相殺してしまったという事だろう。

無傷だったゴブリンはファイアボールで倒した。


チロリ~ン♪

○中級技能【連続魔法】を取得しました。

○上級技能【無詠唱】を取得しました。


中級技能【連続魔法】2つ同時に魔法を発動できる。

上級技能【無詠唱】呪文を口で唱えなくても発動できる。


確認だけのつもりだったのに技能を取得してしまった。

しかもかなり使えそうな技能だ。【連続魔法】はモンスター2体を同時攻撃できるだろうし、仲間を回復しながら攻撃魔法で応戦するというのも可能だろう。【無詠唱】は口に出さなくていいから何の魔法を使うか敵に気付かれないのが素晴らしい。


その後、何度かモンスターと魔法で戦いながら入口まで戻ってきた。

ステータスで残りMPを確認すると13だった。

なんか計算が合わないと思ったが、前にナナがHPやMPは自動で回復すると言っていたのを思い出した。

残されたMPと迷宮にいた間の体内時計でMP回復速度を計算すると約10分で1回復する感じだ。

長く迷宮に潜るなら回復手段は必要だろう。

俺達は3人共魔法も近接戦闘も一応できるから役割をローテーションさせて戦えばいいんだろうけどね。

思いの外、色々と収穫のる迷宮探検だった。

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