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異世界アラサー転移者の冒険  作者: モッチ~
第4章 迷宮都市ガリアム編
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第51話 家探しその1

ヘレンに書いてもらった地図を見ながら親戚が経営してるという不動産屋に向かう。

今思うとこの世界に来てから出会った人々は優秀な人が多いように思う。

ナナもそうだし、リーンの町の宿屋の女将ラーシャや迷宮受付のヘレンもそうだ。

俺が知りたい情報を持っていたし、聞いた事は色々親切に教えてくれる。

まぁナナは時々変な事言い出したりするけど、戦闘能力も高いしあれはあれで優秀だ。

そんな事を考えながら歩いているとあっという間に不動産屋へ着いた。

周りに比べて立派な店構えをしており、壁には物件のだろうか?チラシが貼られている。

不動産屋ってやっぱ儲かるんだろうか?

店の看板には[物件探しは俺におまかせ!]って書いてある。店名じゃないじゃん・・・

とりあえず扉を開けて店に入ったが、人気がなかったので声をかけてみる。


「すみませーん。」


その後、2階からドサッと音が聞こえ、ドタドタドタッと人が階段を下りてきた。


「ハァーハァー・・・いっいらっしゃい!・・・ハァーハァー」

「大丈夫か?」


階段を下りてきたのはガッチリ体型で立派な髭を蓄えたおっさんだった。

【解析】で見てみると名前はモーリス、歳は48、人族で職業は【商人Lv.16】だった。

土地鑑定士とかだと思ったがただの商人だった。技能も【鑑定】しかない。

って事は【鑑定】で土地も調べる事ができるのか?


「すまんね、昼寝しすぎちまって。ところで家探しかい?」


昼寝って・・・暇なのか?ひょっとして不動産屋は儲からないのか?


「ああ、迷宮で受付をしているヘレンさんに紹介されてきたんだが。」

「何?ヘレンの紹介か?じゃあとびきりいい物件紹介しないとな!」

「よろしく頼むよ。」

「俺はここの店主のモーリスってんだ、よろしくな!」

「俺は亮助、それにナナとあんずだ。」


2人は軽くモーリスに向かって会釈する。

しかしモーリスはヘレンと全然似てないな。だいぶ遠い親戚なんだろう。


「ところでどんな物件を希望してるんだ?」

「とりあえず今後パーティーメンバーも増えていくだろうから広い方がいいよな。ナナとあんずは何か希望あるか?」

「亮助様の選ぶところなら何処でも構いません。しかしあえて言うなら台所がちゃんとしているところがいいですね。」

「私は庭があるといいなぁ。」

「そうなるとアパートじゃなくて一戸建てだな。賃貸、いや購入して持家の方がいいのか?ガリアムで一戸建ては相場でどの位だ?」

「亮助さん達の希望に近い条件で賃貸の場合は、1ヶ月銀貨5~20枚位が相場だな。一戸建てを購入する場合は金貨10枚~ってとこだな。」

「ちなみに全部中古物件だよな?」

「そうだ。」

「結構するもんだなぁ。」


かなり条件を良くし過ぎただろうか。

賃貸派か持家派で言えば俺は断然持家派だ。俺が持家を選ぶ理由は家賃をずっと払い続けるのがもったいないというのもあるが、一番大事なのは自分の物だと実感できるからだ。変なこだわりのようだけど元の世界でもそうだった。

しかし金貨10枚は払えない金額じゃないが、ホイホイ簡単に出してもいい金額でもない。

考え込んでる俺に気を利かせてナナが話しかけてきた。


「亮助様、とりあえず物件を見せてもらいましょうか?」

「そうだな、そうするか?」


ここで悩んで考えていても仕方ないので物件を見学させてもらう事にした。

モーリスには条件に合う物件を数件に絞って案内してもらう。

1件目に案内されたのはモーリスの店から少し歩いた位置にあった。

まだ新しい感じの建物で、あんず希望の庭もある。ナナ希望の台所も申し分ない。5~6人で住んでも大丈夫そうな位大きい。2人は目をキラキラさせながら見まわしている。

ただその物件は賃貸であった。

とりあえずどれ位の家賃なのかをモーリスに尋ねる。


「この物件は1ヶ月銀貨20枚だ。商業区から近い立地に加えて、築年数がまだ比較的新しいからな。」

「いい物件だが賃貸だし、候補に入れておくよ。次へ行こう。」

「次は一戸建ての売家だ。」


2件目は街の端にある住宅街にあった。

家自体の広さは先ほどと同じくらいだが庭が狭い。しかも同じ家が10件ほど立ち並んでいる。

モーリスに説明を聞いた。


「この辺りは5年ほど前に分譲された区画だ。街の領主が住民増を狙って計画したんだ。住民が増えれば税収も増えるからな。」

「なるほどな、って住民税取られるのか?」

「当たり前だろ、街の運営は税金で成り立ってるんだから。」


そりゃそうだよな。俺の考えがあまかった。

異世界はただの夢と希望のファンタジーではないというのを思い知った瞬間だった。

改めてこの世界についてもっと知らなければいけないと思った。


「ところでこの家はいくらだ?」

「金貨35枚だ。これでも安いぞ、新築だったら金貨80枚位だからな。」

「全然買えないぞ。ちなみに店で一戸建ては金貨10枚~って言ってたが金貨10枚の家はどんなのなんだ?」

「金貨10枚の物件か?あれは・・・う~~~ん・・・」


俺の問いかけにモーリスは何やら考え込んでしまった。

その後、「紹介してもいいか」とか「いや、でもなぁ~」とか呟いている。

待てよ?この場合、異世界物ラノベだと何やらいわくつきの物件を紹介されるとかそんな流れなんじゃないのか?

そしてトラブルに巻き込まれていくっていう・・・鉄板ネタじゃないか!

どうしようって考えていた矢先、


「実は金貨10枚の物件はいわくつきでね。紹介していいもんか迷ったんだが、とりあえず見てみるか?」


ほら来たーーー!やっぱそうじゃないか。

これは回避するべきだよな?そうだよな?って思ってたらナナに先を越された。


「亮助様、場合によってはすごくお得かもしれませんよ。見せてもらいましょう。」


おいおい、既に見学する気満々だよ。

俺は一応モーリスにいわくつきの理由を尋ねた。


「しかしいわくつきってどうなんだ?殺人事件があったとか?」

「その物件の所有者が15年ほど前から行方不明なんだ。」

「行方不明がいわくつきの理由なのか?」

「そうじゃない。誰もいないはずなのに窓に人影を見たとか明かりを見たとか噂が絶えないんだ。それが理由さ。」

「それって行方不明になってないんじゃないのか?」

「実際そう言う人がいたから領主が家を調査をしたんだ。しかし誰もいなかったんで行方不明と断定されたのさ。断定されてから10年で法に則り町の所有に移して販売を開始したんだが、まったく買い手がつかないんだ。」


何かやばそうな臭いがプンプンするぞ。

誰もいないはずの家に人影や明かりって怖すぎる。俺はそういうの苦手だ。

この世界はモンスターが存在するんだ。アンデット系とかいても不思議じゃない。

やだなぁ~、幽霊とかゾンビとか出てきても戦いたくないなぁ~。

そんな事を考えていたら、ナナが話しかけてきた。


「亮助様、モーリスさんと話をして物件を見せてもらう事にしました。行きましょう。」


いつの間にか話を進められていた・・・

一応奴隷なのに俺の許可を取らずに何で勝手に進めるんだよ。

まぁ、そうは言ってもナナ達にいなくなられたら俺はこの世界で色々困ってしまうけどな。

ナナ達がいなくなっても困らない位に立派になったら大きな顔してやろう。


俺は少しモヤモヤしながらいわくつき物件に向かって歩き始めた。

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