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異世界アラサー転移者の冒険  作者: モッチ~
第3章 貴族の娘と盗賊団編
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外伝第3話 ポンコツ女神の異世界勧誘

妻サイドの物語です。

女神に頼んで離婚届を届けてもらってから数日後。


「あははははっ!うひひひひっ!あ~可笑しい。」


下品な笑い声がリビングに響きます。

笑い声の主はあの女神です。

あれからというものの女神がちょくちょく家にやってきます。

私に夫の様子を教えてくれたり、私の相談に乗ってくれるのは嬉しいのですが、用が済むとそのまま居座ってしまいます。今は家のリビングでお笑い番組を見ながら笑い声を上げている、という状況です。

他に仕事はないの?暇なの?とか、そんな笑い方するの?とか色々突っ込みたい事がありますが、これでも相手は一応女神です。どうしていいか分かりません。


「あははははっ!」

「あの~女神さん?」

「あっはい、すみません。何でしょうか?」

「用が済んだなら帰ってもらえませんか?」

「すみません、向こうに帰っても娯楽がないのでついテレビに見入ってしまって。」


ああ、この女神ポンコツだよ。


「もう来なくてもいいですよ。」

「そんな事言わないでくださいよ。私暇なんです、相手してくださいよ。」


ああ、ポンコツの中のポンコツだよ。


「もう夫は帰ってこないんだし、これ以上来られても迷惑なんですよ。」

「そうですか、すみませんでした。」


女神はガクッと肩を落としながら1階のトイレに入り帰っていきました。


実は、夫が異世界に行ってしまってから警察の捜査は一応続いています。

離婚届を異世界の夫に届けてもらいましたが、こちらの世界では実際には離婚していないのです。

それは夫が行方不明扱いのままなのにいきなり離婚届を出しに行くなんてどうかしてると周りから思われてしまうからです。

夫が異世界に行ってしまったと話をしたところで、信じてもらえないだろうし変人扱いされるだけでしょう。


翌日。


「良子さ~ん、おはようございます。」


また女神が来ました。


「もう来なくていいって言ったのに何しに来たんですか?」

「そんな無愛想にしないで下さいよ。」

「用がないなら帰ってください。」


私は女神をトイレに押し込んで帰らせようとしました。


「ちょっと待って、待って!実はですね、良子さんも異世界に行ってみたくありませんか?」

「は?」

「異世界ですよ。」

「何か企んでますよね?」

「企んでるというか、あなたに異世界の監視をお願いしたいなぁと思ってですね。」

「息子もいるんだし行けませんよ。」

「息子さんも一緒に行けばいいですよ。最大限の援助はしますので。」

「監視なんて自分ですればいいじゃないですか。」

「天界からの監視は常にしてますが、直接行って監視をして欲しいんです。神が直接行くのはNGなんですよ。昨夜他の神々と会議をした結果、色々と事情を知ってしまったあなたに白羽の矢が立ったんです。」

「でも、離婚宣言しちゃったし、夫と鉢合わせなんかしたら・・・」

「大丈夫、そこは神の力で歳も容姿も思いのままです。」


そんな神の力の使い方していいのでしょうか?突っ込みたくなりました。

夫が異世界転移に巻き込まれたのはこの女神がポンコツだったからなのに、そんな簡単に神の力使うなら夫を元の世界に戻してほしいです。


あれ?でも離婚届け渡しちゃったけど異世界に行って夫に会えばやり直せるんじゃないでしょうか。

このままこの世界で暮らしてても、夫が突然行方不明になって残された可哀そうな妻として生きてく事になります。

でも異世界に行けばまた夫と一緒に暮らせるかもしれない。

今更ながら離婚届を届けてもらったのは失敗だったかと後悔しています。

なんでもっと早く異世界に誘ってくれなかったのでしょう。


「あの~、監視って具体的には何をするんですか?」

「定期的にこちらから指示を出しますのでその通り動いてくれればいいんです。」

「でも息子が一緒だと大変じゃないですか?」

「その辺は考えてありますから大丈夫です。」

「夫に会っても問題ないですよね?」

「監視の事を秘密にすれば会ってもいいです。しかし離婚を突き付けた以上会ってもまた同じように接する事ができるか分かりませんよね。」

「でも会いたいんです。」

「とりあえず良子さんの意志は聞けたので、ちょっと準備をしてまた来ますね。」


その後、女神は1階のトイレから帰っていきました。

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