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異世界アラサー転移者の冒険  作者: モッチ~
第2章 旅立ち~リーンの町編
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外伝第2話 夫が異世界でよろしくやっていたので離婚する

妻サイドの物語です。

翌日、昨日と同じ時間にトイレの前で待つと光り始めたので中に入りました。

息子はまだ寝ていたので一人です。

女神と名乗っていた女性がこちらに近づいてきて話を始めました。

私も聞かなきゃならない事が色々あります。


「昨日は突然申し訳ありませんでした。あれから落ち着いて考えてみましたか?」

「かなり混乱しましたけど大丈夫です。詳しく聞かせて下さい。」

「まず昨日も申し上げましたが、ご主人が居なくなったのは異世界に転移したからです。」

「何故夫が異世界に?」

「うっかりたまたまです。」

「うっかりたまたま?(ラノベ情報だけど)異世界に行くのは何かしら原因があるんじゃないの?何か才能があったとか、異世界にとっては特殊な存在だったとか。」

「残念ながらうっかりたまたま、つまりミスです。」


夫はなんて運が悪いんだろう。確かに異世界物ラノベが大好きだし、異世界に行ってみたいと言ってた事があったけど、まさか選ばれたんじゃなく女神のミスで行ってしまうなんて。

それから私は一番重要な事を聞いてみました。


「夫が元の世界に戻れないとはどういう事でしょうか?」

「異世界転移・転生は一方通行なのです。それは私達が強制的にそうしています。」

「どうしてですか?」

「異世界に行った物が元の世界に戻ると問題が起きます。それは能力です。異世界で得た能力をそのまま使う事が出来るのです。それを阻止する為に一方通行にしています。」

「じゃあ女神が戻そうとすれば戻れるんですか?」

「残念ながらあなたのご主人が戻るのは不可能です。すでに申し上げましたが、ご主人は正式な異世界転移で行ったのではありません。通常は召喚者が異世界人を召喚します。そして選ばれた異世界人がまず女神である私の所に転移してきます。そこで能力を授け、あちらの世界に転移します。ご主人の場合は私のミスで本来選ばれる事のないご主人がたまたま転移してしまったという訳です。しかも女神である私の所をすっ飛ばして。私の所に来ていないという事は一方通行を解除してご主人を戻す事が出来ないという事なのです。この先私がご主人に干渉する事は不可能なんです。」

「本当に戻る方法はないんですか?」

「申し訳ありません、ないんです。」


何て事だろう。もう夫に会えないなんてこれからどうすればいいのか。夫は今どうしているのだろう。


「それで夫は無事なんですか?」

「一応大丈夫です。やっつけ仕事でしたが能力を授ける事はできたのでいきなり死ぬ事はありません。まぁどんな能力を得たかは慌てて授けたので適当になってしまい分かりませんが。そうだ、この水晶玉を通して転移した日からの様子を見る事が出来ますよ。会話は出来ませんけどね。」

「すぐに見せて下さい。」


女神が何かを呟くと水晶玉が光り出しました。水晶玉の中に映像が映し出されます。

その中に夫の姿がありました。なんかダイジェスト放送のように映像が流れていきます。

すると、モンスターと戦う夫。犬耳の少女を助けた夫。その母親に誘惑されてる夫。母娘を奴隷にした夫。母娘にキスをされる夫。三人で楽しそうに買い物をする夫。森でとんでもないモンスターに襲われる夫。また誘惑されキスされる夫。蔓に絡まれた母娘を助けながらニヤニヤしている夫。母娘の裸を凝視している夫。エトセトラ。

何これ?どういう事?

ものすごい形相でぶつぶつ言っている私を気遣って女神が話しかけてきました。


「あの、大丈夫ですか?」

「五月蠅い!!!」

「すみません。」


先程まで夫の事を心配してたのに、もう会えないと悲しんでいたのに、そんな感情はすべて吹き飛んでしまいました。

むしろ心の底から怒りが込み上げてくるのがハッキリと分かります。

女神がビクビクして話を続けます。


「私がですね、あなたに会いに来たのは謝罪をする事、それともう一つあるんです。」

「何?早く言いなさい!」

「私に怒らないで。」

「あなたがミスったからこんな事になってるんでしょ?ってごめんなさいね、取り乱してしまって。あなたを今更責めてもどうしようもないのに。」

「いえ。それでですね、あちらの世界には神のお告げという物がありまして、いわゆる神託というやつです。言葉を伝えたり、限定されますが物を送ったりする事が出来ます。」

「それは何でもいいんですか?」

「本当はかなり限定されるんですが、今回は特例で殆どの物は大丈夫なようにします。」

「ちょっと待って。用意してくるから。」


私はトイレを出て部屋に入りパソコンを付けてとある用紙を印刷しました。その用紙に色々書き込み、判子を押す。証人の部分もでっちあげになってしまうが記入はしておきました。異世界だし関係ないでしょう。

今は便利な世の中です。こんな物もネットで手に入れる事ができるのですから。

そう、これは離婚届です。

私はこの離婚届を女神に託すことにしたのです。

何故離婚届なのかって?

勿論先程の映像を見て怒り心頭したのもそうなんだけど、もう戻ってこれない夫が不憫でならないので気休めかもしれないけど自由にしてあげようと思ったから。

でも女とよろしくやってるのは許せないので厳しめの内容で離婚の趣旨と今私に起こってる出来事を細かく手紙に書いて離婚届と一緒に封筒にしまいました。

私は女神に手紙と離婚届を渡してこう言いいました。


「たまには主人の様子を知りたいから来てちょうだい。」


すると女神が、


「分かりました、また来ますね。」


そう言いかえし、離婚届入りの手紙を託された女神は私に深くお辞儀をして去って行ったのです。

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