第34話 勇者の屋敷その2
勇者の屋敷に来てから勢いのまま鎧とかを装備したままで食事までしてしまった。
俺達は部屋着に着替える事にした。
相変わらずナナとあんずは俺の目の前でどんどん脱ぎ始める。
メイドさんが待機している廊下に出て着替えるわけにはいかないので、俺は後ろを向いて着替え始めた。
「もう、亮助様ったら見てもいいんですよ。」
「うるさい!」
「本当は見たいんでしょ?」
「うるさい!」
こんなやり取りをしながら着替えを済ませた。
部屋にある立派なベッドに腰掛けて一息つく。
「亮助様、大丈夫?」
「何がだ?」
「勇者様の話を聞いてかなり動揺してたよ。」
「ああ、もう大丈夫だよ。ありがとう、あんず」
あんずの頭を撫でてやる。ナナが恨めしそうにこちらを見ている。
あれっ?前にも似たような事あったよな?
そうこうしている内にメイドさんが風呂の準備ができたと呼びに来た。
早速向かうとそれはもうすごかった。男湯と女湯分かれてる。温泉旅館みたいだ。
ナナとあんずがガッカリした様子だったが気にせず分かれて入った。
中に入ると脱衣所も大きかったが風呂もかなりの大きさだった。まさに温泉。
すると湯気の向こうに誰かがいるのに気付いた。
「ようやく来たか。」
「大吾さん先に入ってたんですね。」
俺は体を洗いながら会話を続け、洗い終わると湯船に浸かった。
「すごいじゃろ?この風呂は。」
「風呂は貴族とかしか入れないって聞いてたのであらためて大吾さんのすごさが分かりましたよ。しかもこんな大きな風呂だとは思いませんでした。」
「そうじゃろ、そうじゃろ。やっぱ日本人なら大浴場じゃからな。」
「混浴にはしなかったんですか?」
「お主意外とスケベだのう。でもその辺はちゃんと線引きしておるよ。まぁ一緒に入りたければ入ればいいだけだしのう。」
「そうですよね。しかしこのお湯はどうやって用意してるんですか?魔法ですか?」
「いや、魔法ではない。水魔法で水を出して火魔法で加温すれば出来ない事もないが、魔法だと効率が悪すぎるのじゃ。魔鉱石は知ってるか?」
「少し話で聞いた程度ですが。」
「水の魔鉱石で水を生み出し、火の魔鉱石でお湯にしてるんじゃよ。」
「なるほど!」
「まぁ、ち~~~っとばかし金がかかるがのう。」
「こんな立派なお風呂をごちそう様です。」
その後も勇者大吾と色々会話をしながら異世界で初めての風呂を堪能した。
湯船から上がり体を乾かして服を着る。ナナとあんずと合流する。
一方女湯では・・・(ナナ視線)
私とあんずは人生初の風呂に感動していました。
今までは井戸の水で体を洗うだけでした。
裸になり湯船の前ではしゃいでしまいます。お風呂に入れる日が来るなんて夢のようです。
「お母さん、これがお風呂なんだね。」
「ええ、私も初めてだわ。」
2人の後からもう1人入ってきました。
勇者大吾様のメイドの1人でメイド長を務めているロザリーさんです。
人族で歳は30、白い肌、スラッと伸びる長い脚、綺麗な茶髪、大変美しい方です。
「お2人はお風呂が初めてなのですね?」
「そうなんです。ありがとうございます。」
「お礼は大吾様におっしゃって下さい。私はメイドにすぎませんので。」
「分かりました。」
「まずは体を洗ってください。それがマナーなのです。」
3人共体を洗ってから湯船に浸かりました。
そこで初めて気付きましたが、ロザリーさんは奴隷ではありませんでした。
「勇者大吾様の近くには奴隷はいらっしゃらないのですか?」
「ええ、私は昔大吾様に助けられた事があって恩を返すために奴隷になると言ったのですが、奴隷じゃなくてもいいと聞かなくて。」
「そうなんですね。」
「それで奴隷にはなってませんが、奴隷と同じ様に働いています。他のメイドも大体同じです。」
「あの~、夜の事聞いてもいいですか?」
「えっ?ああ営みですか?ちゃんと交代制でご奉仕してますよ。大吾様はご高齢ですがまだまだ健在です。あっ大吾様にはこの話をした事は黙っててくださいね。」
「もちろん話したりしませんので安心してください。でもいいですね。私達はないんです、というかしてもらえないんです。」
「もしかしてあっち系ですか?」
「いえ、確実にそれはないのですが、元の世界に妻がいるからと断られます。」
「もう戻れないのにですか?」
「踏ん切りがつかないみたいです。」
「まぁこれから説得してくしかないんじゃないですか?」
「そうですよねぇ。」
「あんずも頑張るよ、お母さん!」
「そうね!」
今夜からまた頑張ろう!2人でそう意気込んだのです。
湯船から上がり体を乾かして服を着たら亮助様と合流します。
俺はナナとあんずが出てきたのに気付き、一緒に部屋に戻る。
気のせいだろうか?2人とも何か知らないけど気合が入ってて怖い。
もう遅いのでベッドに入り寝る事にした。
キスはしない事、夜這い禁止を言い渡し、寝た。
ナナとあんずがものすごく落ち込んでいた。この反応をするって事は絶対に夜這いを企んでたな。
厳しめに言ったおかげか、その夜は何もなかった。




