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異世界アラサー転移者の冒険  作者: モッチ~
第2章 旅立ち~リーンの町編
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第32話 冒険者ギルド

一通り買い物の用事は済んだので中央区にある冒険者ギルドに向かう事にする。

目的は冒険者登録とパーティーの申請だ。これでクエストも受けれるようになるし、しっかりとお金を稼げるだろう。


買い物をしている時に気になった事があったのでナナに聞きながら俺達は冒険者ギルドに向けて歩き出した。


「そういえば店主が客に対して自己紹介とかしないもんなのか?」

「人それぞれだと思いますよ。この町は規模は大きいものの旅人にとっては通り道でしかありません。ギルドクエストの発注数もそんなに多くないので長く滞在する冒険者も少ないんです。お得意様になる人もあまりいないのであえて名乗らないのではないでしょうか。」


確かに元の世界では店の人から名乗ってくるなんて普通ない。しかし異世界では○○の店へようこそ!とか○○と申します、今後ともごひいきに。とかそういう感じになるかと思って俺は若干期待していた。多分それはゲームとかの中だけの話なのだろう。

どのみち勇者との食事が済めば明日か明後日にでも迷宮都市へと出発するつもりだ。

長く滞在する迷宮都市で店主とかとそういう信頼関係は築けばいいだろう。


それからしばらく歩き、中央区に入ると商業区とは違い人は少なくなっていった。

冒険者ギルドは先ほどの武器・防具屋やアイテム屋と違ってそこそこ立派はたたずまいだった。

観音扉を開けて中に入ると正面に謎の石板が置いてあり、横のカウンターに若いボーイッシュな感じの女性が座っていた。

その女性がこちらを向いてニコッと笑顔で話しかけてきた。


「ようこそ冒険者ギルドへ。初めてのご利用ですね。」

「はい、そうです。」

「申し遅れました、当冒険者ギルドにて受付をしているプリムと申します。本日はどのようなご用件でしょうか?」


あれ?自己紹介された。そういう風に指導されてるのかな?


「冒険者登録とパーティーの申請を行いたいんだけど。」

「かしこまりました。登録はそちらのお二人もされますか?」

「ええ、3人共登録します。」

「それではこの記入用紙に必要事項をお書きください。」


俺はこっそりと【解析】でプリムさんのステータスを覘くと、名前はプリム、齢は21、人族で職業は【武道家Lv.18】と表示された。

え?武道家なの?って突っ込みそうになるのを我慢して、3人で渡された用紙に記入していく。この世界の文字を知らないはずなのに何故か理解出来た。更に文字を書くことも出来た。不思議だ。

記入項目は簡単な事だけだった。名前、性別、年齢、種族、これだけだ。

記入した用紙をプリムさんに渡すと少々お待ちくださいと言って奥の部屋へ入って行った。


しばらくしてプリムさんが名刺位のサイズの鉄のプレートを持って戻ってきた。

プレートについての説明を始めた。


「こちらが冒険者の証であるプレートです。プレートを持って念じてみてください。個人情報が浮かび上がります。」

「浮かび上がれって念じればいいのか?」

「そんな感じです。」


念じてみるとプレートに薄く光る文字が浮かび上がった。名前:亮助 性別:男 年齢:33 種族:人族 職業:【旅人Lv.6】 ランク:Fと書かれている。

俺は一瞬ドキッとした。職業や技能が全部表示されたらどうしようかと思った。どうやら表示されるのはメイン職業のみのようだ。技能は表示されない。ナナとあんずも同じだった。

ナナやあんずに家名がないから分からなかったが、名前のみの表示なのは隠蔽の指輪の効果か元々名前しか表示しないのどちらかだろう。

万が一、全部表示されて誰かに見られたら大騒ぎになるかもしれない。

こういう事にはもっと慎重になろうと反省した。

プリムさんが説明を続ける。


「冒険者にはランクがありまして、F~Aその上にSランクがあります。亮助様達はなりたてなのでFランクからのスタートです。Fランクは鉄、Eランクは銅、Dランクは銀、Cランクは金、Bランクはプラチナ、Aランクはダイヤモンド、Sランクはオリハルコンのプレートに変わっていきます。」

「どうしたらランクが上がるんだ?クエストか?」

「早い話そういう事ですね。その他にもクエスト以外でモンスターから町を救ったとか、色々な事を考慮してランクアップが決まります。ちなみに犯罪を犯したり、わざとクエストを失敗して評判が落ちるような事をするとランクダウン、最悪は登録抹消となります。」

「なるほど、それとパーティーの申請はどうやればいいんだ?」

「そこにある石板にパーティーを組みたい方全員で触れて念じれば組む事が出来ます。逆に解散と念じれば解散できます。」

「パーティー組んだ状態でメンバーが死んでしまったらどうなる?解散できないままなのか?」

「いえ、死んでしまった時点でその方はパーティーから外れます。残った方で石板に触れて念じれば解散できます。」

「パーティーの最大人数は?」

「無制限です。」

「無制限?」

「正確には同時に石板に触れられる人数です。」

「多い方が戦闘で有利か?」

「あまり多くてもデメリットしかありません。1人あたりの取得経験値が少なくなる、ドロップアイテムやクエスト報酬で揉める、人数が多すぎて戦闘で動きづらい等です。」

「そういう事か。それは大変だよな。」

「亮助様のように奴隷がパーティーメンバーだとドロップアイテムやクエスト報酬は主人に所有権がありますので揉めませんね。」

「色々勉強になったよ、ありがとう。」


パーティーメンバーの人数は無制限なのは驚いた。5人とか6人位だと思ってた。石板に同時に触れられる人数って言ってたから詰めれば30人位はいけるかもしれない。この世界とんでもないな。

奴隷の取得物が主人に所有権があるのはラノベでも同じだな。やはりパーティーメンバーは奴隷で固めた方が利口か?

色々考えているとプリムさんがこちらに聞いてきた。


「さっそくクエストの受注をされますか?」

「いや、これから用事があるからまたにするよ。」

「かしこまりました、またのお越しをお待ちしております。」


勇者との約束もあるので俺達は冒険者ギルドを後にした。

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