第28話 勇者再び
とても長く感じた夜が明け、朝になった。起き上がると先に起きていた2人が突然テントに入ってきてキスをされた。勿論口にだ。村にいた時もそうだがこの世界ではこういう風習なのか?
ナナに聞くと色々話をでっちあげてきそうなので、あんずに聞いてみた。
あんずが話では風習ではなくナナと決めた事だと言っていた。そういえば昨夜ナナが娘と色々決めたって言ってたっけ。
何を決めたのか詳しく聞いた。
・おやすみ、おはようのキスをする事
・毎回話し合って交代で夜伽をする事
この2つだそうだ。
俺は寝ていて気付かなかったが、おやすみのキスもされているらしい。奴隷が主人に黙って何て事考えてるんだ?
あれ?何であんずは今の所夜伽に来てないんだ?って聞いたらまだ成人してないから、と言っていた。一応成人の定義を聞いたら、他の種族が同じか分からないが男は強ければ成人、女は子作り出来るようになったら成人という概念らしい。
大体歳でいえば14~16位だと言っていた。
俺はいつも通り心の中で妻に一生懸命謝っておいた。
朝食に携帯食料を食べ、早々に森を抜ける為出発した。
昨日の勇者大吾が使った聖剣の効果はかなり大きかったようで森を抜けるまでに遭遇したモンスターはコボルト2匹とジャイアントアント2匹のみだった。
サイクロプスと会わなかったとしてもあのまま進んでいたら何十匹と遭遇していたか分からない。
森を抜けると街道沿いは広い草原が広がっていた。時折モンスターの姿が見えるがこちらに向かって来る訳ではないので無視して進んだ。
遠くの方にリーンの町が見える。このペースで進んでいけば夕方には着きそうだ。
更にしばらく進むと俺達がやってきた森の方角から何かが飛んでくるのに気付いた。
「亮助様、向こうから何か飛んできたよ。」
「あれ?あのドラゴン、昨日の勇者じゃないか?」
「本当ですね。他の現場が片付いて戻ってきたんでしょうか?」
ドラゴンに乗った勇者大吾がこちらに気が付いたようで、俺達の目の前に降りてきた。
「やあ、無事に森を抜けられたようだの。」
「昨日はありがとうございました。ところでどうかしたんですか?」
「儂は仕事が一段落したからリーンの町でのんびり過ごすつもりじゃ。あそこには自宅があるんじゃよ。」
「へぇ、そうなんですか。」
「もしよかったら一度立ち寄ってくれんか?一緒に食事でもしながら色々話を聞きたいんじゃよ。そうじゃな、明日の夕食はどうじゃ?」
「分かりました。」
なんかよく分からんが勇者に食事を誘われた。話の後半の方は勇者の目線がナナとあんずの胸に集中していた。ナナを説得して、胸触らせてやるから聖剣をくれ、とか言ってみようかな。
流石に聖剣はくれなさそうだが、お金なら払いそうだ。家を持ってるくらいだしな。
勇者が俺達をドラゴンに乗せてリーンの町まで連れて行ってくれないかと思って聞いてみた。
「こいつは召喚魔獣だから召喚者の儂の言う事しか聞かん、無理じゃ」
「そうなんですか。」
「代わりと言ってはなんじゃが、これをやろう。これがあればリーンの町の門番を素通りできるぞ。」
そういって金貨より大きめのメダルを勇者大吾から受け取った。それは勇者のメダルというものらしく、かなり信用のあるものらしい。くれぐれもなくすな、と注意された。
そのまま勇者大吾はドラゴンに乗ってリーンの町へ飛んで行った。
「俺達も日が暮れる前に町に着くように急ごう。」
そう言って歩き始めた矢先、モンスターが襲ってきた。
襲ってきたのは植物型のモンスターでこちらに近づくにつれ、長い蔓をうねうねさせながら進んできた。
「テンタクルフラワーLv.4、数は3匹です。」
「お母さん、私あいつは苦手だよ~。」
「あんず、大丈夫よ。亮助様、触手に捕まらないように気を付ければ平気です。一気に倒しましょう。」
「こちらは3人、あっちも3匹、1対1でやるぞ。」
俺達はそれぞれ1匹ずつ倒しに切り掛かった。
名前にフラワーって入っているが花は咲いていない。咲いてる奴もいるんだろうか?
俺はとにかく長く伸びて攻撃してくる蔓を避けながら本体に攻撃して意外にあっさりと倒すことが出来た。
ところが俺の後ろで「きゃっ」と2人の声が聞こえ、振り向くとナナとあんずが触手に捕まっていた。まさかのお約束、触手プレイだ。蔓に体を締め上げられその特徴的な部分が強調されていた。
俺は身もだえ、顔を赤らめる2人を見てついつい見とれてしまった。とりあえず脳内保存しておく。
「亮助様すみません。油断しました、助けて下さい。」
「助けて~。」
2人を締め上げるのに夢中になっているテンタクルフラワーを次々と葬った。
全てのテンタクルフラワーが沈黙した後、2人を締め上げていた触手を解いてやった。
「あぁん・・・」
「あっ・・・」
触手を解いてやってる時、2人が色っぽい声を出してきた。こういう時俺は、勇者大吾に出会って元の世界に帰れないと言われてから、クソッ俺が結婚してなければ!と思うようになっていた。
でも心の中で妻に謝るのはちゃんと忘れていない。
テンタクルフラワーのドロップアイテムは魔物の蔓だった。何かの素材だろうか?あんずが回収して俺の所へ持ってきた。
2人が少しダメージを負っていたようなので、ポーションを渡そうとしたらナナが必要ないと言ってきた。
「HPは時間が経てば少しずつ自動的に回復していきます。少しのダメージならポーションは必要ありません。」
「そうだったのか。MPも同じか?」
「はい、同じです。」
よくある異世界物ラノベに出てくる自動回復は能力ではなく、この世界では回復量に個人差はあるが全ての生き物が持ち合わせているらしい。
その後、モンスターに遭遇する事もなく、しばらく歩くとリーンの町の門の前に着いた。




