第21話 出発前夜
買い物を終えて、ナナとあんずの家に戻ってきた。
【無限倉庫】から部屋着と下着を取り出し、とりあえず2人に部屋着に着替えるよう指示する。
2人ともその場で脱ぎ始めたので注意した。
「ねぇ2人とも、もっと恥じらいを持ちなさい。」
「亮助様の前ではいいんです。」
「もう見られた事あるから大丈夫だよ。」
ああ、そうですか。
しかしナナもあんずもそれは問題発言だぞ。
2人の裸体をチラチラ見ながら俺も部屋着に着替え始めた。
いつものごとく心の中で妻に誤りながらね。
予想以上に買い物に時間がかかった為、もうじき夕方になる。
お腹が空いたので最後の残っていた肉じゃがっぽい料理とサラダを3人で食べる。
残念ながら行商人は携帯食料以外に食材は売っていなかった。
村では食料は自給自足できているらしく、生活必需品を売りに来ていたようだ。
明日村を出発したら食材を得て自炊するか携帯食料を食べるかどちらかになるな。
食事を終え、2人に自分のステータスを見るように言った。
2人とも驚いて言った。
「あっお母さん、私職業就いてるよ。」
「えっ・・・これは亮助様と同じ・・・」
あんずは職業を1つしか持っていないのと【解析】も持っていない為、【職業兼業(奴隷)】に気付かなかったようだ。
ナナの方は察しがいいようで、状況はすぐ理解したらしい。
でも一応説明はしておいた。
「【奴隷契約】した時に固有技能を取得したんだ。だからこんな状況になってるんだよ。」
「亮助様・・・すごい・・・」
「でも契約を解除すると元に戻っちゃうから。強制的に奴隷にしているわけじゃないから、今後契約解除して欲しいと思ったら遠慮なく言ってくれ。」
「そんな解除なんて絶対ありえません。」
ナナは言い切った。
あんずも隣でうんっうんっと頷いている。
外が暗くなってきたので俺は部屋に明かりを灯す。
「明日早い時間に村を出ようと思う。」
そう2人に伝えると少し申し訳なさそうにナナが言った。
「一応長い間村にお世話になったので先に村長に挨拶しておきたいのですが。」
「ああ、構わないよ。」
あんずには留守番させて俺とナナの2人で村長の家へ行くことにした。
火を灯したランタンを持って外に出る。村長の家までそんなに距離はなく、ナナの家の3件となりだった。
ナナが家の戸を叩くと大柄な男が出迎えてくれた。この人が村長らしい。
村長は見た目が屈強な戦士って感じの男だった。
ステータスを見ると名前はアポ。村の名前=村長の名前ってのはなんか昔RPGゲームっぽい。
職業は【村長Lv.15】で、歳はなんと50歳だった。
どう見ても20代位にしか見えない。
やっぱあれか?獣人はある程度の年齢までは若々しいっていう異世界物ラノベお約束の展開か?
そんな事を考えてるとナナと村長が話し始めていた。
「明日早朝、亮助様と村を出る事にしました。今まで私達を村で生活させていただいてありがとうございました。」
あんずの言葉に村長が返した。
「今まであの娘には辛い思いをさせてしまったな。村長として何もできず申し訳なく思っている。しかし皆も禁忌の子が怖いのだ、理解はしてやってくれ。」
意外にも村長はあんずを差別する村人と違って素晴らしい人物だった。
続けて俺の方に視線を向けるとこう言った。
「亮助殿、2人をよろしく頼む。」
「分かりました。」
簡単に挨拶を済ませ、村長の家から出ていこうとするナナの胸と尻を村長がいやらしい目で見ていた。
明日、村からこんな魅力的な女性がいなくなるんだ。当然見ちゃうよな。
ここに来る前に着替えさせておいて良かった。
家に戻る途中、アポ村長の見た目について聞いてみた。
「村長は50歳なのに見た目がどう見ても20代にしか見えなかったが犬人族は皆そうなのか?」
「犬人族は獣人の中でもどちらかというと戦闘が得意な種族です。犬人族以外にもそういう種族はいますが、長い時間戦えるように50~60歳頃まで若々しい肉体でいます。その後急激に老化が進むんです。」
「ナナもそうなるのか?」
「多分そうです。」
ナナは後20~30年はこのままの見た目なのか。素晴らしい。本気でそう思った。
家に戻るとあんずは先に寝床で寝ていた。
明日、日の出とともに出発しようとナナに伝えて俺達も寝ることにした。
明かりを消して横になった。
寝始めてからしばらくすると何故かお腹のあたりが苦しい。何かが乗っているのか?
手を伸ばしてみるとムニュッと柔らかいものを掴んだ。
「あぁん!亮助様大胆ですね。」
「うわぁっ!?ナナなのか?一体何をやっているんだ?」
俺が掴んだのは見る者すべての視線を釘付けにしていた、ナナのあの胸だった。しかも服を着ていない、生乳だ。
「奴隷になったんですから、夜伽をするのは当たり前ですよ。」
「いやいや、俺には妻がいるし必要ないから。」
「この世界にはいませんよ。」
「子供出来たらどうするんだよ!?」
「今日は大丈夫です。」
クッソ~、埒が明かない。神様助けて~って思ってたら、目を覚ましたあんずがランタンに明かりをつけて近づいてきた。
「ふぁ~~~むにゃむにゃ、お母さん達何してるの?」
俺とナナの光景を見て完全に目を覚ましたあんずがフリーズした。
そして俺に問い始めた。
「亮助様、お母さんに手を出したんですか?」
「いやいや、まだ一線は越えてないから。」
「まだって越えるつもりだったんですか?」
「いやいや、そんなことないから。」
「どうしてお母さんではなく、私じゃないんですか?」
「えっ何それ?そういう展開?」
とにかくナナに服を着させ、あんずを落ち着かせて寝るように指示した。
2人は不満タラタラって感じだったが「寝なさい、命令だ」と言って寝させた。
俺はいつもより余計に心の中の妻に謝ってから寝た。




