第13話 もろバレ
会話の途中でナナさんのお腹がグゥゥゥゥッと鳴った。
「あらやだ、ごめんなさい。恥ずかしい。」
ナナさんは顔を真っ赤にして言った。
無理もない、あんずが食べ物を持ってこないと食べれないんだもんな。
俺はお腹が空かせたナナさんに携帯食料を渡した。
やはりまともな物を食べてなかったんだろうか。すごい勢いで食べていた。更に技能【料理】を持っていないあんずの腕前は分からないが、今までは一体何を食べさせていたんだろうか?想像するだけで怖い。
俺も向かい合って一緒に携帯食料を食べる。
何から質問しようか考えていたところ、先に携帯食料を食べ終わったナナさんから話を切り出してきた。
「亮助様、あなたは異世界からの転移者ですね?」
いきなり話の核心を突いてくるとんでもない事を言い出したナナさんに驚いた。
俺は迷ったが素直に答えることにした。
「どうして俺が異世界転移者だと分かったんですか?」
「とりあえずあなたの【解析】で私のステータスを覘いて見てください。」
俺が【解析】の技能を持っている事も知っている。どうして・・・まさか!・・・
ナナさんのステータスを覘いた。
【ステータス】
名前:ナナ 性別:女 年齢:28
種族:犬人族 職業:下級職業【村人Lv.8】
装備
右手:なし
左手:なし
体:布の服
頭:なし
腕:なし
足:なし
その他1:なし
その他2:なし
その他3:なし
HP 95/95
MP 12/12
腕力 11
耐久 14
体力 23
敏捷 15
魔力 4
知力 6
魅力 12
器用 20
幸運 5
下級技能
【超嗅覚】【超聴覚】【料理】【農耕】
中級技能
【解析】
上級技能
なし
固有技能
なし
称号
なし
下級職業【村人Lv.1】
【職業技能】
下級技能【農耕】作物を育てる技術が向上する。
【パーティー効果】なし
【パラメータ恩恵】体力+3 器用+3
【パラメータ成長】LvUP毎にHP+5 MP+1 体力+1 器用+1
【料理】料理の技術が向上する。
「えっナナさん28歳なんですか?てことはあんずを産んだの15歳!?」
「亮助様、驚くのはそこではないですよ。」
「すみません、【解析】持ってるんですね。」
「はい、失礼は承知でステータスを覘かせていただきました。」
異世界からの転移者だとばれないようにした方がいいかなと思っていたのにいきなりばれた。俺のステータスにそれが分かるような事が記されてるのだ。
ナナさんの話によると異世界人だと疑うポイントが2つあるそうだ。
1つ目は家名、家名を持つのはそれなりの地位の人間か異世界人のどちらからしい。俺が貴族とかに見えないので異世界人だと疑ったそうだ。
2つ目は固有技能、これを複数持つ者は異世界人しかありえないそうだ。
それって【解析】使われたら思いっきりバレるじゃないか。
「他にもいくつか気付く点はありますよ。まず黒目黒髪は異世界人の可能性が高いと言われています。はるか東方の国に黒目黒髪の一族がいるらしいのですが、異世界人の末裔じゃないかと伝えられています。他には異世界人は獣人や他の亜人にすごく友好的らしいです。」
「なるほど、ナナさんの知識には恐れ入りました。」
「主人が冒険者でしたので多少詳しいんですよ。」
なおさら納得だ。
ナナさんも昔冒険者だと聞いてたが、ご主人も冒険者だったのか。ナナさんは【村人Lv.8】だからそんなにベテランではなさそうだけど、もしかしたらご主人はレベルの高い冒険者だったのかもしれないな。
色々話し込んでいたら時間があっという間に過ぎてしまっていた。今日はもう遅いので明日また色々聞くことにした。
藁の寝床はあんずが使っているので、キャンプセットから毛布を2枚取り出して床に敷き、ナナさんと少し距離を置いて横になった。




