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異世界アラサー転移者の冒険  作者: モッチ~
第1章 異世界の母娘編
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第9話 村へその1

あんずが渡した5食分の携帯食料を食べ終えて、無限水袋を返してきたので受け取る。

そして耳をピョコピョコ、目をキラキラさせながら尋ねてきた。


「亮助様は色々とすごいアイテム持ってるって事は、何処かの偉い貴族様か何かですか?」

「様は付けなくていいよ。俺は遠い所から来たただの田舎者だよ。」

「ダメですよ、命の恩人に様以外で呼ぶなんてお母さんに叱られちゃいます。」

「う~ん、それじゃあ好きに呼んで良いよ。俺はあんずって呼んで良いのかな?」

「はい、全然問題ありません。」

「それと堅苦しい敬語は使わなくていいからね。」

「それもお母さんに叱られるからダメです。」


あんず目線だが、どうやら無限水袋を含め俺が持っているアイテムはかなりレアな様だ。これから先むやみにあげたり渡したりしない方がいいのかもしれないな。

それと言われてすごく背中がムズムズしたが、まさか自分が様を付けて呼ばれる日が来るなんて思ってもみなかった。

何にせよ、最初に出会った言葉の通じる相手が可愛くて良い子で助かった。やたらに好戦的な奴とか、ツンデレ等クセの強い奴にもし出会ってたらと考えると恐ろしい。

俺はこのままあんずと一緒に行動して村を案内してもらおうと考えた。


「ところであんずはあそこに見える村から来たんだよね?俺はそこに向かう予定だったから一緒に行って村を案内してくれないかな。」

「えっ、でも亮助様は人族ですよね?私の村、アポ村っていうんですけど獣人の村なんです。絡まれたり追い出されたりする事はないと思いますけど、歓迎もされないですよ。」


早速クセの強い方々がいるようです。

しかし村に立ち寄らずにスルーしても何処へ行っていいのか全然分からない。

村に家族がいる以上あんずをこのまま連れまわす訳にもいかない。

村に立ち寄るしかなさそうだ。


「そうなのか?でも俺はあんずにとって命の恩人かもしれないけど人族は嫌じゃないの?」

「私も村では歓迎されている身じゃありませんから。」

「どういう事?」

「実は私、人族の父と犬人族の母から生まれたハーフなんです。昔から異種族間で生まれた者は禁忌の存在と言われてて、村では厄介者扱いなんです。」


あんずのステータスを見た時に疑問に思った半犬人族について納得した。

この世界では異種族間でも普通に子供ができるようだ。

異世界物ラノベだと異種族間では子供が出来ないから、人族の主人公が獣人・亜人美女とエッチし放題ってパターンがよくある。俺も当然そういうもんだと思ってたが、ここでは違うようだ。


「あんずは村に帰るんだろ?」

「はい、私の帰りを待っているお母さんがいますから。」

「じゃあ一緒に行こう。歓迎されないとしても命の危険がある訳じゃないでしょ?俺は色々と情報が欲しいんだよ。」

「分かりました。じゃあ一緒に村までお願いします。小さな村なので宿屋なんかはありません。なのでうちに泊まっていってください。あっお母さんなら大丈夫です。人族の父と結ばれる位ですから。それにお母さんは昔冒険者だったみたいで結構物知りなんですよ。」

「へぇ~、冒険者だったのか。」

「私が生まれる前ですけど。色々教えてくれると思いますよ。」

「それは助かるよ。それと出発する前にこれを装備しておけ。」


俺は【無限倉庫】に余っていた旅人のナイフとサンダルをあんずに装備させた。

【無限倉庫】から取り出す時、わざと旅人の鞄から出したように見せかけた。俺のラノベ知識では固有技能である【無限倉庫】を他人に見られるとまずいんじゃないかと思ったからだ。固有技能という事はある程度珍しい技能だと思う。珍しい技能を持っている事で犯罪とか厄介事に巻き込まれても困ると考えた。

まぁ相手があんずなら大丈夫だと思うけど、念の為だ。


「私なんかにこんな装備をいいんですか?」

「アポ村に着くまでにまたモンスターに遭遇したら大変だろ?」

「ありがとうございます。」


あんずは礼を言うとニコニコしながら旅人のナイフを鞘から抜いて眺めている。

元の世界からすると何とも恐ろしい光景である。


【ステータス】あんず

装備

右手:旅人のナイフ

左手:なし

体:布の服

頭:なし

腕:なし

足:サンダル

その他1:なし

その他2:なし

その他3:なし


「あっ!ちょっと待っててください。」


何かを思い出したようにあんずは先ほど倒したジャイアントバットの方へ走って行き、何かを拾ってきた。


「それは何だい?」

「モンスターのドロップアイテム、コウモリの肉がドロップしてました。ドロップアイテム知らないんですか?」

「少なくとも俺の住んでた所にはなかったよ。」

「そうなんですね。」


ドロップアイテムを知らない人族の男。

本来は俺の事を不審に思ったりするんだろうけど、あんずは何も聞き返して来なかった。そこまで深く考えていないのか、あえて聞いてこないのかは分からない。

モンスターを倒すと死体は消えてドロップアイテムが残るようだ。異世界ではお約束パターンである。


あんずからコウモリの肉を受け取って【無限倉庫】にしまった後、俺たちはアポ村に向けて出発したのだった。

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