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前世の私の姉が最強すぎる件について  作者: フライングマッシュルーム
3/4

戦場で・・・

なんとか書けました!

よろしくお願いします

 

 私には前世の記憶がある。

 

 少なくとも前世の私の生まれた国は平和だった。

 

 戦争をしないとスローガン掲げ、実施する素晴らしい国だった。


 けどこの世界は・・・・・・。



 

 今、自国に攻め込んできたのは隣国のフローリアス国。

 元々作物の実りの悪い土地の上に成り立っている国で、さらに今年は不作で食料の危機に陥ってしまった向こうは、最初は友好的な国に使者を派遣して援助を求めた。

 しかし、不運なことに今年は何処も雨天に恵まれず、不作で援助するだけの余裕はないと断られてしまったらしい。

 そのまま何の打開策も上がらないまま事態は餓死者が続出までに悪化していき、そんな何の支援もしてこない国に不満を募らせていた民衆がとうとう爆発し、各地で暴動が起こり始めた。

 それにより各地で食料の奪い合いが起こり、国の治安も悪化。

 内乱にまで発展していきそうなくらいまでに最悪の状況に追い詰められたフローリアス国の国王は、隣国の、つまり私の住んでいる国、リュートシア王国に戦争を仕掛ける表明をしたことで国内の争いを収めた。

 もともと、リュートシア王国とフローリアス国は非常に仲が悪い。

 不作の土地の上に成り立つフローリアス国、対してリュートシア王国は豊穣の土地の国。

 これだけの理由があれば十分だった。

 現に各国で不作となる中、リュートシア王国だけがその危機を免れることが出来た。

 そんな肥沃な土地の保有する国をフローリアス国は長年、喉から手が出るほど欲していて、リュートシア王国を手に入れようと幾度となく戦争を仕掛けてきた。

 そのため、二国の仲は修復不可能なまでに悪く、フローリアス国はリュートシア王国に支援を頼みたくても今までの事や国の沽券によりできなかったのだろう。

 

 しかし現代のフローリアス国の国王は穏健派で戦争はあまり好まない方で、彼の王が就任してからリュートシア王国とフローリアス国は一時休戦協定を結び、長きに渡る戦争に終止符を打ったはずだった。

 長年の戦争で疲弊しきっていたリュートシア王国にとっては願ってもいなかったことだろう。さらに休戦協定までに持って行ったフローリアス国の国王もなかなかの手腕だと思うが・・・。

 何かもっと他に方法はなかったのだろうかと考えられずにはいられない。




 再び戦争の火蓋が切って落とされた今、フローリアス国とリュートシア王国の国王はどんな気持ちなのだろうか―――――。

 


 「そこの研修生っ、そんな所でぼうっと突っ立ていると死ぬぞ!!」

 厳しい叱責で私を現実に引き戻したのは同行させてもらっている部隊の部隊長だった。

 「すみませんっ」

 いけない、目の前の戦場に目を奪われて要らぬ思考を巡らせてしまった。

 いくら交戦地点から離れているからって、いつ何が起こるかわからないのだ。 それにこんな所で私が何を考え感じても何も変わりはしないし、私はただ自分の命と言われた指示に従うだけだ。

 

 そう自分に言い聞かせて、私は取り出した指揮棒型の杖を振るってまず自身に防御魔法を掛けた。

 直後、交戦地点からこちらの方――――正確には私の方に向かって流れ弾と思われる火の玉が剛速球で飛んでくる。

 避けれない、そう感じた私は激突する衝撃に備えて咄嗟に頭を両手で覆った。

 激突する瞬間、ついさっき私の張った防御魔法が規則正しく発動し、火の玉を弾く。

 弾かれは火の玉はそのまま効果を失い宙に消えていった。

 その様を見た私はすかさず張った防御魔法の効果が切れてないか確認をしてホッと息をついた。

 「今の流れ弾を防ぐとは見事な魔法だ」

 「ありがとうございます」

 そう話しかけてきたのはさっきボーとしていた私を叱り飛ばした厳つい部隊長、私は素直にその言葉受け取りペコリと頭を下げる。

 「戦場への同行はこれで3度目になるがどうだ? 慣れたか?」

 「いえ、全然。 さっきの移動途中で見た死体を見てまた吐きそうになりました」

 「早く戦場になれた方だいいぞ。 でないと死ぬぞ」

 「・・・はい」

 

 ―――死ぬぞ。その言葉が私の中に反響してチラッと脳裏にあの殺人鬼の顔が浮かぶ。 転生して早16年経つが、未だにあの恐ろしい殺人鬼を忘れることが出来ない。

 そしてさっきの攻撃。あのままこの部隊長に声を掛けてもらっていなかったら、あの火の玉に当たって最悪死んでいただろう。 

 そう考えた途端ドッと嫌な汗が全身から噴き出る。

 やっぱり、戦争は決してしてはいけないものだなと実感する。



 「戦局は今どんな感じですか」

 早く終わらないかなと部隊長に聞いてみた。

 「そうだな、ここから見て五分五分と言った処か、このままだと長期戦になるのは間違いないな」

 それを聞いて私は暗澹とした気持ちでずっしりと体が重くなるのを感じた。

 「・・・それでは、もっと沢山の人が死んでしまいますね。」

 「覚悟の上だ。・・・だが彼女の部隊がここ居れば話は別だがな」

 「彼女?」

 「エメロ=クリスタ、最年少で宮廷魔導士にまで上り詰めた国内最強の魔導士。 戦場に降り立った時の彼女を皆、炎の戦女神と敬意を込めてそう呼んでいる。噂くらいは聞いたことはあるだろう?」

 「はい、まるでお伽噺の人物のような人ですね。 先日遠くからお顔を拝見させていただきました」

 

 あれは、丁度2週間前の2度目の研修の時だった。

 激戦の中、颯爽と現れた長い黒髪の、絶世の美女と呼ぶにふさわしい女性が澄んだ紅い炎の衣を纏って戦場を駆ける姿を私は場違いにも綺麗だと見とれてしまった。

 特に、向かってくる敵を赤い衣の袖を払うことにより蹴散らしていく姿が一番綺麗だった。

 綺麗で、それでいて胸を締め付けるような、何だろうこの感情は―――――?



 「多分、今回もまた長引くようなら前線で指揮を執っておられるオルサエル様が彼女を増援に呼ぶだろうな」

 オルサエル? なんかどっかで聞いた名前だな。 誰だっけ?

 「・・・、第三位宮廷魔導士様。エメロ様の上司だ。」

 多分、知らず知らず顔に「誰それ」と出ていたのだろう。ため息をつき、呆れたように教えてくれた部隊長に申し訳なくなる。

 「有名な方だぞ」

 「すみません、何分物覚えが悪い方でして」

 そう言うと、またため息をつかれた。


 「部隊長、報告があります」

 一人の魔導士が部隊長に近づき、控えめにそう言って耳打ちをする。

 「――――――分かった、今から後退すると私の部隊に伝令を出せ」

 「はっ」

 命を受けた魔導士が素早くその場を去る。

 「今言った通りだ、ここから先のあの高台まで後退するぞ」

 そういって部隊長が指さした方を振り返って高台の方を見る。結構遠いな。

 「何故ですか?」

 首を傾げる私に部隊長は嬉しそうに笑った。

 「噂をすれば、だな。 オルサエル様がエメロ様を呼ぶことに決めたらしい。前線で戦っている一部の魔導士がエメロ様の部隊を呼ぶために一度後退して召喚陣を敷くそうだ。それを阻止するために敵兵もなりふり構わずに雪崩れ込んで来るだろう。 私の部隊は君の他にも研修生がいるから安全地帯までの後退を命じられた」

 「そうなんですか」

 意外に早い決断だなと思った。この戦局を見ていていずれは呼ぶだろうなと思っていたが、こんなすぐだとは思ってもみなかった。

 「ああ、また彼女の勇姿を見ることが出来―――――、オホン。 準備が整い次第後退を始めるからそのつもりで」

 「はい」

 

 

 それからすぐに高台まで移動してさっきまで私達がいた場所を振り返って見てみたら、部隊長が言っていた通りそこは雪崩れ込んだ敵兵と味方の魔導士が激しい交戦を繰り広げていた。

 私がそこに気を取られている間に、誰かが歓喜に満ちた声を上げる。

 「見て、あそこっ!!」

 その声に釣られ私もそこを見る。淡い白色の光を放つ召喚陣、その光がいっそう輝いたかと思うとふと消え、替わりに誰もが待ち望んでいた十人にも満たない小隊がそこに姿を現していた。

 その先頭には長い黒髪の女性の後ろ姿があった。

 「エメロ=クリスタ様だ!!」

 興奮気味に誰もが声を上げ、彼女の名を呼ぶ。


 彼女は此方の声援に振り向くことなく、あの時の同じように紅い炎の衣を纏うと一人戦場の中心を目指して走り出す。

 途中、襲い掛かる敵をそのままの勢いで袖を振るって薙ぎ払うだけで歯牙にもかけない様子で一直線に走り抜けていく。

 

 ―――――――うん、やっぱり綺麗だ。 だけど・・・。

 あの時と同じように見とれながらも、胸を締め付けられる様なよく分からない感情が湧くのを感じる。

 何だろう、この感情は。あの人を見ているとなんだろう、なんかこう・・・・・・懐かしい?

 何だか・・・・・・コワい様な、・・・それだけじゃ無くて何か背筋を駆け上るような複雑な何かを感じる・・・・・・・?

 そうだ、そんな感じがする。

 


 うん、よく分からないけど、私はどうやら私はあの人の事が懐かしいような、なんかとてもコワいようなそんな感情を抱いているようだ。

 だけど、コワく感じるのは分かる気がする。

 だって、よくよく考えて、あんなに沢山の敵を一人で相手できるってどう考えても尋常じゃないし、もし私があの人の敵だったらって考えると、そりゃあもう、生まれたての小鹿のようにプルプルと震えちゃうよ。

 敵じゃなくてホント良かったね。

 

 「・・・終わる」

 彼女が現れてたったの10分程度。

 あっと言う間に大きく流れが変わった戦場、彼女はどうやら敵将を捕え、王手をかけた様だ。

 散り散りに撤退をしてく敵兵を私は静かに見送った。

 

 あれだけお互い苦戦しあっていたのが嘘のようだ。

 ともかく、私みたいなのがあの人に直接かかわることはないと思うけど、一要注意はしておこうと思う。

ありがとうございました!

次もよろしくお願いします!!

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