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遠い世界の献血者≪ブラッド・ドナー≫  作者: 紫苑
吸血鬼との邂逅
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第3話 明かされた真実

今回は少し長めです 目が疲れる前にこまめに休憩しましょう!

母―冬乃に父親を呼んできてと頼まれた俺は、父親の部屋へ向かった。

「父さん、母さんが呼んでるよー」

「ん?おぉ分かったすぐ行くよ」

・・俺はどう見てもこの人が勇者だとは思えない。

母さんはまだ賢者だと思えるかもしれないが。

御巫肇みかなぎはじめ

それが俺の父親の名前だ。

そして勇者の名前はオルヴェン・ウルヴェスト。

名前は全く似ていない。

勇者のパーティの詳細は知られておらず、名前だけが世間に残っている。

なので外見的な判断は出来ない。

「本当に父さんが勇者なのか・・?」

そう俺は小声でつぶやき、あれこれ考えながら父とリビングへ戻った。

「あなた、ちょっとこれを見てみて頂戴」

そう母が真剣な表情で手紙を父に渡した。

父も最初は普段通りの顔だったが、次第に真剣な表情になった。

「彩斗。お前に話しとく事がある。」

そう、父は言った。

「まず、父さんは実は勇者をやっていたんだ。そして母さんはそのパーティのメンバーの一人だったんだ。”賢者”とも呼ばれている。お前も一回は聞いたことがあるだろう?」

と、少し悲しげな表情で言った。

「っ・・やっぱりか・・。でも父さんたちはなんで俺に隠してたんだ?てかこの話は姉ちゃんは知ってるのか?」

「ああ。詩織は知ってるよ。昔からな」

「なっ・・!」

俺は信じられなかった。

俺だけが真実を知らないということに。

御巫詩織みかなぎしおり。俺の実の姉だ。

重度のブラコンでいつも俺にくっついてくる。

そんな姉が嘘をついたことはほとんどなかった。

そして隠し事も一切なかった。

―あの性格だと、隠し事なんて出来ないと思うんだが・・二重人格なのか?

「それで、なんで黙ってたかだが、お前をこっちと関わらせたくなかったんだ。お前には”普通に”生きてほしかった。だからお前には黙ってた。すまなかったな」

「普通?じゃあ父さんの言う”こっち”は普通じゃないのか?」

俺は少し胸が熱くなるのを感じながら言った。

「いいか、彩斗。世界には人族と魔族と神族がいて、互いに協力し合って生きている。

しかし、魔族や神族、さらに人族の中には同じ人族や魔族、神族を良く思わない者もいる。それが魔獣や、魔神、堕天使といった者達だ。

彼らは、同じ種族の者達を傷めつけ、時には殺す。

そういった完全に悪に堕ちてしまった者達を屠るのが、勇者や兵士の役目なんだ。

お前は俺の息子だ。つまり勇者の息子。ならば息子を勇者にせねばならなかったのだが、俺はお前に傷ついて欲しくなかった。だからこのことはお前には知らせずに普通に生きて欲しかったんだ。」

「そうだったのか・・。」

確かに、ニュースで何度も殺人や誘拐の事件が報道されていたが、まさか勇者がそんな役目を負っていたとは知らなかった。

「それは分かった。ありがとう、父さん。母さん。・・ところで姉ちゃんはそれには関わって無いのか?」

「いや、関わって無いとは言い切れないが・・とりあえず彩斗の知ってる詩織は関わって無い。まあ、いずれすぐ分かるさ」

俺の知ってる姉?なら俺の知らない姉がいるということになる。

―やはり、二重人格なのか・・?

そう思い、俺は父に聞こうとしたがいずれ分かるのなら、と思い今は聞かないでおくことにした。

「んで、手紙の内容はやっぱり魔王城に来いってやつ?」

「ああ。その通りだ。」

「まあとりあえず行きたいんだけど・・」

俺は一応子供の頃から剣術や武術、魔術は身に付けてきたので、魔獣などが現れてもあまり問題はないはずだ。

「止めはしない。それに魔王の娘がお前に会いたいと言っているならば男として会わなければならないと俺は思う。それは母さんも同じだろう?」

「ええ。彩斗ならきっと大丈夫だと信じてるけれど・・彩斗、道中で魔物に遭うと思うわ。

低級、中級の魔物なら問題はないと思うけれど、上級になれば話は別よ。

もし遭遇したら逃げなさい。いい?約束よ?」

と、母は心配そうな顔でこちらを見ている。

「ヤバかったらすぐ逃げるよ。

まあアリシアもいるから大丈夫だと思うけど」

「いくらアルフォード家の次女が同伴したとしても、上級は結構てこずる。注意しろよ」

父まで心配そうな顔でこちらを見ている。そんなにヤバいのか、上級。

「お前とアリシア譲だけだと少し不安だから、詩織も一緒に言ってもらうことにした。」

「え!?姉ちゃんも行くのか!?姉ちゃんって戦えたっけ・・?」

俺の姉―詩織が運動神経が良いのは知っていたが、戦っている様子は一切見たことがない。

「ああ。普段じゃ考えられないかも知れないがスイッチが変わるとマジで強いぞ」

スイッチが変わる・・?まあとりあえず強いならそれに越したことはない。

「あ、そうだ彩斗。これを持っていきなさい」

そういって母がくれたものは、翡翠色の結晶が埋め込まれたペンダントだった。

「肌身離さず持っているのよ?」

そういって母―冬乃は微笑んだ。

確かこれは母がずっと大事にしていた物だったはずだ。

「大事にするよ」

俺は気持ちを引き締め、旅の準備を開始した。

次話はついに魔王の娘さんに会いに行きます! 戦闘シーンが主だと思いますのでよろしくお願いします!

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