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幻獣処刑人  作者: 寄笠仁葉
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4

 確信する。俺はまた夢の中へ入ったのだと。しかも、話が進んでいる。


「誰……だ? 何だ? どうやって、……どこから!」


 γさんが叫ぶ。眼鏡の少女が答える。


「普通に」


 それだけで充分だった。普通ではないと、俺以外の三人も理解したに違いなかった。事情が変わったのだ。今までの常識はもう塗り潰されてしまったのだ。

 それに、きっと俺と同じく感じているに違いない――今までよりも圧倒的に強い食欲を。あの少女達に何としてでも喰らいつきたいという願望を。

 やれやれしょうがない、といった風にβさんが言う。


「よくわかりませんが――どのみち、見られてしまっては生かして帰せないんですよ」


 αさんも、無言で腰かけていた古タイヤから立ち上がる。βさんは続けた。


「それに――気が立っている、というんですかね、こういうのも。今夜はどうも物足りなくて、この際もう何でもいいか、という気分で……。いやいやむしろ、不思議なもので、あなたたちは格別のご馳走に見える。どうか運が悪かったと思って――」


 その両手が鎌に変わっていく。時々、βさんは芝居がかることがある。


「食べられては、くれませんか」


 眼鏡の少女は、肩をすくめて首を振る。


「……逃げるスターヴリングは馬鹿。戦おうとするスターヴリングはもっと馬鹿。あたしを食べようとするスターヴリングは……哀しくなる」


 彼女の手の中に、意匠を凝らした短いステッキが、空間から浮き出るように現われた。それがしっかりと握られる。


「これはハッキリしていることなの。エグゼキューターは、スターヴリングを殺す」


 炎の少女が自分の首に手を当てる。そこには、俺があの夜見たのと同じ黒いチョーカーが滲み出るように巻かれた。


「始めるわよ、ヨーコ」

「……いつでもいいよ、キョウコ」


 光球が二つ現われる。

 キョウコと呼ばれた眼鏡の少女が叫ぶ。


「来なさい、ベルン!」


 ヨーコと呼ばれた炎の少女が叫ぶ。


「おいで、アルダ!」


 呪文? いや、名前だろうか。マスコットは呼応するように少女達の周りを旋回する。

 そして、魔法陣と光が二人を包み込んだ。

 皆は、慌てるでもなくそれを見ている。怪物の本能が待たせるのだ。あの先を見てみたい、と、そう思わせる。対象がどれだけ美味しそうな獲物であるのか――怪物にとっては、それは本当に重要なことだ。第一、あれを邪魔しようとしてそれを成し遂げられるものなのか――一度痛い目を見ている俺にはわかりかねた。

 少女達が早変わりを終える。炎の少女は、あの(まぶ)しいドレスを着ている。

 眼鏡の少女は、両手両足だけが厳めしい鎧に包まれていた。右手のステッキはそのままだが、左手には新しく盾を持っている。それ以外の部分はスマートなシルエットの衣装という、妙な出で立ちである。だが、炎の少女よりも、より直接的に戦うイメージが具現化されているように見えた。

 圧倒的な雰囲気も、獲物としての魅力も、あの夜に感じたまま――見ているだけで全身の血が沸騰していくような、あの感覚。

 突然、真横で哄笑(こうしょう)が起こった。びりびりと伝わってくる、聞き慣れない音の波に驚く。声の主はαさんだった。少女達を含めた、その場にいる全員が、呆気に取られて動けなくるほどの大音量と大迫力だった。αさんはひとしきり狂ったように笑い続けてから、言った。


「素晴らしい」


 αさんの掌から薄紅色のオーラが細長く伸び、それは次の瞬間には斧に変わっている。

 γさんも同じように棍棒を出して、握った。

 少し、迷う。それでも、やはり、やるしかないという結論に至った。

 止めて止まるものでもないだろう。こちらには数の利もある。今更、危険だから逃げようなどと言えるわけがない。それに、一人で相手をしたあの夜よりは、格段に喰える可能性は高まっている。一人占めできないのはかなり残念だが、そう贅沢ばかりも言っていられない。


「……ちょっと多いなあ」


 と、眼鏡の少女の周りを浮遊している光球が言った。炎の少女に付いている妖精とは、また違った雰囲気がある。


「別に。いつも通りよ」


 キョウコという少女はそう言う。炎の少女とそのマスコットは、さっきからずっと静かなままで、俺達をじっと見据えている。目が合ったような気がした。向こうは俺の事を憶えているだろうか? 憶えているとして、俺のことはどう思っただろうか? わけのわからない凶暴な怪物だということ以外に、何かを感じ取っただろうか?

 少しでもいいから話ができれば――と、不意にそう思ったが、それも虫が良過ぎる。


「ヨーコ、そろそろいくわよ」

「――OK!」


 今はまず、この場をどう切り抜けるか、だ。

 αさんが方針を言う。


「β君とγ君はオレンジの子を。δ君は私ともう片方を相手するか」

「わかりました」

「了解でっす」

「……はい」


 一度交戦した事を考えれば、俺が炎の少女に向かうべきだ。また俺はそれを望んでもいる。だが、この()に及んでも、まだ、俺はあの夜のことを言う気になれなかった。

 爪を形成する。

 それに呼応して先に動いたのは、眼鏡の少女だった。俺とαさんも前に出て迎え撃つ。速い。炎の少女と同じレベルに感じる。エンジンがかかればさらに研ぎ澄まされるのだろうか。眼鏡の少女はステッキを振りかぶるようにして構える。その先から光が伸びて、真っ直ぐな細い刃となる。俺に向かってそれが振り下ろされる。爪を固定したまま、カウンター気味に上へと突き出す。互いの距離が限りなく近くなり、そして瞬時に離れた。眼鏡の少女の光剣は、俺の肩を一部削いでいた。血が流れる。それが燃える。αさんの斧が眼鏡の少女に向かって弧を描く。片刃の斧頭は、刃先の下側が四角く突き出たようになっている。眼鏡の少女は少し自分の位置をずらしてそれを避けながら、光剣で斧の柄をすっぱりと切った。斧頭が落ちて地面に刺さり、即座に薄紅色の炎と共に消えた。αさんの手の中に残った柄も、同じように燃えて消える。返す刀で眼鏡の少女はαさんの懐に飛び込み、その首を狙った。αさんはなんとかそれを避ける。少女の動きは止まらない。二撃目がより鋭くαさんを狙う。あれは確実に避けられない、そう判断した俺は長く跳んだ。鎧に覆われていない、無防備な胴体を狙って爪を走らせる。そして、眼鏡の少女は、後ろに目がついているのかと思うくらい完璧なタイミングで身を捩った。

 俺達の横を、炎の少女が駆け抜けて行く。

 やはり、手強い。

 数で(まさ)っていてもこの対応力――楽しませてくれる。

 とはいえこちらが防戦一方にならないだけで御の字だ。やりようはあるだろう。

 眼鏡の少女は一旦俺達から距離を取って呼吸を整えている。

 αさんも新しく斧を作った。


「想像以上だな。ますますもって素晴らしい」

「……そうですね」

「だが、この調子ではまずいな。少し工夫しよう」


 αさんが動く。応じて眼鏡の少女も前に出た。

 だが、αさんは先に斧を振ろうとはしなかった。眼鏡の少女は一足飛びに深く踏み込んだ。光の刃が小さく短い線をなぞる。αさんの斧どころか、それを持つ腕も、その先の胴もまとめて斬ろうとする凶悪なラインだ。

 αさんはその一閃を一歩引いて避ける。その上で、斧は少女の足元へと走る。少女の身体は伸びきっている。その一撃は防がれず、かといって少女の足も断たず――突き出た刃先の内側が、その足首を引っ掛けた。

 少女の足が勢いよく持ち上がる。明確にバランスを崩した。

 好機だった。転んでしまってからでは遅い。その間の一瞬を捉まえる。

 全身のバネを使って、覆い被さるように肉薄する。ただ五本の爪を突き立てしまえば、勝負は決まる。


「そこォ!」

「――ナメるなァッ!」


 浮ついていたはずの少女の腕が、突如として明確な意思を得て滑った。

 彼女は、床に倒れ込んでいきながら、そのまま俺の脚を斬った。

 今度は俺がバランスを崩した。少女のような芸当は俺には不可能だった。俺の脚は、今の一瞬で完璧に切断されていた。直前まで力が入っていたせいか、勢いよく転がっていく。すぐに切断面からおびただしい量の血が溢れ、燃え上がる。


「グぁッ!」


 爪を指に戻す。頭を(かば)って倒れ込む。脚の転がっていった先を確認する。そう遠くはない――が、状況は一気に悪化した。俺はもう戦力ではない。一瞬、αさんと目が合う。しかし彼はすぐに体勢を立て直した少女の相手をしなければならなかった。

 とにかく脚を拾う必要がある。這ってそこまで移動する。きれいに()ってくれたおかげで、くっつくまでそう時間はかからなさそうだが、その頃にはおそらく全てが終わっているだろう。

 さすがに一対一の状況ではαさんは押されていた。眼鏡の少女は重そうな装備の割には小回りのきく動きをする。対してαさんは大振りの攻撃が多い。俺がやられたことに焦って動きが大雑把になっている部分もあるだろうが、そもそものファイトスタイルの問題が大きい。これは、体格で勝っているからそのまま相手をねじ伏せられるという戦いではない。手数の差がそのまま有利不利となって現われている。俺が必死に切断面同士を押し付けている間、彼にはどんどん切り傷が増えていく。

 しかし、αさんは諦めてはいなかった。全身を流れる血によって燃やしながら、じっと耐えて隙を窺っていた。冷静さも取り戻している。今度は眼鏡の少女が逆に焦れてきた。炎の少女はまだ二人を相手している。見た限り、お互いに負けはしないが勝機も遠いといったところだ。誰が予想していたよりも、大分戦いは長引いているのだろう。多分、向こうはこの人数だろうがさっさと殺してしまえると思っていたのだろうし、俺も時間がかかればかかるほどこちらが危険になっていくと思っていた。

 流れが変わり始めているような気がする。

 途中から守りに徹していたαさんが、動き方を変えた。再び、力任せの攻撃を試みるようになった。やや捨て鉢な印象を受ける――が、もちろんそうではないだろう。誘っているのだ。少女が自分の隙を突くように。

 しばらくはαさんの動きを観察していた眼鏡の少女だが、やがて問題のないことを確かめると、一層激しく攻撃を加え始めた。αさんは満足に対応できず、牽制を避けようと頭を下げてしまったところを盾によって殴られた。相当に重い一撃だったようで、大きくよろめいていく。

 少女がとどめを刺すべく飛び込んだのと、αさんが盾を狙ったのは同時だった。

 そんな余力があるとは思っていなかったに違いない。眼鏡の少女はあっけなく、盾ごと前へと引き出された。想定よりも、大幅に近付いたことになる。αさんはさらに空いている手を伸ばした。――捕まえる気だ。そう、なにも相手の戦法に合わせてやる必要などないのだ。徒手格闘の馬鹿力で戦う炎の少女なら別だが、眼鏡の少女は明確に武器と防具を持っている。それを利用して戦わなければならないということだ。それは強みであると同時に、前提条件でもある。小さな体で、俺達怪物と渡り合うには()()()()()ということなのだ――。眼鏡の少女とαさんで取っ組み合いになったら、その前提条件は崩れる。極端な不利がつくだろう。形勢が逆転する。αさんは、それを狙ったのだ。

 実際、眼鏡の少女が急な方向転換をすることは不可能だと思われた。それはつまり逃げられないということで、さっきのように咄嗟(とっさ)に剣で斬りつけられるほど、この一手に対する反応もよくなかった。当然、体勢もさらに悪くなっている。

 彼女にとっては絶望的だろう。

 このままαさんが眼鏡の少女を捕まえれば、体格差によってそのまま勝負がつく。俺でさえあの巨体に掴まれたら、抜け出せる気がしない。それで終わりだ。

 ただ、気になることが一点。

 少女の表情が、変化していない。

 失敗した者、痛い目に遭うことがわかっている者、これから死にゆく者が持つマイナスが何も読み取れない。

 胸がざわつく。――()()()()()()()

 最初は、αさんが掴むタイミングを誤ったのだと思った。眼鏡の少女は抵抗せず、かといってαさんの手にも捕まらず、続けて前のめりになっていった。しかし一時的に危機が去っただけで、そのままαさんと衝突すれば結果は同じになる。

 少女の顔は変わらない。

 ()()()()()()()()と、わかる。

 前転――αさんの股の下を、眼鏡の少女は潜り抜けた。

 彼女は立ち上がった時には、全ての準備を終えていた。背後から刺す準備を。

 位置、距離、向き、姿勢、タイミング――全ては完璧だった。

 光の刃が、αさんの腹部、その中心を貫いた。

 斧が取り落とされる。床に当たって、がらんと音を立てる。

 そこから全て、止まってしまったように思えた。

 頭がうまく働かなくなったせいだと、冷静に判断できている。できているのに、目の前の状況を冷静に受け止めることができていない。

 終わってしまった。

 そして、


「……そうか」


 と、αさんは言った。


「こういうことも、あるのか……」


 眼鏡の少女がαさんから剣を抜いた。

 流れ出した血が燃えている。その勢いは爆発的で、まったく傷口が再生する気配などない。そのまま薄紅色の炎が、全身に燃え広がっていく。

 俺はαさんの核が破壊されたことを知った。

 αさんは、死ぬ。

 核がなければ、怪物は生命を維持できない。再生も何もなくなる。自らの血によって焼かれるのだ。熱さは感じずに。

 αさんの肉体が、徐々に灰へと変わっていく。αさんは自分の手をじっと見つめている。その手も灰になる。それからαさんは俺を見て、そして――一気に崩れ去り、灰はやがて塵芥(ちりあくた)となって、空気へ溶けるように消えた。

 こんなに、あっけない。

 怪物は頑丈だ。……そのはずだ。今目の前で起こったことはなんだ? 俺達は普通の人間より死にづらい生き物ではなかったのか? 俺だって核を見つけ出して怪物を殺したことはある。でもこんなに簡単ではなかった。

 死は全てを()くす。死は現世に干渉することなどできない。可能性を消してしまう。死は生き物をただの物質にしてしまう。頭の中の電気信号すらそこには残らない。

 俺も、ああなるのか?

 悲鳴が俺を現実へ引き戻した。

 それはβさんのものだった。俺はその方向を見た。βさんはうずくまって自分の腕を庇っている。完全に折れていた――折られていた。鎌の部分がぶらぶらと揺れている。手に炎を宿してとどめを刺そうとする少女の後ろから、γさんが棍棒で殴りかかった。片腕しか使っていない。もう片方の腕は力なく垂れ下っている。肩を外されたのだと思う。入れる余裕はなかったらしい。炎の少女はγさんの攻撃に気付き、僅かに自分の位置を調節して回し蹴りを叩き込んだ。γさんは蹴られた勢いのまま、瓦礫の中に突っ込んでいく。βさんが叫ぶ。


「くそォ! なんで……!」


 鎌が消えた。風が巻き起こった。βさんが起こしたものだ。カマイタチ――そこには真空の刃が紛れ込んでいる。だがそれには多大な集中力を要する。二人の少女を狙って切り刻むことはできないだろう。だが……、狙えないだけで、その風が吹いていれば危険なことには変わりない。

 炎の少女は一目で、この風は触れてはならないものだと察した。すぐにβさんから距離を取った。


「そう、いい子だ……」


 βさんを中心に、風は急速に強くなっていく。眼鏡の少女に注意を戻す。彼女もまた、決めかねているようだった。βさんを無視して俺を殺しに来るか、そうしないなら――もっとも、俺の脚は一応だがもう回復している。簡単に死ぬ気などない。


「γ君、δ君!」


 呼びかけに応じてγさんが起き上がった。俺の次の行動も決まった。

 少女達も、決めたようだった。


「ヨーコ! こっちに! 早く!」


 炎の少女が走り出した。俺も床を蹴った。βさんが叫ぶ。


「逃げ、るぞ!」


 突風、と呼ぶには、いささか強過ぎる。建物全体が軋む。出口を求め走る俺のそばを、目に見えそうなほど凝縮された力の塊が通り過ぎていく。本気を出したβさんが、どこまでできるのかを俺は知らない。だが、少女達を襲ったのは、逃げ場などないと思わせるほどに出力されたカマイタチだった。


「――マジかよお!」


 俺と一緒に走りながら後ろを向いたγさんが喚いた。俺も後方を確認する。

 一瞬では状況がよくわからなかった。βさんがまだ風を吹かせ続けているのはすぐにわかったが、その向こうで尋常ではない規模の光が発生していた。それは風によって崩されず、形を保っている。


「盾を使()()()る!」


 γさんがそう言ったので俺もようやく理解した。眼鏡の少女が持つ盾に備わっている機能なのだろう。ステッキが光剣となるように、あの盾も()()()となる。炎の少女もあの後ろにいるはずだ。

 ――逃げ切ることは、できるだろう。二人の少女はその姿を変える前に俺達の居場所を把握していた。おそらくは、俺達が人間でいる時にも怪物を探知できるのとほぼ同じ能力。βさんもγさんも気付いているだろうが、少女達が変身している間、その位置は()()()()()()()。怪物の位置がわかる時のそれとは明確に違うのだが、しかし、非常に似ていた。あの夜には気付かなかったことだ。少女達が俺達の()()()()を拾ったにもかかわらず、わざわざ変身しないでこそこそやってきたのは、変身したら嗅ぎつかれるのを知っていたからだ。そして、俺達が建物に入った後、怪物の姿になるまではこちらの位置はわかっていなかったとすると、後をつけてきたというわけでもなくなる。俺達が人間でいるときの面は割れてない。俺達は記号でお互いを呼び合っているから、名前も知らない。これは幸運だ。

 この前提があるとなると、あとの話は簡単。βさんのカマイタチはその性質上、ある程度離れてもコントロールできる。あまり複雑な動きはできないだろうから、結局は正面から一方向へ吹かせるだけになると思うが、少女達の足止めをするには充分過ぎる。逃げ続けて、βさんの集中力が途切れてしまうほど遠ざかる頃には、俺達は人間の姿に戻っていて、どこにいるかわからなくなる。再び捜す手がかりもない。ひとまずは安全になるというわけだ。彼には無理をさせてしまうが、他に助かる道も無いだろう。

 βさんも俺達の後を追いかけ始めた。俺達は外へ出た。この辺りの路地は入り組んでいる。数回角を曲がってしまえばすぐに逃げおおせるはずだ。だからといって俺達は足を止めなかった。途中で人間の姿に戻っても、俺達は走り続けた。やがて人通りの多い場所に出るまで、恐怖が体を動かしていた。

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