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ゴブリンの子  作者: 汗牡蠣
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プロローグ

 この世界は人族、エルフ族、ゴブリン族の3種族が共存していた。互いに争う事なく同じこの世界に生きる者として助け合いながら共存してきた。しかし…

――ハンス暦1240年

 人族の急激な文明改革により他の種族を見下す様になった。それはヨクト国の王の言葉によって悲惨な歴史を創る事になる。


「人間以外に存在価値などない!エルフ族、ゴブリン族を見てみよ!何百年何千年も変わらない武器、変わらない町、変わらない生活、見ていてとてもつまらない。近い将来、日々進化し続ける我らの邪魔となるだろう。だったらとっとと殺してしまえ!」


 その言葉でヨクト国のエルフ族、ゴブリン族は絶滅。国はどんどん栄えていった。

それを知った他の国も虐殺を始めた。もちろんエルフ族、ゴブリン族も同盟を組み抵抗をした。

しかし、魔力を使わずに鉄の玉を目に見えない速さで飛ばす鉄包やいきなり地面が爆発する現象など見た事のない兵器で攻め続けられなす術が無かった。

 数年後、世界のエルフ族、ゴブリン族の絶滅が宣言された。

これも期に、ヨクト国だけでなく世界中が発展していった。


 ――ハンス暦1501年 ヨルマ国フォレス領カルシロ村

 ここはフォレス領領主の屋敷。フォレス領領主・パック・フォレスがバスローブを着て寝室へ向かっていると…

 ―ドンドン!

 夜遅く大雨の中、誰かが玄関の扉を叩く音が廊下に響いた。

 

「こんな時間に誰だ?」


彼が扉を開けるとそこにはるフードを被り黒いレンチコートを着た全身びしょ濡れで黒髪ロングの女性が赤子を抱き、息を切らしながら俯いて座り込んでいた。

 

「パック、この子をお願い……」


 パックは驚愕した。


「ヴィーネ!」


 その女性は数年前、共に旅をしていて突然姿を消したヴィーネだったからだ。

 パックの声を聞いて寝室からお腹を大きくしたパックの妻・ソフィが寝衣のまま驚いた様子で玄関に来た。


「ヴィーネ!どうしたの!?」

 

ヴィーネは彼女のお腹を見て微笑んだ。


「ソフィ…2人とも幸せそうで良かったわ」

 

「そんな事今はどうでもいい!さぁ早く中に入って!貴方、タオルを持ってきてあげて!」

 

ソフィが声を荒げ、ヴィーネに寄り添う。パックは急いでタオルを取りに行った。


「私、すぐに戻らなきゃ…ソフィ、この子の母親になってあげて…」

 

そう言って抱いていた子をソフィに預けた。

 

「ヴィーネ、この子…」

 

 ソフィが抱いた子は肌は緑色、耳を尖らせていて何年も前に絶滅したはずのゴブリンそっくりの見た目をしていたが、目鼻立ちは人間に近く、純粋なゴブリンではなかった。

 

「そう。彼との子よ…その子の名前はフィユ。勝手に姿を消しておいた上に、大変な時にこんなお願いをしてごめんね…いつか必ず迎えにくるから」

 

 そう言ってヴィーネは雨の降る暗闇に姿を消した。

すぐにパックと泊まり込みのメイド1人がタオルを持って慌てて走ってきた。

 

「あれ?ヴィーネは?」

 

ソフィは少し困った顔でパックを見上げる。

 

「この子を置いて行っちゃった」

 

フィユをパックに見せると、とても驚いた。一緒にいたメイドは悲鳴を上げ、腰を抜かした。


「ハーフゴブリンか…」


「えぇ…彼と何があったのかしら…」


 2人は雨の降る暗闇を心配気に見つめていた。


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