二部第23話 変態、赤裸々雪女と遊園地、オワタ
「うきゃあああああああああ!」
我が愛娘、トウカちゃんが、コーヒーカップで楽しそうに笑っている。かわいい。
「トウカも楽しそうだな、ナツ」
「ソウダネ、レイ」
更科冬夏feat.夏輝IN遊園地with氷室姉妹。
というわけで、私、更科夏輝は遊園地に来ております!
何故か?
シンプルに言おう。トウカのご機嫌取りだ。
エマとのダンジョンアタック後、カマボコさんへの尋問が行われ色々状況が変わったらしいエマは、早々にダンジョンを引き上げ、カマボコさんを連れて、黒服の人たちと一緒にどこかへ行ってしまった。マジ怖かった。
『また、連絡する』
と、ガチ目のテンションで言われた。マジ怖かった。アイツの真面目モードは本当に洒落にならない。
ということで何もかもが無事に解決解決ゥウウ!
と思っていたら、ちょうめんどうになっていた。
俺と秋菜につきまとい事件発生である。外に出ると四六時中視線を感じるようになった。どこに行くにしても何をするにしても視線を感じる。これは本当に陰キャブラザーズにはストレスで二人して引きこもった。
犯人に心当たりはあるが、手は出せず、大人しくやりすごすつもりだったのだが、俺たち以上にストレスを感じていたのがトウカさんだった。
視線ストレスと外に出られないストレスでトウカさんは度々駄々をこね泣いて暴れた。
そんなトウカさんの為に今日は遊園地にやってきたのだ。
トウカさん大はしゃぎ。
そして、今回の遊園地に付いてきてくれたのが、氷室姉妹である。
「ふふ、楽しいなナツ」
コーヒーカップで俺とレイはくるくる回っていた。
氷室姉妹にお願いしたのは理由が勿論ある。
一つは、レイの力、権力だ。
今回のこのお出かけには、氷室姉妹以外にダンジョン庁の人たちも見守ってくれているらしい。流石に総動員するわけにはいかないので氷室さんの信用するメンバー数名が来てくれている。それだけでも有難い。
そして、ジュリちゃんとトウカの相性だ。ジュリちゃんの【獣化】がやはり俺の【変態】に近い能力のせいか、トウカが異常にジュリちゃんに懐いているのだ。ジュリちゃんといる時のトウカのご機嫌はとてもいい。まあ、キッズ同士と言うのもあるの
「ぴ」
羽が飛んできたよ。ジュリちゃんがこっちを睨んでいる。トウカが笑っている。あはは。
まあ、何はともあれ仲が良い。
それに、俺と視線が分散するので、トウカのストレスが軽減するのだ。
その為、アトラクションは基本二手に別れて遊んでいる。
それと、もう一つ。
「調査の結果だが」
レイから話を聞くためだ。
この件の黒幕はエマから聞いて予想がついていた。
「【黒龍】だろうな」
黒の勇者、西黒善一郎がトップの冒険者チーム、【黒龍】。
そこが関わっている可能性が高いとエマは教えてくれた。
そもそも情報が流れたとすれば、俺の仲のいい奴ら以外にも伝えなければならないレイからが一番可能性が高かった。
トウカの保護をする為に出した情報が他に流れこうなるのは皮肉なものだ。
「すまんな、多分私の所からだ」
「レイのせいじゃないよ。ダンジョン庁だって、色々あるんでしょ」
そう、恐らくダンジョン庁の人間が、誰かに流した。
そして、そんな情報をリスクがあっても欲しがるのは、政府、もしくは、トップ冒険者チームの可能性が高い。
そして、ドンピシャ。レイの調査で明らかになった。
「【黒龍】は今、更科家について人を使って調べ回っているようだ。飽くまで予想でしかないのは奴らが上手く間に人を入れて証拠を掴ませていないせいだ」
「何故かってのは、やっぱりトウカが意思疎通の出来る魔力体だからですか」
「多分、な……だが、ここまで固執する理由は分からない。このままだと、モノノフや私に睨まれることも分かっているだろうに。まあ、とはいえ、相手が相手だ。睨む事しか出来ないのが悔しいな」
【黒龍】はとにかく宣伝がうまく、人心を掴んでいるイメージだ。SNSの使い方も上手いし、ビジュアル面でもそうとう人気だ。まあ、人気商売だからこそ、不祥事とかに気を遣ってこういう事はしてこなかった。だからにらみ合いの状況になっている。
ダンジョン庁の方でつきまといの奴等を掴まえたけど、しっぽ切りと言うべきか明確な【黒龍】とのつながりは見つけられなかったらしい。
「とにかく謎なんだ。ここまで【黒龍】が踏み込んでくることは今までなかったのに……」
【黒龍】の謎の付き纏い。
それによる秋菜やトウカのストレス。
【黒龍】とダンジョン庁やモノノフの睨み合い。
解決の光が見えない問題に頭がくらくらする。
だが、もうひとつくらくらするものが。いや、正確にはちらちらか。
「と、ところで、折角の機会だ。遊園地も楽しもうじゃないか。な、ほらほら」
そう仰る今日のレイさんの装いはお洒落さん。
着物型ワンピースと言えばいいのだろうか。着物っぽい和風の白系のワンピースにショートパンツ。
襟元が心もとなくて真っ赤な何かがちら。
袖口が大きくてコーヒーカップのような両手を水平まで持ち上げるものだと奥まで見えてわきと真っ赤な何かがちら。
ついでに着物型ワンピースのスリットから真っ白なおみ足がちら。
ほらほら、くらくら、ちらちら。
おい、ダンジョン庁の皆様、トウカを困らせる不届き者を捕まえると同時にこの痴女も捕まえてみてはどうかね。ああ、また見えた! 見る俺も俺だよね! でも、男の子だもん! 許して!
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