表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/38

二部第13話 変態、お家BBQでMAMA決定戦、オワタ

「はい! わたしは更科トウカです!」

「んぎゃわぃいいいいいい! よく出来ましたぁああああ!」


ウチのトウカが自分の名前を言えた。赤飯を炊かねば。


「まあ、よく考えたら、コイツだけ更科家の例外ってことはないよな」

「溺愛の血は間違いなくあったんだろう」


アホと眼鏡が何か言ってらあ。

姉や妹とは違うぞ。俺は。


「そう思いつつ、更科夏輝、スマホを連写し続けているぞ」


おっと神辺先輩に言われて初めて気づく。

だが、俺はトウカの全てを撮りたいわけではない。

そんなヤツがいたらマジ56す。


「そして、その溺愛連写の様を君の妹に撮られているぞ」


おっと神辺先輩に言われて初めて気づく。

秋菜が俺とトウカを撮りまくっていた。やめなさい。


いや、待て?


ここここここここれは娘とのツーショットなのでは?


「トウカ、パパと写真一緒に写らないか?」

「ん~? んんー!」


こてんと首を傾げたトウカが意味を分かってない様子だが、両手を広げた俺の所にとてとてと駆け寄ってくる。

は?

かわいすぎるんだが?

俺は天使を抱きしめ、秋菜の方に二人で向く。


「秋菜、撮ってくれるか?」

「……! ににににににいさんが撮ってって? あああああああんな素敵な笑顔で? ししししししかも、なんかこれってふふふふふふふふふうふふふふふふふみたいじゃない?」


負の量が多いな。


だが、秋菜の撮影技術は間違いなく本物。

フツメン俺が被写体なのに、賞を取ったくらいだ。


秋菜の連写が今は心地よい。今俺は娘とツーショットを撮っています!


「なんか、アタシ嫉妬しちゃうかと思ったけど、思った以上にこれは……」

「武藤さんも? 私も弟をとられたような気がしてたんだけど」

「そうですね、あんななつきさんの笑顔」

「うむ、父性溢れるナツの笑顔は、良いな……」


涙が出てきた。

トウカのお陰で、変態共の変態性がなりを潜めている。

奇跡が起きている。

流石トウカ! さすとうだ!


だが、段々とトウカの身体が熱くなってきて、トウカが俺にもたれかかり始める。


「むにゃ……」


んぎゃあああああああああああ!

ぎゃわぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!


おねむか!?

おねむの時間なのか?


めをごしごしさせるトウカに俺は話しかける。


「ねむたいのか? トウカ?」

「うん、ねむい。トウカ……寝る」


トウカを抱きかかえ、部屋に戻ろうとする俺だったが、トウカは


「ぱぱ、ねるね」

「ああ、おやすみトウ、カ……!」


寝返りをうつようにごろんとしながら俺の身体の中に入っていった。


「え?」


そして、俺の身体の中に小さな熱が少し灯ったような気がした。


「か、神辺先輩! トウカは!?」

「ふむ……君の中で眠っているようだ。心配するな、呼吸のような揺らぎは見える。恐らく、魔物ではなく魔力体とでも呼ぼうか魔力体であるトウカ君にとってこちらの世界自体はダンジョンのように魔力が充実しているわけではないから定期的に魔力を取り込むために君の中で眠る必要があるのだろう」


そうか。ダンジョンの外に出るなんて普通の魔力体(魔物)はしない。

魔力が酸素のようなものだからだ。

トウカも外に出ることは出来るが、ずっとではないということか。


「次にトウカ君が目覚めるまでにどのくらいの時間がかかったかを是非教えてもらいたい。あと、どういう状況かも、体調や記憶、そういったものも確認しておいてくれ。いや……定期的に行くべきか。君も無事かどうかは毎日聞かねば不安だろうし。よし、毎日君の所に伺うからチェックさせてくれ」

「あやしい研究の手伝いはしませんよ」

「トウカ君の為に専用の研究者は必要だと思うが?」

「ぐぬぬぬう! わ、わかりました……!」

「はっはっは! 交渉成立だ!」


かわいい娘の為だ。致し方ない! パパは娘の為にがんばるよ! トウカ!


「あとは、今後の生活の事も考えるべきだな。ナツは夏休みが終われば学校にも通わねばならんし……仕方ないな。ここは私が責任を持って預かろう」

「いえ、氷室さん! ここは私が。大学は暫く休学するわ」

「ちょおおおおお! 春菜さん!? 本気かな!? あたしの楽しいキャンパスライフが!」


姉さんが馬鹿な事言ってらあ。氷室さんもそんな風に言ってくれるのは嬉しいが……。


「子連れ高校生で行くから大丈夫!」

「大丈夫ではないと思うぞ。それは」


神辺先輩に呆れた顔をされた!? 心外だ!


「大体、君。トウカ君の事が気になって学校の事に身が入らないだろう?」


ぐぬぬ。正論過ぎて何も言えん。


「学校行き始めたら、私が預かるわよ」


そう言ったのは母さんだった。

だが、母さんは……。


「大丈夫よ、母さんは己の変態性をコントロールできるから」


そうだった。母さんはどSではあるが他の変態家族共と違い、完璧にコントロールできる。


「それに、あんた達がみんな手のかからない子になっちゃって、さみしい気持ちを父さんにぶつけてたところもあったから。あんなかわいい子の為なら母さんはりきっちゃうわ」


さみしい気持ちで父さんは半殺しになっていたのか……。

まあ、父さんは幸せそうだから何も言わなかったけど。


「でも、父さんはいいの?」

「大丈夫よ。父さんは放置プレイでも満たされるから」


大丈夫とは?

そんな父親は、その言葉で満たされたのか恍惚とした表情をしている。

その顔トウカに見せたらぶっ56すからな。


「あとは、それに向けてトウカちゃんに色々教えてあげないとね。親離れって夏輝も大変だったから。あと……子離れもね」

「トウカと……離れて暮らす……?」


死ぬかもしれない。

そんなこと……。


「いや、暮らすって……学校にいる間だけでしょうに……って、まあ、お父さんもそんな感じだったしね。春菜はお母さんが見てたけど、夏輝と冬輝の時はお父さんだったし」


衝撃の事実。俺は幼い頃父さんに育てられていたのか。

おい、父親。ドヤ顔すんな。

それにしては真っ当な息子に育ったな。反面教師と言うヤツだろうか。


「まあ、とにかく。夏の間は、しっかり面倒見てちゃんと子育てするのよ」


勿論だ。トウカが良い子に育つように全力を尽くす。


「となると、やはり、母親の存在は必須だな、ナツ」


近寄らないでください。トウカが過激下着痴女に育ったらどうする。


「中高生徒会長の私に任せておきなさい、夏輝」


近寄らないでください。トウカが俺のモノをなんでもコレクションし始めたらどうする。


「一番年の近いわたしがいいんじゃない、兄さん」


近寄らないでください。トウカが盗撮が趣味になったらどうする。


「ど、どうぶつてき勘で育ててみせます、なつきさん」


近寄らないでください。トウカが露出魔&匂いフェチに育ったらどうする。


「教材は揃ってるわよ、夏輝」


そのヤバい漫画をしまぇえええええええ! 自称、幼馴染ィイイイ!


三日後。ようやく出てきたトウカに『ママはいるか?』と聞いたところ、『いらない』と言われ、変態女達の死体の山が生まれ、『ぱぱだけでいい』と言われ、俺が死んだ(死因、幸福死)。


お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。

今まで好きだった話によければ『いいね』頂けると今後の参考になりますのでよろしくお願いします!


また、作者お気に入り登録も是非!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ