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女衒  作者: 恭梨典美
2/2

回想

 ベッドで女の浴びるシャワーの音を聞きながら煙草に手を伸ばしたが灰皿がないことに気づいてやめた。最近はどこもかしこも禁煙だ。


 いつの間にか住みにくい世の中になったもんだ。

 

 弱者は弱者という鎧を纏って強者を倒す。反論さえ許されず強者は地の底へ落ちて行くのだ。まぁ、そのおかげで俺は食べていけてるんだがな。




 俺の殺し屋稼業を詳しく知りたいかい?

 脳内のオーディエンスに向かって独りごちた。

 


 当時の俺の名刺の肩書はフリージャーナリスト。

 そう聞くと政治家の不正を暴くみたいなものを想像するかも知れないが、そんな正義感なんてはなから持ち合わせちゃいない。


 早い話しがタレントのスキャンダル専門。


 マチ中で遊んでる女の中で男好きするタイプの子に名刺を配っておく。夜の盛り場は意外と世界が狭いから、チョイチョイ若手俳優やアイドルとネンゴロになってくれる。特にアイドルってヤツは脇が甘い。だから女に寝顔を撮られても気づかない。その写真を2、30万で買ってやれば俺は適当なラブストーリーをくっつけて写真誌に100万ぐらいで売り込むって寸法だ。


 だがそれも長くは続かなかったな。90年代初めはまだまだ需要が有ったがいつの間にかファンの質が変わってきた。

 「あんな素敵な彼に女の1人や2人当たり前じゃないの!どうせ遊びなんだし…」

 ついこの前まで共演女優とのキスシーンですらギャーギャー喚いていたくせに、いつの間にか理解ある本妻の様なスタンスをとり始める。


 そうなると雑誌が売れないから俺へのギャラも激減し、手駒の女を使ってスキャンダルを作るのも難しくなっていった。

 

 仕方なく自力でスキャンダルを狙っていったが労力とギャラとの折り合いがつかない。コスパが悪いってヤツだな。

 

 そんな時、ある人物のスキャンダルが目に飛び込んできた。そう誰もが知るあの事件。

 それが今の仕事を始めるきっかけだったんだ。

 

 


 

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