ノスタルジー
しずかで真っ暗だった世界を
ひゅうぅと笛が切り裂いて
夜空にいくつもの大輪の華が咲く
黄色から赤 青から緑や紫へと移り変わり
ぱらぱらと余韻を残しては消えていく
腹の底を叩くような轟音に強く引かれて
家の外に出て知った
あぁ 今日だったのか
そんな自分の隣では
家族達も楽しげに眺めながら笑っていて
綺麗だ 今のが一番良かったと
それぞれに誉め合っている
どん と貫いてまた咲いた
虫の音だけが響いていた 濃紺の世界を
光のグラデーションが鮮やかに彩り 弾ける
とても遠くで打ち上がっているのに
鼻先には今にも煙の匂いが漂ってきそうな気さえして
私は願う
もっとずっと この時間が続けば良いのに と