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第21話 私が長女であなたたちが――

「じゃあ、ラヴィリア様、ミシェル様! 私のところへ来てください!」

「あら、ライラ、おすすめがあるの?」

「はい! えっと、その、私、時々町に行くんですけど、ラヴィリア様が食べたみたいに私もよく食べるんです」

「まあ! ということは私よりも上級者なのね!」

「はい! おすすめがたくさんあります! どうですか?」

「お父様のお許しが頂ければすぐにでも行くわ!」


 私自身、とっても行きたい。

 未来ではみんなと一緒に街を歩くなんてことはしていなかった。友人たち四人との交流は学園か、誰かの家のみ。本当にその時はその程度の浅い交流しかしていなかった。

 なので、未来の失敗に気づき、友人であったことを理解した今、一緒に行きたいという気持ちが大きい。

 でも、私は公爵令嬢。父に許可を貰う必要がある。私だけの感情を優先はできないし、父からの愛というものを知っているので、父の不安を考えると黙って行くというのはできないし、するつもりもない。


「エミリーもいいかしら?」

「問題ない。私も行く。ついて行く、絶対に」


 まだ時期は決まってはいないが、四人で行くことになった。

 えへへ、楽しみ。


「それでラヴィリア様、その服についても聞いていいですか?」

「ええ、いいわ」

「その服、かなりオシャレですけども、有名なお店なんですか?」

「う~ん、どうかしら? そこのお店はドレスなどは置いてないお店だったわ。どちらかというと庶民用かしら。とはいっても見ての通りの仕上がりよ。腕は確かね」


 立ち上がってくるりくるりと回り、ワンピース全体を三人に見せる。


「ですね。とても綺麗ですもの」

「私も行きたいです! ラヴィリア様と同じ店に行きたいです!」

「ラヴィリア様とお揃いもいい」


 お揃いか。四人並んでお揃いの服を着るというのはいい。

 頭の中でお揃いの服で街を歩く私体を思い浮かべた。

 うん、最高。


「じゃあ、それも今度行きましょう。みんなと一緒にお揃いも好きだわ」

「私もです! ラヴィリア様とお揃いがいいです!」


 こうして今後の予定ができるというのもかなりうれしい。何だか友人の絆というのがより大きくなる気がする。


「お揃いの服を買ったらその服を着て、今日みたいなお茶会に着てやりたいわね」


 そして、さりげなく私も予定を加える。


「いいですね。私もラヴィリア様とお揃いの服を着てやりたいです」

「でも、今日はワンピースだから少しお揃いです!」

「ふふふ、ライラさんの言う通りですね」


 確かに今の服装はみんなワンピースで色も同じなので、理想に近いお揃いだ。


「じゃあ、みんなで並んでみない?」


 ちょうどみんなワンピースを着ている。そのお揃いを実感するというのは悪くないはず。


「わあ、いいですね! やりたいです!」


 他の二人もやる気みたいなので、早速立ち上がり、四人並んでみる。

 ただ、このまま並ぶとどういう風になっているのか見ることができないので、シノに少し大きな姿見を用意してもらってそれで確認する。

 姿見にはワンピースを着た私たち四人が並ぶ。ワンピースの形はやや違うが、同じ色のワンピースということもあり、お揃いのように見える。

 なるほど。お揃いの服を着れば、これよりも素敵になることは間違いないと言える。


「な、何だかラヴィリア様と姉妹になって気分です」

「ふふふ、そうね。四姉妹になった気分だわ」

「じゃあ、ラヴィリア様が長女で私が二女でライラさんが三女、エミリーさんが四女ですね」

「いいわね、それ」


 ミシェルたち妹、か。えへへ、それはうれしい。


「え~! ラヴィリア様が長女は分かりますけど、ミシェル様は二女じゃないですよ~。私が二女で、ミシェル様が三女ですよ!」


 自分の姉妹の立場に納得がいかなかったライラがそう言ってきた。


「待って。二人とも私が四女であることは同意してるのは納得できない。二女は私のもの。三女と四女の座を二人で争って」


 と、そこに二人からも四女の扱いに納得されていたエミリーも参戦。

 三人で二女の座を争う。

 そんな光景を見ているのだけども、思わず微笑んでしまう。未来ではこの子たちとそこまで深く関われなかったから、このような光景を見ることも少なかった。これからの人生では未来のようなことはなく、このような光景をたくさん見ることができると思うと再び微笑んでしまう。


「ラヴィリア様、私が二女ですよね? ライラさん、エミリーさんよりもしっかりしてます!」

「違いますよ! 私が二女です!」

「笑止。私こそ二女に相応しい。これは誰であっても譲れない」


 かなりヒートアップしてる。


「ふふふ、みんな可愛いわね。そんなのじゃみんな末っ子よ?」

「「「ううっ」」」


 我に返った三人は末っ子という言葉に黙ってしまう。


「でも、みんな末っ子というのはいいかもしれないわね」

「「「???」」」


 私の言葉の意味を理解できなかった三人が仲良く首を傾げる。


「みんな二女で末っ子ということよ。三つ子ってことね」

「「「!!!」」」


 私の言葉に驚きと喜びの顔が。


「な、なるほど。それならみんな二女です」

「悪くないです!」

「これはラヴィリア様の素晴らしい提案に乗るしかない」


 深い意味はなく見ていて思ったことを言った言葉が結果的に三人の納得に繋がったようだ。

 う~ん、三人が二女かどうかを争うのは見ていて楽しかったので、これで終わるのは少し残念。

 で、私の提案に納得した三人は私にピタッとくっ付く。


「どうしたの?」


 よく理解できなかったので、聞いてみる。


「私たちは二女。と同時に末っ子。つまりしっかり者の姉に甘えても問題はない」


 エミリーの言葉に他の二人も同意する。


「だから、ラヴィリア様、ううん、ラヴィリアお姉様にこうやって甘える」

「ですです!」

「ら、ラヴィリアお姉さま、あ、甘えさせていただきます!」


 三人ともくっ付くだけでなく、次は私の体に腕を回してぎゅっと抱きついてくる。

 う、うれしい! 未来はそれなりに年齢があったので、こういう密着するようなスキンシップはなかった。

 なので、こういうのはやってみたことの一つだ。


「ふふふ、みんな甘えん坊さんね」


 私の左右にライラとエミリー、正面にミシェルがいる。

 私もみんなに抱き返したいのだけども、私の腕は二本しかないので、ライラとエミリーの腰に腕を回す。

 いきなりということもあり、腰に手を回されたライラとエミリーは頬を赤くする。

 そんな二人の反応を見たミシェルは怪訝な顔をするが、二人の腰に回された私の腕に気づく。すると、頬をぷく~っと膨らませて、無言の抗議を私に向けてきた。

 私もミシェルにも何かしてあげたいのだけども、腕は二本しかない。ちょっとだけ我慢してもらおう。その代わり、ちょっとしたサービスをミシェルに提供しよう。


「こほん、ライラ、エミリー、一旦席に戻りましょう」


 しばらくそのままだったのだけども、ミシェルが涙目になって抗議してきたので、そろそろ終わりにした。

 ライラとエミリーは渋々だけど、席へと戻る。

 で、残るのはミシェル。まだ離れていない。

 まあ、二人にしか離れるように言ってないし。

 つまりはミシェルが独り占めしている状態とも言える。

 もちろんミシェルへのサービスが独り占めできるというものではない。時間をサービスにすると満足するまでにそれこそ時間がかかる。ミシェルが拗ねた理由を考えれば、今からやろうとしていることをするほうがいい。


「えいっ」


 掛け声を出してミシェルに両腕で(・・・)抱き着く。

 そう、私のミシェルへのサービスは片手ではなく、両腕で抱きしめることだった。


「!!!!」


 この対応に抱きしめられたミシェルは驚きで顔を一瞬で赤くした。


「あうっ、ううっ」


 動揺しているミシェルは言葉にならない声を出していた。


「あー! ミシェル様ずるいです!」

「む、両腕はぎゅっはずるい」


 他の二人も気づいたようで、恨めしそうな目でミシェルを見ていた。


「あなたたちはさっき、ぎゅってしたでしょう? ミシェルはできなかったのよ。だからこうしてるのよ」


 二人にそのお詫びだということを伝える。


「むう、それなら仕方ない。両腕はずるいけど、私も一人だけラヴィリア様にぎゅってされないのは嫌だ」

「です! ずるいですけど、仲間外れはダメです! ここは我慢します!」


 良い子である二人はあっさりと納得して、私からミシェルへの行為を許してくれた。

 ただ、やっぱり片腕でぎゅってされるのと両腕でぎゅっとされるのでは大きく違うので、近いうちに三人それぞれ二人きりになったときでも両腕でぎゅってしてあげよう。……私がしたいというのもあるけど。


「よし、これで終わりよ、ミシェル」


 十分な時間が経ったので、ミシェルを解放する。

 私の両腕から解放されたミシェルは顔を真っ赤にして、目を回して体を硬直させていた。


「あうう~」


 ミシェルから可愛い声が聞こえる。この固まって可愛い声を出すミシェルをずっと部屋に置いておきたいくらいだ。


「ミシェル様! しっかりとしてください!」

「むう、あまりの出来事に脳がパンクしてる。回復までに時間がかかる」


 一先ず棒立ちになっているミシェルを椅子に座らせて、私たち三人は話をしてその回復を待つ。


「そういえば二人はお互いに交流があるの? 確かあなたたちの領地は結構近かったわよね?」


 二人の家は子爵ではあるが領地持ちの家で、二人の領地は私と二人の領地への距離と比べるとかなり近かったはず。

 未来ではそういう話を聞くことできなかったので、まだ幼い今の内から聞いておきたい。二人のことを詳しく知っておくことで、将来大きくなった時に思い出話をすることができるから。

 未来を知っているので、私の頭の中では再現度の高い成長した友人たちと思い出話をしている姿を思い浮かべていた。

 えへへ、まだ五歳だけども、大人になる時が楽しみだなあ。


「いえ、実はラヴィリア様の誕生日パーティで出会うまで、私とエミリー個人は全く交流がなかったんですよ!」

「パーティが終わってからは手紙でのやり取り。だから、会うのはこれで二回目」

「でも、話のネタには困りませんでしたね! いつもラヴィリア様のことばかりでしたから」

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