代償と決意
すっかり言い忘れてましたが、この話は、主人公と、ヒロインの二人の視点が入れ替わりながら進んでいきます。そのことを伝えておきます。
ていうか、予想以上に多くの人が読んでいるのに驚いています。
ありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします!
ところで。どんな奇跡にも、代償は必要だ。それは、魔術であろうと、科学であろうと、同じことだ。
そして、それは未来に行こうが変わることはない。
シフトチェンジを使用したその瞬間、人工心臓が痛む。
(……ッ!? やっぱりなの?)
私は、未来から来た。つまりは、ここで過去が変わってしまえば、消えるかもしれない。
そしてもう一つ。
私の仲間たちのことだ。私は、そこそこ上位の機体だから、すぐに消えることはない。
でも、割と低い機体は、最悪すぐに消える。
そして、それがわかってしまう。
今のところは、問題ない。でも、いつまで私はマスターを支援できるのか?
私は、私自身の記録を見ることができない。だから、自分の本来の未来につながるための行動がわからない。
それが、一番怖い。
もしかしたら仲間を殺してしまうかもしれないという恐怖。
もしかしたら世界ごとなくなるのかもしれない。
「ラファエル? どうかした?」
「いえ、何でも。――そんなことより、町が見えてきました」
でも――私は、最後までこのマスターを信じたい、と心の底から思う。
これが、恋愛感情とかそういうやつなのかは、わからないけれど。