新たなる出会い
いきなり知らない少女――名前はラファエルというらしい――にキスされたと思ったら、「あなたは私のマスターです」とか言ってきた。うん、正直よくわからない。
マスターとはなんだ?
いかんせん未来から来た不思議少女と二次大戦中の駆逐艦では言葉が通じない。
てか、横文字全然わからないし!
まあ、時代遅れといえばそれまでか……?
「あの、マスター。町は向こうにあります」
「そうなの? ていうか、マスターじゃなくって『島風』って呼んでほしいんだけど」
「了解しました。島風、行きましょう」
うん。やっぱりそっちのほうがいい。
僕は、丙型駆逐艦――島風型駆逐艦一番艦島風。
日の丸を掲げる国を守る、駆逐艦だ。
……もともとは。
これからどうなるんだろ? 一応日本はあるらしいけど。
これから、あいつみたいなのと戦い続けるのか?
まあいいや。
「大和――戦艦大和とかも、こっちに来ているのかな?」
「戦艦大和、ですか? おそらくはいるはずです」
「なら、合流できたら心強いなあ」
二人で草むらを歩いていると。
「あの、ええと……」
「君は……?」
見たことがある、緑色の翼に赤い日の丸。
その名は――
「零戦?」