出会い、そして戦闘
「わぁ!?」
変な声が出た。草むらから現れたのは、一人の少女。
「その体……どうしたの?」
無骨な装甲に身を包んだ少女は、この草むらには合わない。まあ、全身ジャージの僕が言えたことじゃないけど。
「え、えとその……? ここどこだろ、え、ちょっと待って、マップも使えないし――ほんとどうなってるの!?」
あたふたあたふたと少女がせわしなく両手を動かしている。今までに見たことがないような格好だし――なにより、蒼く太陽の光を反射する目が目立つ。
「ええと……正直僕も何が何だかわからないんだけどさ。悪い人には見えないし――」
その時だった。
「そこのお二人さん? ちょっといい?」
その声はなんとなく、やな感じ、と思った。なんて言えばいいのかわからないけど。
振り返って、チンピラ風の男が見えたとき、確信した。
――こいつ、敵だ――と。
そう感じた瞬間、いきなり自分の手には懐かしい連装砲が現れる。
12.7センチメートル連装砲――二次大戦中の駆逐艦に装備されていたものだ。
「へえ――お前も、『転生者』か。――『兵器系』か? まあいい」
チンピラみたいな恰好をしたそいつが動く。
「《フルオープン》!」
そして、多数の重火器が男の手に握られて。
「ファイアーッ!」
バババババババッ! 銃声と、マズルフラッシュ。
「そんなもの、僕に当たると思った?」
地面を蹴り、少女の体を抱く。
「きゃあっ!?」
悲鳴が聞こえたが、どうすることもできない。
「早え!? ち、これなら、どうだ! 《インスパイア・ディストラクション》!」
今度は何だ?
そう疑問に思ったのも束の間、自分の周りにグレネードが多数――!
「く――っ! ナノシールド、展開!」
少女の声がしたと思ったら、自分の体の周りを青色の光が包む。
「これは?」
「説明は、後! 今はあいつを倒して!」
「わ、わかった」
爆風の中を抜け、連装砲を構える。
「全門斉射!」
駆逐艦ゆえに、火力はそこまで高くない。でも、対人戦なら――関係ない。
「がふっ――!?」
腕がはじけ飛び、血が舞う。そして、体に風穴を開けられたその男は、倒れた。