表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Code:Reliver  作者: へーがたくちくかん
第一章 「孤独」
17/26

たった一人の「私」

その頃。

「はあっ、はあっ……」

空母「赤城」は一人逃げていた。

例の、伝説上の生き物の龍のような何かから。

十二分に距離を取ったところから仕掛ける。

「艦爆隊、発艦! 目標――やつの口の中!」

鱗にいくら攻撃してもダメージが入らない。

それならもう、体内を狙うしかない。

九九式艦爆から爆弾が投下される。

狙い通り、口の中に命中したらしい。血が噴き出る。

だがそれでもまだ致命傷には至らない。

「まだなの……!? でも、まだ!」

諦めては、ダメだ。

私は、あの子を見て思った。


――最後まであきらめちゃだめだ。何があるかわからないでしょ?


彼の言葉がよみがえる。

私はボロボロになった体を動かす。

きっとあいつだって不死身じゃない。

絶対に、倒せる。

そう確信できる。だから私は、「昔のトラウマ」を乗り越える。

あの、有名な戦いの、記憶を。

直上。

それは人間の超至近距離。

そんなところをガラ空きにすれば狙われるのもわかっている。

でも、だからこそ!

「全機、発艦。――直掩も、攻撃に参加して!」

回避なんて、できるはずもない。

奴の爪が迫る。

「グルルルルァァァアア!」

それが私の体に当たる寸前に、止まる。

本当なら、やりたくない作戦だった。

艦載機に、特攻させてまで自分へのダメージをなくすのは。

でも、そうしないと、勝てない。

「はあああっ!」

空母にだって砲塔はある。

全砲門斉射。

ダメージなどなくてもいい。

一瞬のスキを突く。

竜の口が上空を向いて開いているそこに、爆弾が投下された。

そして――そのドラゴンは、死んだ。

「はあ、はあ……。意外と私、戦えるんじゃないの……」

そう言ったとき、私の意識は途絶えた。


「へえ? 意外と戦えるのね……? でも残念。あなたが頑張れば頑張るほど――」

そこで少女は言葉を切り、微笑む。

まだあの世界の中で生き抜こうとしている「島風」とその仲間たち。

一人で戦い抜く者たち。

それらは皆、私のためにしかなっていないのに――


少女は世界全員の視点を見ながらそう思う。

彼らはそんなことを知らずに生きようと戦っている――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ