誰かに改変されたこの世界で
一応、設定を練り直しました。
一週間に一度は投稿したいです。
「レクイエム」と「トラジェディア」のほうもあるので、少し不定期になるかもですが、その時は「忙しいんだな」と思っていただければ恐縮です。
あと、艦これのイベントが始まるとその二作品も怪しいかもしれませんが、頑張ります!
元々いたこの場所が懐かしい。五年ぶりに目が覚めた。まだ頭に靄がかかっているようだが頭は働く。
かつて「魔王」と呼ばれた少女は一人つぶやく。
「計画通りね」
あの「世界」すべての分断に成功したか……。
あとはあいつらを「あの世界」に慣れさせるだけ。
そうすれば――
少女の目線の先。
そこには、彫像のように動かない戦士や、魔術師たちがいる。
――あとはこいつらを倒すだけ。
動かないその彫像たちから目をそらし、そして「世界」にそれを送り込む。
ファンタジー世界によくいるようなドラゴンやらなんやらを。
――さあ、抗いなさい? そして生き残りなさい。
じゃないとつまらないじゃない。
――最後の食事位、楽しませてくれなきゃ。
それは、一瞬で変化した。
「……ッ!?」
一人、「みんな」を探していた僕は、それに気づいた。
「ギャオオオオッッ!!」
叫び声を迫る「それ」を横に飛ぶことで躱しつつも主砲のトリガーを引く。
ドドオンッ!
連射された主砲は、しかしかすりもせずそれの後方へと飛んでいく。
何より、早い。
でかい図体のわりにものすごく速い。
戦艦大和が三十五ノット出しているようなものだ。
「グルオッ!」
焔が吐き出される。
走って躱そうとす
「かはっ……!?」
いつの間にか背後に回っていたそれの攻撃をまともにくらう。
血が噴き出し、意識が点滅する。
ダメージコントロールがどうこうとかそういうレベルじゃない。
しかも僕は。
実戦で傷らしい傷は食らっていない。沈んだときはかすり傷を負ってタービンがダメになったくらいだ。
痛みには慣れてない。
でも。
「死ぬわけには、いかない!」
僕は誉ある駆逐艦だ。人間だけど。ここで死ねるか。
背中に食い込んだ爪を無視して、後ろに連装砲を向ける。
「全砲門、斉射!! ――がふっ……」
さすがに限界が来たのか、意識が本当にぶっ飛ぶ。
最後に見えたのは、自分の体が刀を振るった姿のまま硬直している、そんなよくわからない光景だった。
彼がそれ――ドラゴンを倒したその時、一人の少女が目を覚ました。
あの、彼と契約した少女だ。
「あれ、私……? ま、マスターは?」
魔力の痕跡――はないから、生命力の痕跡を「視る」。
あっちのほうか。
太陽に向かって、真っ直ぐ。
私は、いまだ朦朧とした意識を動かし、マスターのほうへ向かった。