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噂のマモノ育て屋さん  作者: なすたまご
異世界での目標
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10 この異世界で 目指すもの



やっと来ました、転生者特有の特典能力!これを待っていた!

この世界で僕は何の特別な力も持っていないと思っていたけど、そんなことなかったんだ!


「本当に不思議ね。自分を強化するのではなく、他の魔物を成長させる能力なんて、私が知る限りそんな能力を持った種族は存在しないわ。あなたは一体、どこから来た何者なのかしら…?」


ギクッ。ノウミィには僕が転生したことを伝えていない。気づいたら森にいて、その前の記憶がないということになっている。

僕的には、これはきっと転生するときに神様が「お前は前世で素晴らしい人間だった、その功績を讃えて来世ではお前に相応しい能力を授けてやろう」とかなんとか言ってくれた能力なんじゃないかと思っているんだけど…。

まぁ多分そんなことを言っても信じてもらえないし、もし話したとしても全く通じないと思うけどね。


「ま、わからないことは考えていても仕方がないわね。とりあえず!この能力は本当に素晴らしいものだわ!」


僕が持つ能力。ノウミィの推測では、魔物に血を飲ませることによって、その魔物と意思の疎通が可能になり、さらにその魔物の成長を促す能力、ということらしい。

これだけ聞くと、異世界転生の特典の割には、自分で戦うことができないハズレ能力を引いたような気がするが、そんなことはない。

ノウミィは以前、この世界には魔物と呼ばれる生き物が数多くいると言っていた。僕はまだブゥとノウミィにしか出会ったことがないけど、他にもいろんな魔物がいるらしい。ブゥのような獣の姿をした魔獣やノウミィのような妖精、他にも二足歩行する獣の獣人、悪魔の下僕だとされている妖魔などなど…。まだまだ多くの魔物がいるそうだ。

僕の能力があれば、そんな魔物たちを強く育てることができるってことだ。言葉を話せない魔物と意思疎通が可能になるってのも、僕の能力が魔物を育てるためにあるようなもんだ。


これってつまり、前世でいうポ○モンがリアルで体験できるじゃないっすか。


前世の僕は、生粋のポ○モントレーナーだった。ゲームの中のモンスター達を育てながら旅をして、自分の育てたモンスターの力で伝説のモンスターを捕まえたり、強敵と戦わせたり…。

子どもの頃は友達と強さを競ったりもした。

僕は、頼もしい仲間達を自分で育て上げ、そのメンバーと旅をすることができるあのゲームが大好きだった。


そんな僕が、この能力を喜ばないはずがない。この血を与えることによって、魔物を育てることができる。

心臓がドクドクと脈打ち、気持ちが高まる。

こんなワクワクする気持ち、久しぶりに味わった。まるであのゲームの中に入ったような感覚。リアル育成RPGの世界にやってきたように感じる。


これってもしかして、ブゥやノウミィをめちゃくちゃに強く育てれば、3人で旅をすることもできるんじゃないか?

僕が血を与えながら2人に力をつけてもらえば、戦えない僕を守りながら安全に旅を続けられるんじゃないだろうか。

その旅の中で新しい仲間ができたりして、見たこともない魔物と出会って…。


うわ、考えるだけでもう楽しい。ヤバイな、僕の能力があればこの世界滅茶苦茶楽しくなるじゃないか!


もともと、この世界での目標をどうするか悩んでいたところだ。知らない世界を冒険してみたいが自分に力が無いからどうしようかと思っていたけど、この能力があれば別だ。仲間を引き連れて、いろんなところに行くことができる。


よし、決めた!僕はこの世界で魔物マスターを目指そう!!


かなり強力な力を持つ魔物を育て、この世に知らない魔物はいないと言われる、そんな魔物マスターに。

あのゲームで言う、殿堂入りと図鑑コンプリートってとこだな。(さすがに怒られるかな)


まぁ問題は、投げたらモンスターを捕まえられるボールを僕が持っていないということだ。

ブゥもノウミィも、僕と一緒に暮らしているけど、別に捕まえたとかそんなんじゃない。生きていくために協力し合って暮らす、家族のようなものだと僕は思っている。

もしも今後ブゥやノウミィ以外の魔物と仲間になるとしても、こんな風に、本当の家族のような繋がりを持つことができる関係でいたい。

ボールなんかで無理やり捕まえるんじゃなくて、お互いがお互いを支え合える、そんな仲に。


あぁ、素敵だ。見たこともないファンジーな魔物たちと旅をしながら最強の戦士へと鍛え上げる。滾るー!


ということは、今後僕に必要になってくるのは魔物たちを引きつけるカリスマ性?なんだろう、全ての魔物に優しさを込めて微笑めばいいのかな。んー、わからん。


「ブゥ、それにノウミィ。僕、実は夢があってね…!」


僕は、2人に話して聞かせた。記憶がないからこの世界のことをまるで何も知らないこと、だからこそ世界を旅して様々なことやいろいろなものに触れてみたいこと、けれど自分の非力さを感じ半ば諦めかけていたこと、そして、自分の能力で仲間とともに世界を冒険したいこと…。

ブゥもノウミィも真剣に僕の話を聞いてくれた。ブゥに関してはどこまで僕の言ってることが理解できたのかわからないけどね。


「なんだか…素敵な話ね。私にはある程度の知識はあると思っていたけど、この森から一歩も出たことはないの。だから、森の外がどうなっているかもあまり知らないわ。というか、別に知ろうともしなかった。森から出るつもりなんてなかったから。」


ノウミィはそう言って肩を竦めた。


「けど、あなたの話を聞いていたら気が変わったわ。今の私の力では森の外は愚か、この森ですらいつ死んでもおかしくない。でも、あなたの能力があれば、私は襲われることを恐れることなく、自由に生きることができる!もっともっと強くなって、森の外の世界を旅することも夢じゃないわ!」


話しながら興奮しているのか、頬を赤く染めながらノウミィが言った。


「私はあなたに協力する。もともと、あなたは私の命の恩人のようなものだから、私にできることはなんでもしたいと思っていたしね。」


うおー、なんかすごく嬉しいこと言ってくれるな。僕がノウミィにしてあげたことなんて、ノウミィの花に水やりをしているぐらいなのに。


すると、それを聞いたブゥが、その場で数回円を描くように走った後、ぴょんぴょんと跳ねて鼻をフンッと鳴らした。

詳しいことはわからないけど、俺もついていく、的なことを言っているようだ。

僕は、初めっから素晴らしい仲間たちに恵まれていたたんだな。


「ブゥ、ノウミィ…。本当にありがとう!僕たちで、未知の世界を見て回ろう!」


おー!と3人で声を合わせ、大きく手をあげた。(ブゥは高く跳び上がった)


この日、僕のこの世界での目標は決まった。


未知の世界を冒険して、最強の魔物を育て、魔物マスターになること。多くの魔物と家族のような関係を築くこと。


僕は沸き立つ胸を押さえながら、希望に満ちた未来に想いを馳せていた。


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