表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/75

第16話『秘剣』

  小村丸先生からの依頼は、妖刀の回収だった。宮中で見た妖刀は2本で過去封印された数より明らかに減っているらしい。


 以前に封印されたものが7本ありそのうちの2本が宮中に現存し、1本が雑賀のジイさんが管理していたものつまり俺の剣だ。


 とすると4本の妖刀が所在不明と言う事になるらしい。この4本の妖刀を探し出して欲しいと依頼を受けたのだが雲をつかむような話だ。


 俺の妖刀が持ち出されたのは特例らしい。ロイドになった小村丸の兄とその原因となった妖刀を引き離すことで少しでも危険性を回避すると言う理由があったからだ。


 部屋で考えをまとめているとユリネがやって来た。小村丸との話が気になったのだろう。

 俺は、かいつまんで内容を説明した。


「まさか、そこまでの話だとは、思いませんでした。わたしは、郷のことで頭が一杯で……」


「ルリには黙っておいてくれ。心配掛けてもしょうがないからな」


「わかりました。ただ、わたしがお役に立てる事があればすぐ駆けつけますので……」


「それより今は郷のことだろ。俺も今回は一緒に行くことにしたから宜しくな。それと親父には内緒にしといてくれ」


「ですが折角お戻りになるのに……」残念そうなユリネ


 俺は、わざと話を変えて言った。

「ユリネは、秘剣の事は知っているよな。」


「は、はい佐々木家に伝わる奥義と聞いております。しかし、誰も極めた者はいない事も存じております。」


「俺が長剣にこだわっているのはそのせいなんだ。実は郷を出る前に俺は秘剣を極めたんだ。」


「えっ、あの技を!」

 ユリネは、驚いた顔でイオリを見た。同門としてそれは最終目標でもあるからだ。

 こんな時のイオリは、嘘をつかないことをユリネは知っている。

 そしてイオリがずっと隠している剣士としての才能を……


 幼い頃、屋敷に迷い込んで来た燕をイオリは棒きれで叩き落とした事があるのだ。偶然だと言っていたがユリネは知っている、イオリはそれを目で追っていた事を。


「あの技には、続きがあるんだ、まだ完成されたものでは無いんだよ。俺はそれを見てみたいんだ。」


「"真・燕返し"をね」


 ユリネが部屋に戻った後、支度を整えているとミツキがやって来た。出発の催促に来たのだろう。


「なあミツキ、郷の事が終わったとしてもしばらくはお前に付き合って貰わないとダメらしい。危ない目に合わせるかもしれないが俺が全力で守るから宜しく頼むな」


「し、しょうがないから、付き合ってあげるよ」ミツキは、すごく嬉しそうに言った。


「お前、なんか嬉しそうだけど危ない事が好きなアレなのかっ……」


 "殴られた" グーで


 小村丸先生には俺が郷に帰る事は伝えてあったのだがその時、妖刀を使い過ぎないようにとも忠告を受けたのだった。


「妖刀を使う者同士は、引かれ合うのです。」小村丸は、付け加えて言った。


 霊界師としてはクダンが同行してくれる事になった。ヨシツネの件もあったので最も信頼出来る者を派遣するという小村丸の配慮なのだろう。


 すっかり準備が整った俺たちは、故郷のイチジョウに向け出発したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ