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番外編~4年間~

0歳~4歳に飛ぶまでの話です。

次の話を呼んだ後の方が解りやすいかも。

~1歳の頃~


殆ど言葉は解らない。

ただ、多少は動けるようになった。

誰が母で、誰が父で、誰が兄であるかは把握できた。

やはり、この世界の民族は魔術のようなものが使えるらしい。見間違えではなかった。


兄が、魔術を用いて火を出してみせている。小さい子供の指先から火が出る。異様な光景だ。

兄が笑っている。兄が褒められている。兄が何かを俺に向かって話し掛けている。

兄は未だ子供、それも小さいのに、何故か俺の居た世界のモデルやタレントじみた雰囲気がある。

言い過ぎたかもしれない。ただ、事実キラキラとした、美男子という言葉を連想させられる雰囲気。

俺から見れば、大きな体。その体が、その雰囲気が美しかった。


俺と兄、二人兄弟。兄がこの家を継ぐのだろう。

大きい人だ。俺に無くて、兄にあるもの。家を継ぐという名誉、旗印の権威だけでない気がする。

嫉妬はなかった。尊敬も無いが。


寝て過ごす。正にそんな日々。動けるが、ほぼ寝かされている。


外は、どんな景色だろうか。転生は自己責任。故に如何なる世界に生まれようと、生まれて死ななければならない。

死ぬのは嫌だ。折角記憶があるのだ。これは異世界転生した者にあたえられるチャンスだ。


異世界は幾つ有るのだろう。数によっては一つの異世界に一人だけ別の世界から転生させている。

つまり、この世界の転生者は俺のみという可能性もある。混乱は避けられるので、合理的だ。


~2歳の頃~

少しは言葉が解ってきたかもしれない。

自由に動ける時間があるようだ。


家の中を見て回った。図書室、寝室、台所、庭、リビング

割りに広く、色々なものが揃っていた。10人はメイドがいた。警備に当たる男も居た。

掃除が行き届いた部屋ばかりだ。流石金持ちは格が違った。


毎日図書室で暇を潰して過ごした。他の部屋は人が多く、邪魔になりそうで落ち着けない。

メイドが常に付きまとっていた。なにやら話しながら、俺に笑いかけている。


ピンクの髪で、顔は上の下か上の中かな。まあまあ整っている。

この世界は美形が多いようだ。兄はその中でも格別だが。

このメイド異世界的に美人なのかは謎だが、まあまあ位の高いメイドらしい。

顔がいいから慕われるのか、顔は普通だからメイドにしか慣れなかったのか。謎だ。


図書室で女画を見つけた。卑猥な物でもないようだ。

美人が所狭しと集り、笑っている絵。これがこの世界の美人なのかもしれない。


まあいい。本をこのメイドに朗読させよう。そうすれば言葉も解るようになる。

本を指で指すと読んでくれた。高くて、透き通った声だ。


~3歳の頃~

大体の言語が解ってきた。変な術は魔法だそうだ。

どうにか児童書が読めるようになった。


あのメイド、名はアリスと言うらしい。17歳。

農民の生まれだそうで、畑等は大量の兄弟に任せて働いているらしい。


彼女は俺に言語を教えてくれた。生まれが農民なので方言が混じってそうだが。

よく本を自腹で買い与えて呉れた。

たまに歌を歌って聴かせてくれた。

「坊ちゃんはきっと偉いお人になりますよ」というのが口癖だ。俺のことを坊ちゃんと呼んでいる。

アリスは農民だった故、道端にある草の名前や野菜の名前を教えてくれた。


穏やかな日々が続いた。


4歳になる手前のある日、父が俺にこう持ちかけた。

「なあ、家庭教師を、雇ってみようと思うんだ。」

「いいと思います」

「そうか。それで、今からその人が挨拶に来るんだ」

「あ、はい」息子の拒否権は無かったのでは

「お前は、私と一緒にその人の話を聞け。」

「はい。お父さん、どんな人が来られるのですか?」

「そこらへんの広告に書いてあった家庭教師だ。どんな人かはそれ以外私も知らん」

「そうですか」


その人が来た。金髪の女。この人も美形だ。髪は短い。

ジョシュアと名乗った。

「お子さんが将来職に困らないよう、私が必要な知識を教えます。」

「息子を、よろしく願いします」


それから契約内容についての説明、父が印鑑を押した。

女は帰って行った。


「明日から休日、祝日以外はお前は勉強だ。」

「はい。」

「そうだ、今からお前に才能が解る魔法を掛ける。これを報告し、勉強の方針を決めよう。」

「解りました」

「数分動くな。今魔法を使う」


数分後


「出来たぞ。もう動いていい。」

「はい。」

「お前は万能魔法、召喚魔法、素手格闘の才能がある」

「そうですか」

「明日、先生に伝えよう」


そして明日


先生が来た。

「おはようございます」

「息子には、万能魔法、召喚魔法、素手での戦闘を中心にその他教養を身に付けさせてやって下さい。」

「解りました。」

「では、私はこれで」父が部屋から出た。


「名前は?」

「ケールです」

「そうですか。私は国語、数学、科学、社会を教えつつ、戦闘を教えます。」

「はい。」

「今日は勉強をしません。」

「そうですか」

「私は庶民の生まれです。ケール君のような貴族の生活を教えてください。」

「はあ、まあ」適当に話して聞かせた。


「へえ、凄いですね。」

「これに意味はあるんでしょうか」

「親善です」

「はあ」

「雑談をして私は帰ります。楽な仕事でしょう」

「まあ、そうですね」

「最初はそんなでも怒られません。楽です。」


しばらく話して、先生は帰っていった。



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