心臓の音は。
掲載日:2015/02/01
君の心臓がどくどくとなっている。
ぎゅってしたら、こんなにも心臓の音が聞こえる。
こんなにも、僕と君の音が重なっている。
「……恥ずかし」
そーいーながら涙を流していった。
君は僕の背中をしっかりとにぎりしめた。
服がしわしわになっちゃうよ。
僕は君に最高の笑顔を向ける。
君は初めて僕の前で涙を流していた。僕はそれがとても綺麗に見えた。
僕らは付き合って五年たったけど、デートもしたことがない。
手を繋いだことがない。キスもしたことがない。
君の腕に繋がれた細い管は君を離してはくれなかった。
「いつまでも、こーしてたいよ。」
「僕もだよ。」
僕はベッドから降りた君の細すぎる腕と足が怖かった。
このまま消えて行くんじゃないかって。
「……………ごめんね。」
そう言った君は、笑顔を向けて、僕に最期のキスをした。
君の心臓の音はもう聞こえなかった。




