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エピローグを先に読んだら後悔させろ!!

 清之助にはテーマパーク『異世界ランド』を作らせることにした。

「来年には一部だけでも開園させちまおう」

 やつは資産と能力を無駄づかいする天才だ。

「十年もかけてちゃ肝心の青春ハーレム時代が台無しだろ?」

 ひっぱりまわして無茶ぶりする親友を必要としている。


「『序章はとばされて上等』だ。まずはさっさと手の内をさらそう」

「『一章で逃がせば縁は一生ない』のインパクトでいえば巨人将軍だが、あいつの体型はウソくさすぎないか?」

「プロポーションとキャラクターが反論を消してくれる。あのサイズならではの演出を考えよう」


 オレは実家を出て平石家の敷地にある巨大宿舎『迷宮地獄の選手村』で管理人をはじめていた。

 食堂がほとんど会議室がわりにもなっていて、毎食のようにユキタン同盟の女子たちと食卓を囲む。

 美少女勇者、犬耳と猫耳の巨乳少女、金髪と銀髪のエルフ娘……異世界有数の『あこがれのヒロイン(個人の感想です)』たち。

 少し落ち着いてくると痴話げんかも盛んになり、オレも少しは成長したのか土下座や命乞いをしながらでも致命傷は自分で避けられるようになってきた。

 ハーレムと呼ぶにはなにか違う気もするけど、退屈だけはしていない。


「商店街にも顔見知りさんが増えたけど、意外にばれないものね?」ネコ獣人。

「しっぽまで出したのに信じてもらえなかった。だいじょうぶかよこの世界?」イヌ獣人。

「アタシの耳のほうが変にさわがれていたぜ? 似たような形をしたやつもたまに見るのに……なにかヘンタイ的な鑑定基準でもあるのか?」銀髪エルフ魔女。

「あるようですねえ。拙者の見ている資料でも……ええ、あくまで娯楽文化の調査用であって、決して小生の趣味嗜好ではなく……」金髪エルフ神官。

「くっ……これほどの世界が広がっていようとは……この即売会というのはまだ私の鍛錬では厳しい戦場か?」貧乳ボケ美少女。


「ウェブ小説もまだ作者どのへ感想コメントを書く勇気は……しかし読んでおいて何の対価も払わぬ不義理は騎士道にあるまじき……」貧乳ボケ聖騎士。


「まずは書きかたから学んでみるか。剣の儀礼もまずは相手を知ることからだ。この世界における戦場がここへ広がっているならば……」貧乳ボケ勇者。


「う?!『夢幻の道化』がランキング入りだと?! 貴様、この世界にもすでに魔手を?!」

「ふん、どれほど通じるものか試してみたが、根本は変わらぬものだな。このまま地獄へ突き落としてくれよう」どエス。

「アホ。それより企画資料に目を通しておけ」クソメガネ。



 清之助の企業グループが総力を挙げて、フィクションのふりで異世界を紹介するメディア戦略がはじまっていた。

 総監督は陰険どエス策謀家が仕切っている。

 オレは総監修という名目で、思いつきをたれ流して口だしするだけ。

 応援団長とも言えない、一読者のようなもの。


 脚本関連は沙羅先生が中心だったけど、変に正気がもどってしまったせいか、常識人みたいな不安をもらすことが多くなっていた。


「こんなことして結局、どうなっちゃうのかしら……見通しはあるの?」


 以下はオレと親友のどっちが言ったのか、よくおぼえていない。


「そんなもん、あってたまるか。希望も期待も不安も絶望も全部つなげてやれ。それが世界を救うために必要な『物語』だ」


「歴史を大団円なんぞで完結させてたまるか。将来の死亡予定まで記したラブレターになんの価値がある?」


「互いの生きかたを、魂を感じさせる『物語』だけが求められている!」


「読者は登場人物と成長を共にして、真の結末を自分の中に創り出す!」



「エピローグを先に読んだら後悔させろ!!」







(『迷宮地獄は花園天国で粉砕する!!』 おわり)







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