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ほんとうにあったコワい話〜裏切り

 真っ向から正論を唱えるべき必要を感じ、裏切りについて述べます。

 事情あって具体的な経緯を述べることができない点、許されたいと思います。


 どれだけ頑張って努力しても、どうしても信じてあげられなかった人がいました。

 その人は私に対して好意的に接してくれ、何かと便宜を図ってくれたりしました。今でもそういった部分には深く感謝しています。

 ――しかし。

 その人は私の目の前で、堂々と人を裏切ってみせたのです。

 裏切られた側の人を私はよく知っていたわけではありませんが、話を聞く限りにおいてはそうされなければならなかった強い理由が認められます。

 しかしいかなる理由があれ、裏切りは裏切りです。

 その時から私は、かの人を信じることができなくなりました。

 接するたびに思ってしまうのです。


 いつかこいつは、自分に同じことをするだろう。


 思い込みが過ぎる、と言われるかもしれませんが、相手の人生や価値観に重大な影響を及ぼすほどの裏切り行為を見せつけられたならば、誰だってそういう気持ちになるんじゃないかと思います。人としての道を外れた行為を躊躇いもなくやってのける人間を「大目に見てやれ」なんていうのは、本当の恐ろしさを知らない人の言い分でしょう。

 また、さる有名な人物も


「裏切る人間は相手を選ばない」

「裏切りは徳のない人間の行為である。ゆえに、繰り返す」


 と、述べています。

 多分に推測を含みますが、実際、私が知らない陰で何事かが行われつつあった気配があります。

 ただし、ここで重要なのは、私も裏切りを傍観してしまったという一点です。

 今思えば、関係が切れてしまおうが何としてでも止めるべきだったと感じています。

 傍観は同罪。

 目の前で行われた裏切りを私は黙って見て見ぬふりをし、結果的に一人の人間の生き方に何らかの不都合を蒙らせることになってしまいました。

 そんな後ろめたさやら、いつ自分に降りかかってくるかもしれないという恐怖感から、私はその人と大きく距離を空けました。今ではもう、ほとんど疎遠同然です。

 もしもいつか他の誰かが目の前で裏切りを演じようとするならば、断じて許してはなるまい。

 また、自分は絶対に周囲の人を裏切るまい。

 固くかたく決意しながら、私は日々を送り始めました。


 が。

 裏切りを黙認してしまった報いなのでしょう。

 ある日、私は全く自分に非がない状況において、不慮の不利益を蒙ってしまったのです。

 幸いにして生命や身体に害はありませんでしたが、しかしとてもありえないような状況で、それは起きました。相手があったのですが、その人間も瞬間的に魔が差したとした言いようのない心理だったようです。

 突然身に降りかかってきた不運を呪いつつも、冷静になってみてハッと思い当りました。

 そのことが起きた日のほぼ一年前、例の人の裏切り行為があったのです。

 あらためて私は、過ぎた日の自分の行為を悔い、恥じました。

 ああ、これは報いなんだな、と。

 しかし、事はそれだけでは収まりませんでした。

 私を取り巻く周囲で色んな出来事があり、結果としてしばらく私の心は休まる時がなくなってしまったのです。

 これには結構、堪えました。正直、ツラかった。

 ですが、自分が招いた結果だと冷静に見つめ、受け止める努力をしていくにつれ、事態は全て終息の方向に向かっていきました。

 この教訓を常に忘れず、誰にも恥じることのない生き方をしていくつもりです。



 なお、かつての私の知人であった、かの裏切った人について、今はどこで何をしているのかよくわかりません。

 ただ風の便りで耳にしたところによると、その後色々あった末、自分が裏切った人に頭を下げざるを得ない状況に立ち至ったようです。

 これも報いと呼んでいいものか、どうか。

 結局、人の道に外れた行為に及べば、最後は自分がその代償を払わねばならないのでしょう。

 実に恐ろしい経験をしました。

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