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雪のはなし

 この稿をアップした二日ほど前、西日本から東日本の広い範囲において記録的な降雪がありました。

 交通機関のマヒはもちろんのこと、停電に見舞われた地域もあったとか。

 雪国に暮らしている私や周りの人達は「雪が降ったくらいでねぇ」と思っちゃうのですが、生活習慣が違うと一度の降雪でさえそのように大きな影響をもたらしてしまうようです。

 ともあれ、大変なご苦労をなさった方々にお見舞い申し上げる次第です。



 最近、ほとんど降雪のない地域にお住いのさるユーザ様と雪についてお話をする機会がありました。

 そんなこともあり、少し「雪」あるいは「降雪のある地域での暮らし」について述べてみたくなったのです。

 あらかじめご了解いただきたいのは、日本で降雪地域といえば北海道、東北、信越、北陸、あるいは北関東かな、と思いますが、それぞれで対策だったり習慣だったり考え方だったり、異なるところがあります。よって、私がこれから述べることがすべての地域に当てはまる内容ではなく、私が住んでいる地域における話だと思っていただけますと幸いです。



 さて、降雪。

 私の仕事も雪に左右されるのですが、職場で話をしていると、こういう表現がままあります。


「今日の夜中から明日の朝にかけて、二十センチの降雪らしい」

「某方面だと、積雪が三メートルだって。ひと冬分、降ってしまったようなものだ」


 降雪と積雪。

 正しく言い直しますが、降雪量と積雪量。

 何が違うのか?

 私の会社しかり、天気予報の世界でも同じかと思いますが、降雪量というのは、一定の時間あたりで降り積もった雪の量を意味します。六時間とか十二時間とか、まあそれくらいの単位です。

 これに対し、積雪量というのは一定の期間あたりで降り積もった雪の量を示します。

 ですから、上記会話文中の「積雪三メートル」というのは、初めて雪が降った日から累積していってこの会話の日までに約三メートル分雪が積もった、ということになります。

 と言われても、雪が降らない地域にお住いの方はピンとこないかも知れません。

 三メートルも雪が降ったら、家が埋まってしまうのでは?

 ――当然、除雪しますし、晴れれば解けます。

 ゆえに、いつまでも町中に三メートルもの雪が残っているわけではありません。

 降った雪の量を積算することによって、そのシーズンにどれだけ雪が降ったのかというデータになるわけなんですね。

 たとえば、昨年の同期間の積雪量が三メートルだった地域で、今年は五メートルになっていれば、明らかに今年のほうが去年よりも雪が多く降っていることになります。

 このデータを年ごとに並べてみると、多く降ったり少なかった年が交互だったり続いたりしているので、これを元に次の冬はどうなるか、という予想を立てつつ除雪計画や対策を立てるのです。

 といっても、多い地域では一晩に五十センチとかいうケースもありましたから、そうなると大変です。

 一気に五十センチ降るとどういうことになるか?

 乗用車のタイヤ、どころかボンネットあたりまで雪で埋まってしまい、きれいに除雪しなければ馬力のある車でない限り脱出できません。屋根の上もすごいことになります。

 鉄道でも同じで、排雪列車で線路をきれいにしないと発車できません。雪を抱えてしまうと、いかに鉄道といえども身動きとれなくなってしまうんですね。ですから、積雪地域の鉄道会社では鉄道を運行させるために毎日毎日除雪を行っているのです。都心では考えられないかもしれません。



 雪国の暮らしという面を少し述べます。

 降雪地域では、エアコンの室外機やストーブの排気口設置部分について、取扱説明書に「警告」が記載されます。何がって、低い位置に取り付けてしまうと雪に埋まって作動しなくなったり、排気口が詰まって逆流を起こし、室内に有毒な排気が流れ込んでしまうからなのですね。

 車について先述しましたが、一般家庭においても冬季前にやらなくてはならないことがあります。

 冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)と、冬用ブレード(ワイパー)への交換です。

 夏タイヤで冬道を走るなどは自殺行為と同義なのですね。

 冬も近くなった秋の日曜日など、あちこちで車をジャッキアップしている光景が見られます。あるいは、車用品専門店やガソリンスタンドはタイヤ交換の依頼が舞い込んで大変込み合います。

 ウィンドゥウォッシャー液も、降雪地域は不凍仕様のそれを使わなくてはなりません。うかつに水なんか足すと、あっという間に凍結してしまいます。雪が降るならウォッシャー要らんだろ、とかいうことにはなりません。

 そしてもっとも大切なのは、車に雪下ろし用の道具やスコップ、あるいは脱出用ヘルパーなども積み込んでおくことです。私の車の後部座席はそれらの用品が積まれていて、四人乗りが現在二人乗りになっています(笑)。

 車に乗らない方にはピンとこない話ですが、雪国では多くの人が4WD車を選びます。よほど排気量が大きいか、どうしても欲しい車種でない限り、あまりFF車は選びません。FRなどもっての外です。JAFさんと仲良くなってしまいますね。

 ちなみに私の車は多少車高が高く、少しくらいの降雪なら踏み越えられるタイプの車種を買いました。燃費はひどく悪いですが、埋まって動けなるよりははるかにマシです。

 車の話が長くなってしまいましたが、最後にもう一つ。

 これは某テレビ番組でも取り上げていましたが、私の住む地域では駐車する際にワイパーを立てておきます。そうしないと、雪に埋まったりフロントガラスに凍り付いてしまったりするからです。

 大きな駐車場なんかへ行くと圧巻ですね。

 どの車もぴょんぴょんとワイパーが飛び出している。

 まあ、これも雪国の知恵というものでしょう。



 語りだすとキリがありませんね(笑)。

 以下、箇条書きしちゃいます。


・降雪が続くと、雪山ができるため車線が減る。

 ひどいときには、片側三車線が一車線になる。

・市街地を外れた一般道の両脇には、一定間隔で矢印が取り付けられている。

 雪で道路幅がわからなくなってしまうため。

・コンビニでふつうにスコップや灯油が売られている。

 (注、すべてのコンビニということではありません)

・一般住宅はじめ、建物の窓が保温のため二重になっている。

・冷え込みがひどい日は、テレビで「凍結注意」が流れる。

 (水を落として寝ないと、水道管が凍結してしまうため)



 まだまだあるんですが、列挙してどうする? という気がしてきたのでこれくらいにしておきます。


 私個人的には、逆に沖縄や九州南部にお住まいの方の苦労話を聞いてみたい気がします。

 雪が降らない地域ならではの大変さ、というものもあるでしょうから。

 台風とか大雨とかが大変じゃないのかな、とか思ったりもしますが。


 しかしまあ、近年は気候がおかしくなってきているようでして、従来豪雪地帯だった地域が降らなくなったり、その逆があったりするようです。今回の広範囲の降雪も、その一端かも知れませんね。

 温暖化が進んでいくと、そのうち雪なんか降らなくなるのでしょうか。

 それはそれで楽といえば楽なんですが、あまり地球環境が悪くならないで欲しいと願います。

 

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