表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

文章に慣れていると損はしない

 この「なろう」を利用していて、思うことがあります。

 非常に多くのユーザがいる中で、若年層といっていい小学生や中学生もいて、懸命に小説を書いて投稿している。まだまだ若い方々なのでそのグレードや出来ばえはともかくとしても、自分から進んで文章を書こうとしているのは大変立派なことである、という点です。


 私が文章(=小説)を書き始めたのは高校生になってからで、どちらかといえば小中学生の頃は国語という教科が好きではありませんでした。

 現在はどうだかわかりませんが、読んで感じることは人それぞれであるべきなのに、常に模範解答みたいなものを押し付けられ、それをテストで書かなければ点数が取れない。そのことをどうもばかばかしいと思った記憶があります。国語が好きでなかったのはそういった事情が背景にあるのですね。


 ではどうして高校生になって文章を書くようになったかといえば、自分の中にあるいろんなもの(=想像の世界、考え方、意見等々)を具体的に表現したくなったからです。もう少しわかりやすくいいますと、当時好んで読んでいたファンタジー小説の男子キャラがあまりにも不甲斐なく、その設定をとても不満に思っていました。男としてもっと強く逞しくあって欲しかったのです。

 ついには読むのをやめ、自分で考えた設定や世界観を文章に起こすことを始めました。

 私が小説を書くようになったきっかけです。


 たぶん、としかいえませんが、小説を書く方の多くは「自分の中にあるものを具体的な形として表現してみたい」という衝動があったのではないか、と推測します。


 そうした動機はともかくとしても、若い方々が自分で懸命に文章(=作品)を書こうとしているのは、すごく良いことだと考えます。

 願わくば、本当に自分で考えた自分だけの世界を表現していっていただきたいという点です。

 出来合いの作品(アニメやラノベ)などから設定を引っ張って自分のアレンジにしても、それは本当の意味で「創作」ではない。創作の真の価値は「作者の中にある作者だけの世界を表現する」ところにあるからなのですね。

 ですから、アニメやラノベなどの影響を受けることそれ自体は別に悪いことではなく、どんどん影響をうけて自分の中の「ネタ」「アイデア」を膨らませていけばいいと思います。悪いことは、その作品をそのまま流用してしまうことですね。これは創作とはいえない。


 入り口がアニメやラノベであれ、文章に慣れておくことは非常に重要です。

 私の経験上、断言できます。

 特に、社会人になるといろんな場面で文章を書かねばならないシーンにぶつかるからなのですね。


 一つ例を挙げます。


 後輩に佐藤君という人がいます。

 彼は入社してからまだ経験が浅いにも関わらず、商品企画という重要な仕事を任せられました。

 商品企画は、担当者だけが良ければそれで済む仕事ではありません。上司、販売担当者、その他関係部署を説得し、納得させなければどんな良いアイデアも日の目を見ないのです。

 この佐藤君、論理的に物を考えることが出来る人で、考えた商品のアイデアも決して悪くない。

 ただ、それをどうやって上司や関係部署に理解してもらおうかと悩んでいました。

 そこで彼は商品の優位性を論証した資料を作成し、データだけでなく誰が読んでも理解しやすいような文章でもって詳細な説明を記載したのです。

 すると、佐藤君の平易でわかりやすい文章(=説明)を読んだ上司はストレートに納得しました。

 だけでなく、すべての関係部署からも短期間で了解を取り付けることができ、結果として佐藤君のアイデアはスムーズに商品化され、店頭に並べられることになったのです。


 このように、文章がきちんとしていると実際に役に立つことがあるのですね。

 しかしながら、他の人が理解しにくい文章を書いてしまうと逆に苦労することがある。


 佐藤君よりさらに後輩の女性社員、田中さん。

 彼女は一流の大学を卒業していて、英語を専門に勉強してきました。

 希望が叶ってお客様窓口担当となった田中さんは、得意の英語で海外のお客様とのコミュニケーションは抜群です。

 ところが、お客様窓口には苦情やクレームが寄せられることもある。

 とある苦情対応をした田中さんはその内容を報告書にまとめ、上司に提出しました。

 一読した上司、眉をしかめながら


「田中さん、結局このお客様は何を仰っていたの? うちの会社にどうして欲しかったの?」

「ですから、それは報告書に書いた通りですが……」


 その報告書を私も目にしましたが、凄まじい文章であったことを覚えています。

 まったく切れ目のない一文が延々、数行にわたって続いている。

 これでは読まされた上司の方がかわいそうというものです。

 田中さんは当該苦情の件について、上司や関係者にあらためて説明しなければならなくなりました。


 

 誤解のないように申し添えますが、別に英語ばかり勉強するなという話ではありません。

 ただ、きちんとした文章が書けないと、肝心なところでつまづいてしまうことがある、ということを田中さんの例から述べたかったのですね。


 ともあれ、早いうちから文章に慣れ、文章を書けるようにしておくことは目に見えて得にはならなくても、損にもならない、ということがいえそうです。


 その意味において、この「なろう」は絶好の鍛錬の場であるといっていいでしょう。

 恐れずにどんどん書くべきだと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ