読んだら死んじゃう本
二年前に書いた作品です
主人公の一人称からの心理描写に挑戦してみたっかたのですが、うまくいっているかどうか
オチは弱いです
『その本を読んだものは、十三日後に死ぬ』
さっき友人がおどろおどろしく語っていた、季節はずれの怪談話。
呪い? くだらない。
そんな不確かなものなんぞで人間が簡単に死んでしまうのなら、この国の年間死亡者数は絶望的なことになってしまっているはずだ。地球温暖化には好影響をあたえそうだけど。
まぁもっとも、怪談話なんてものは楽しく盛り上がる材料として存在しているわけで。ぐだぐだ言ってるオレだって、正直なところ、結構好きな方だったりする。バカな仲間と一緒になって騒ぎもするし、持ちネタだっていくつかはある。
では、なぜオレは今こんな話をしているのか。
その答えはオレの目の前にある。
「読んだら死んじゃう本」
そんなタイトルがでかでかと表紙を飾っている、若干厚めのハードカバー本がオレの机の上にあるのだ。
な? 笑っちゃうだろ?
先の友人が仕掛けたんじゃないかっていうくらい、無駄に露骨で荒唐無稽。
しかし、友人の悪戯だとしたら少々おかしな点がある。
急ごしらえにしては、異常に古ぼけていて、とてもそんな風には見えない。
では本物なのだろうか。本当に呪いの本なのだろうか。
冒頭でも述べたように、呪いの類は存在するはずがないのだ。
すなわち、この本が現実問題として「人を死に追いやる本」である確率は限りなくゼロに近いのだ。
「限りなく~」といったのは、万が一ということもまきにしもあらずだからな。これくらい許せ。
と、そこまで思考を巡らせていたオレだったが、結果的に
(無視しよう)
という結論に落ち着いたため、再び歩き出すことにした。
しかし、数歩ほど進んだところで、ふととあるひとつの迷いが脳裏を過ぎった。
(このまま帰ってしまっても、後悔しないだろうか? こんな面白そうな場面、そうそう出くわすもんじゃないぞ)
そしてオレは、つい振り返って引き返し、「読んだら死んじゃう本」をてにとってしまった。
家に帰り、飯を食い風呂に入っている間、なぜだか無性にあの本の中身が気になりだした。
本当は、明日学校で友人たちと一緒にワイワイやりながら開くつもりだったのに。
風呂からあがり、髪もろくに乾かさないで、オレは例の本を開いた。
そして十三日後、オレは死んだ。
なんて阿呆なことは一切起こらなかった。
代わりに、オレはこの件のくだらないオチに落胆しつつも、声にだして笑ってしまった。
「ははっ、なんだコレ。死ねるわけがないじゃねぇか。ってかむしろ読めねー」
勘や察しのいい人ならば、恐らくもうお気づきのことだろうと思う。
単刀直入に答えをお教えしよう。
そう。白紙だったのである。
念のために、後ろのページもペラペラと捲ってみたが、どのページも見事に真っ白。
ページ数はおろか、染みひとつない。少しばかり日に焼けて黄ばみがかっているくらい。
オレがとばしたと思っていた目次だってない。
言ってしまえば、本型の古いメモ帳である。
誰だ、こんな壮大なドッキリを仕掛けた愛すべき馬鹿野郎は。
オチが単純すぎて、逆に最後まで気付けなかったじゃないか。
ごめん。今のは言い訳でした。
なんだかもう面倒くさくなってしまったオレは、部屋の隅のゴミ箱に「読んだら死んじゃう本」を投げ捨てた。
そして十四日後、オレはまだまだ元気です
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