雨
掲載日:2026/03/25
雨が降った。
夜の道を歩いていた。
チカチカと点灯する明かりの下、真っ赤に染まった上司の顔を見た。
呪いの成分が空気に満ちていた。
それは、彼から発されていたのだろう。
鞄を掴む。
中に入れていた書類がひしゃげる。
皮の手触りが気持ち悪い。
水滴が落ちた。
ひんやりとしていて、体の奥まで透き通っていく。
血管に侵入し、血の塊と溶け合っている。
溶けていく。
水たまりを踏んだ。
弾けた。
散った。
ズボンにかかっていたが、気にはならなかった。
新卒で買ったものだった。
皺が刻まれている。
迫りくる車の音。
ヘッドライトが目に刺さる。
視界が真っ白に染まり、真っ黒に染まった。
一瞬の出来事だった。
今日は何日だろうか?
空き缶は潰れている。




