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【モニカの解説編】『見えざる戦争:アルマラカン危機の構造分析』

 このアルマラカン編、情勢が複雑すぎて理解が追いつかない方もいるかもしれないので、私――モニカが資料をまとめました。


 ……はぁ。いいですか、一度しか言いませんから、その死んだ魚のような目を少しは開いて、ちゃんと聞いてくださいね。


 私が昨夜、睡眠時間を三時間も削ってまとめた資料です。


挿絵(By みてみん)


 題して――『見えざる戦争:アルマラカン危機の構造分析』。


① 商国の真の狙い

 商連合の連中にとって、アルマラカンは「破壊」すべき敵でも「支配」すべき領土でもありません。彼らの目的はただ一つ。『戦争を起こさずに、戦争寸前の緊張状態を維持して儲け続けること』です。 完全に滅んでしまえば客がいなくなりますし、支配するには管理コストがかかりすぎる。一番美味しいのは、双方が『明日にも殺されるかもしれない』と怯えながら、高価な弾薬を買い続ける状態なんです。


挿絵(By みてみん)


② なぜアルマラカンは搾取されるのか?

理由は四つの欠陥に集約されます。

 「構造」: 部族連合体であるがゆえに、横のつながりが弱く、まとまりがない。

 「経済」: 契約や金融の知識が未発達で、交渉の席では赤子同然。

 「軍事」: 個々の身体能力は最凶ですが、組織的な近代戦には不慣れで、何より銃と弾薬を自給できない。

 「情報」: 根拠のない噂や恐怖が、合理的な判断を上書きしてしまう脆弱な環境。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


③ 絶望の永久機関(依存のシステム)

商国が構築したのは、一度ハマれば抜け出せない地獄のループです。


 情報操作: 情報紙で『隣の部族が裏切った』『魔導国が攻めてくる』と嘘を流し、危機感を煽る。

 

 武器販売: 恐怖した部族に『今だけ特別価格』でライフルを売りつける。

 

 借金の首輪: お金がない部族には借金をさせる。返済は金貨ではなく、鉱山の権利や運河の通行権、つまり『国の未来』を担保に取る。

 

 部族間分断: 物流をわざと遅延させ、その責任を他部族に擦り付けることで、連邦としての自律を阻む。

 

 人身取引: 混乱に乗じて女・子供を誘拐し、他国へ労働力として売却する。


 ループ: その誘拐を再び『他部族の仕業』として情報操作し、また復讐のための武器を買わせる。

……反吐が出ますね。システムとして完成されすぎています。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)



④ 彼らが最も恐れているもの

 商国がこの完璧な集金システムを維持するために、唯一、何としても阻止したいこと。それは、アルマラカンの「自律」です。 獣人たちが自分たちの言葉で語り合い、外部の情報操作に頼らず、自分たちの足で立ち上がること。それこそが、商国の帳簿を赤字に叩き落とす唯一の劇薬なんです。


挿絵(By みてみん)


 ……さて、状況は整理できましたか? 資料はそこに置いておきます。私はコーヒーを淹れ直してきますから、リクさんはさっさとマッピングの精度を上げて、この不快なシステムを上書きする準備を整えてください。

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