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『しーちゃんと記憶の図書館』第23話
夕焼けの絵
次の週、少年は図書館にやってきた。
手には、画用紙と色鉛筆の箱。
—
「この前の夕焼け、描いてみたんだ」
そう言って、画用紙をしーちゃんに差し出す。
—
紙いっぱいに広がる橙と紫。
丘の上に立つ三つの小さな影も描かれていた。
—
「これ、図書館に置いてほしい」
少年は少し照れくさそうに言った。
—
しーちゃんは、その絵を額に入れて、
“記憶の棚”の夕焼けの本の横に飾った。
—
数日後、その絵を見た別の子どもが、
「この空、ぼくも見たい」と言った。
—
そしてまた別の日には、
年配の男性がその絵の前で立ち止まり、
小さく「昔の色と似ている」とつぶやいた。
—
夕焼けは、あの日の三人だけのものではなくなった。
それは誰かの記憶を呼び起こす、
図書館の新しい灯になっていた。




