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『しーちゃんと記憶の図書館』第102話
動物園の日
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犬の写真と猫の絵が並んだ棚の前に、
人だかりができていた。
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「かわいい……」
「この子、うちの猫にそっくり」
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ある女性がぽつりと言った。
「ここ、まるで小さな動物園みたい」
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その言葉に、そばにいた男の子が目を輝かせた。
「じゃあ、“動物園の日”を作ろうよ!」
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提案はあっという間に広がった。
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その日、図書館の一角に
「動物園の日」と書かれた黒板が置かれた。
来館者は、自分の大切な動物の写真や絵を持ち寄ることになった。
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小鳥、ウサギ、ハムスター、カメ……
棚はあっという間に命の記憶でいっぱいになった。
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しーちゃんは、並んだ写真の前で微笑んだ。
「みんな、ここでまた会えたね」
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外から入ってきた風が、
風鈴と一緒に命たちの声を運んでいた。