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わが心なぐさめかねつ  作者: 多谷昇太
大野の月
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新大和物語とでも申しましょうか

「わが心なぐさめかねつ更級や姥捨て山に照る月を見て」。古今和歌集に詠み人知らずで記載されているこの名歌、後に更級日記の題名にも使われ、また大和物語の説話ともなりました、現在の長野県、千曲市にございます冠着山かむりきやまを姥捨て山に見立てて詠まれたものでございます。慰めかねた内容が本当に姥捨てにまつわるものかどうか定かではないそうですが、大和物語の説話以来、その筋書き通りのことと今ではなっているようでございます。

 嫁に責められて老母を山に捨てた男が慚愧の念に堪え切れず、また母への愛にもさいなまれて、ふたたび母を連れ戻すというお話ですが、この説話内の人と時代を変えまして、また現代の世知辛い世相にも絡めまして、一部史実を交えての講談といたしました次第。どうかごゆるりと御静聴のほどをお願い申し上げます。

 えー、なお、それならば中身を変えたりせず、大和物語をそのまま講釈すればいいではないかと、御指摘の向きもございましょうが、しかしそれではわたくしの講談創作の才能がおおやけになりません。また、講談内に有名人、エンターティナーを登場させませんと今日日皆様方のお耳も引けず、引いてはわたくしの懐具合にも関係してまいりますので、えー、その有名人のお力をもお借りした次第です。その方が誰であるかは、こうして講談を聞きに来られるような、教養にあふれた、皆様方のような方でない限り、あるいは御存知ないやも知れません。(腕時計を見るふりをして)約5分後にその方の名をお知らせします。待たせません、私は、はい。要するにすぐです。えー、ともかく、「新大和物語」とでも称すべき‘名作’へと、わたくしの力量をもちまして、作り変えさせていただきました次第でございます。蛇足ながらひとことまで…。

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