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挨拶は扉よりするのが礼儀

今回パロはなしです。

 右近の一服が終わるまでの間に、土左衛門となった男の名前などをあっさりと話す松壽。店主がそれを訝しがるのも当然というもので。

「店主、言うな。まぁ大体想像はつくが」

「へぇ」

 店主とてそう言われてしまえば、大体想像がつくというものである。松壽は右近に捜査を依頼しつつ、周りにも敢えて(、、、)漏らしているのだと。

「私は風来坊と共に捜査にあたりましょう。いくら乳兄弟だからと言って、否、乳兄弟と養育を依頼した方だからこそ、関わらない方が良い。月番が違うとはいえ、北町の奉行様にお任せすべきです」

「……わかっておる。ここに来る前に上様と遠坂(とおさか)殿にお会いして、その旨話しておるわ。其方に依頼するのも遠坂殿に言われたのよ。このお役目でなくば、私がひっ捕らえたいくらいだ」

 はぁ、と松壽がでかい溜息をついた。

「風来坊にはその旨私から説明しますよ。あの方、本当にあなたのことがお好きなようだ」

「……すまぬ。私にはこの事件が片付くまで……」

「『私に合わせる顔がない』そう言いたいの? 市之亟」

「弥次郎様!!」

 天井から降ってきた声に、松壽が驚いていた。……無論、店主も驚いたが右近だけは何事もないかのように、煙管をふかしていた。


 驚くのもつかの間、松壽は弥次郎の説教へと移っていた。

「右近の旦那」

「どうした、店主」

「旦那が想像していたのは、こっちですかい」

 この程度の騒音、気にしていたら賭場などできないし、住み着くこともできない。二人そろって生温かい目でそれを見てしまうのは仕方がないことである。

 ……ただし長くならなければ、であるが。

「いや、あの方は普通に店主の後ろの扉か、はたまた窓から来るとは思っていたが。

 店主が想像していたのも、間違いはない。薄い気配(、、、、)が無くなったからな」

「右近の旦那の中には、そちらも?」

 というか、店主の中に弥次郎が聞いているかもという選択肢はなかった。

「うむ。この調子だと松壽様もそのようだ。少し考えればわかることだろうに」

 右近曰く、ある意味お家騒動勃発なのだ。しかもお膝元の譜代大名家で。その上乳兄弟は南町奉行。上様や身に覚えのない老中たちが、手をこまねいてい見ているわけがない。

 自称「浪人」の風来坊こと、弥次郎と上様もご面識があるはず。ならば隠密を使って呼び出してもおかしくはないのだと。

「頭が回らなかったのか、これが演技なのかは謎ではあるがな」

 そう言って、またしても煙管を吹かす右近であった。


「ねぇ、右近! 助けて!! その『関係ない』みたいな顔してないで、市之亟を止めて!!」

「お断りします。天井から出てきたあなた様が悪いので。甘んじて松壽様の説教を受けてください」

 助けを求めた弥次郎を、あっさりと突き放す右近。そして、それが松壽の怒りに油を注いでいた。

「酷い! 私が名を偽っていたのが悪かったの!?」

「いいえ。巻き込まれたくないだけですよ。

 店主、私だけ出るから、松壽様にあとで茶を出していておくれ」

「へい」

「行き先は南町奉行所だと言っておいておくれ」

「ちょっ! 右近!! 薄情者――――!!」



後程活動報告に、おおよそイメージしている方を書きます。

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