初心者 1
6
城下町を歩いていると山健と稲川はひたすら「すげー」
を連発するだけで、歩いていても上の空だ。
僕も初めて見たときは同じだったから人のことは言えないけど。
僕は魔姫から課せられたオオカミ狩りに出かけることにした。
初心者向けではないらしいが、今は亡き、魔后の能力を受け継いでいるので
それさえコントロールできれば強いから大丈夫らしい。
「な~にをしてらっしゃるのかしら?」
ふと後ろから魔姫の声が聞こえてきた。
「うわぁ~、」山健と稲川は魔姫が来たことにも驚いたが
魔姫の姿にはもっとびっくりしていた。頭に直接、足が生えているからだ
足と言ってもすらりとした脚は全くなくて、あごの下に生えているように見える。
1頭身の魔姫を見て、山健も稲川も愕然としていた。
「山健さんと稲川さんは帰ったほうがよろしいかと思われますよ。」
案外、こちらの世界に2人が来たことを怒っていないようだ。
魔姫は俺の心の声に答えるように言った。
「まあ、原始人がこの世界に来るのは不愉快ですよ。でもわたくしも
あちらの世界で学校に行って生活している以上、来るなとは言えません。」
「こっちに来てもいいんでしょうか?」
おそるおそる稲川が言うと、
「ぬけ太の許可があれば別に構いません。もうわたくしの世界ではないのですから。」
「この3人でパーティー組んでもいいですか?」
僕がそう言うと魔姫は
「お好きにどうぞ」と言うと王城に帰ってしまった。