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花壇
目の前には花壇があった。
「コンニチワ」と話しかけてくる。
だが話しているのは花壇自体であり、
都会に来ても花は話せないみたいだ。
やっぱり生き物が話すと気持ちが悪いと思うのは
人間もロボットも一緒か。
「こんにちは。」
試しに言ってみた。返された言葉は「コンニチワ」だった。
花なんて話せないし、生き物だし、無駄なものだ。
何故今の時代花を愛でるような人間が存在するのであろうか。
突然、後ろから水をかけられた。振り返ると、
「オハナニミズヲアゲマショウ、オハナニミズヲアゲマショウ」
と言っているロボットがいた。
気持ち悪くなってきてすぐ乾燥させてその場を去った。
通勤カバンが濡らされなくてよかった。
ロボットも花同様に気持ち悪いのかもしれないと思い始めた。
だが花を愛でさせるロボットを愛でる人間が
1番気持ち悪い。