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極大魔力の初級魔法  作者: 明日葉 晴
第1章 二度目の人生、魔力とは?強さとは?
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第5話

こんにちは!

明日葉 晴です!

もうすぐクリスマスですね!

たまに外に出るとクリスマス一色でとても華やかで、気分も明るくなりますね!

では本編をどうぞ!

 前回のあらすじ

 魔法と剣の道を両立しようと努力するソラ。村の道場の仲間のほぼ全員に認められる程に剣術が上達する。しかしそのなかでも一人、クラウセッドだけが頑なに認めようとはしない。そんなクラウセッドを無視しつつ、先生から剣術を学び続ける。また、なにやら忙しい父と、それを支える母の愛を改めて確信したのであった。


 =======================


 訓練をする日が続く、ある日の夜。


 カン!カン!カン!カン!


 村の非常事態を告げる鐘で目を覚ました。


「ソラ!起きてる!?」

「お母さん!起きてるよ!何があったの!?」

「わからないわ。今お父さんが他の人に呼ばれて行ったわ。私達は決まりに従って、協会へ行きましょう。」

「わかった。」


 アタシ達は協会へと急いだ。


 =======================


 協会に着くとすでに多くの人が来ていた。

 しばらくして、マリン司祭が壇上に立った。


「みなさん、落ち着いて聞いてください。今、村に魔物の群れが来ています。」


 そう言うと、村のみんながざわめき出す。


「落ち着いてください。今は衛兵のみなさんが警戒しています。近くの村に応援も呼びに行っています。時期に治まると思いますが、しばらくはこの協会で待機していましょう。」


 マリン司祭は諭す様にそう言った。


「お父さん、大丈夫かな…」

「大丈夫よ。お父さんは強いのよ?」

「先生より?」

「先生?あぁ、バウゼルさんね。あの方は村で一番強いから、お父さんの方が負けちゃうわね。けど、お父さんもバウゼルさんに剣を習っていたのよ。」

「お父さんも?知らなかった。」

「ふふ。お父さんは、ソラに一番強いって思われたくて言ってなかったけど、バウゼルさんは本当に強い方なの。」


 バン!


 そんな会話をしていたら、協会の扉が大きな音を立てて開き、衛兵が駆け込んできた。


「大変です!マリン司祭!魔物の親玉がタイラントベアでした!」

「タイラントベアですか?何故こちらに?」

「わかりません!今はバウゼルさんが一人で相手をしております!」

「バウゼルがですか?あの人ももう若くないのに…今のバウゼルでも、一人では厳しいでしょう。すぐに二人ほど応援に行ってあげなさい。他は群れを迎撃しつつ、他の村の応援を待ちなさい。間違っても死ぬんじゃないですよ。」

「はい!」


 そう言って衛兵がまた駆けて行った。


「マリン司祭!先生が危ないんですか!」


 クラウセッドと他、道場の子達がマリン司祭に詰め寄った。


「大丈夫。あの人が強いのはみんなもよく知っているでしょう?信じて待ちなさい。」

「でも…」

「あなた達が信じて待つことが、他の人の力になるのですよ。だからあなた達はお祈りでもしていてちょうだいね。」

「「はい…」」

「いい子達ね。」


 マリン司祭に言われ、俯く一同。しかし、ふいにクラウセッドが顔を上げた。


「俺、やっぱり先生を助けに行きます!」


 そして、剣を握って、クラウセッドが走り出した。


「クラウセッド!待ちなさい!」

「あぁ!クラウ!待って!」


 マリン司祭と、クラウセッドのお母さんが悲鳴の様に叫んだ。けれど、クラウセッドは止まらずに協会の外に出て行った。


「お母さん!アタシ止めてくる!」


 お母さんの返事を待たずにアタシは走り出した。


 =======================


 ソラとクラウセッドが走り出した後、協会内は騒然としていた。子どもが二人、今は危険な外へと飛び出したからである。衛兵ではない男二人が、子ども達を連れ帰る為にすぐに走り出す。

 子ども達を心配する声と、クラウセッドの母親の咽び泣く声が協会に広がる中、ソラの母親のリンナが、協会の入り口をただ見つめていた。


「何故ソラさんを行かせたのですか?」


 責めるのではなく、ただ疑問に思ったマリンがリンナに問うた。


「ソラは誰に似たのか、とても頑固です。止めても無駄だったでしょう。」

「私は止めなかった理由ではなく、行かせてもいいと思った理由が知りたいのです。」


 マリンは疑問に思ったことを再度問う。


「あの子は賢い。そして、私の思うよりずっと大人です。子どもが大人の様に振る舞うのではなく、大人が子どもの振りをしているかの様に思う時があります。知らないと思っていた言葉を話し、考えるのです。そんなあの子が、何も考えず行く訳がないと思ったのです。」

「それは…私も時々思いますね。しかし、それはあくまで適性ゆえではないのですか?」

「いいえ。適性とかではなく、もっと、そう、産まれた時から大人の知性を持ってたような。」

「まさか、そんなことが。」

「はい。私も信じていません。でも、どうしても思う時があるのです。」

「あなたはソラさんが怖いのですか?」

「いいえ。それは絶対にありません。あの子がどうであれ、私の子です。愛しています。今までも、これからも。」

「そうですか。なら、ソラさんを信じる、あなたを信じましょう。」

「それに、どんなに大人みたいでも、やっぱりまだまだ子どもですよ。」

「ふふふ。そうですね。」


 不安と悲嘆が漂う中、二人の女性だけは、駆け出した一人の子どもを信じるのであった。


 =======================


 さて、どうしようか。

 アタシは協会を飛び出し、クラウセッドを追い、村の中を走りながらそう思った。

 アイツ、足はアタシより速いし、普通に追っても追い付けないだろうけど、まぁ村の外側か、外側の近くで魔物に見つかれば逃げてくるか。

 そうして走っていたら、人が倒れているのが見えた。


「大丈夫ですか!?」


 見ると、さっき協会にきた衛兵さんだった。怪我をしていて、気絶しているようだ。


「手当てしなきゃ!“ヒール”!」


 初級の無属性魔法を、できるだけ力を込める様に使い、応急手当てした。傷は塞がったみたいだ。衛兵さんが気が付く。


「んん…き、君は確かトーマさんのとこの…」

「はい。お父さんが衛兵です。傷は塞ぎました。痛むところは?」

「あれは致命傷だったような…じゃなくて!私のことはいい!それよりさっき、子どもがきたんだが、その時魔物に襲われて、子どもを逃がす時に庇って怪我を負ってしまったんだ。その後、魔物も子どもが逃げた方に!」

「どっちへ!?」

「あっちに!」


 そう言って、村の外の方を指差す。


「わかりました!アタシが子どもを追います!衛兵さんは動けるなら伝令に言って下さい!」


 アタシは走り出した。


「待て!危険だ!」


 衛兵さんの止める声が聞こえたが、無視して走って行った。

 しばらく走り、村の端が見えてきた。そしたら、剣を構えて、猪みたいな魔物と向かい合うクラウセッドが見えた。


「こんな魔物、俺が倒してやる!」


 勇み、声を上げているが、ここからでも震えているのがわかった。

 アタシは急ぎ、加勢することにした。


「クラウセッド!」

「お前!なんできた!危ないから帰れ!」

「アンタには言われたくない!いいから、相手から気を逸らさない!先生に言われたでしょ!」

「うるさい!警戒はしてる!お前は帰れ!コイツは俺一人で充分だ!俺は先生を助けに行くんだよ!」

「震えてるクセに!アンタが行っても邪魔になるだけよ!」

「なんだと!そんなの…ってうわっ!」

「きゃあぁ!」


 言い争っているうちに、魔物が突進してきた。

 ギリギリでアタシ達は避けて、再び構えた。


「言い争ってる場合じゃないわ!二人で倒すよ!」

「しょうがねぇ!お前は剣がないから援護しろ!」

「命令口調が気に入らないけどわかったわ!“パワード”!“ガード”!“クイック”!」


 アタシは初級の無属性魔法を、できるだけ力が込めるようにクラウセッドに掛けた。


「初級でもないよりマシ…ってなんかすっげぇ体が軽い!」

「よそ見しないで!くるよ!」


 魔物がまた突進してきた。猪みたいなだけにそれしかできないみたいだ。


「よっ…とぉ!?」


 クラウセッドがオーバーに跳んで避けた。


「今ふざけないで!先生に回避は最小限にって言われてるでしょ!跳びすぎ!」

「ふざけてねぇよ!軽く跳んだつもりがこうなったんだ!お前が魔法を掛けたからだぞ!」

「補助したのに文句言わないで!それに初級でそんな変わる訳がないでしょ!」


 自分で言って悲しくなってきた。


「すっげぇ違うわ!本当に初級かこれ!?まぁいい!感覚は何となくわかったから!これならやれる!」


 何となく釈然としないけど、魔物に集中することにした。

 ちなみに、身体能力アップは、初級では自分に掛けられない。掛けられるのは下級からで、クラウセッドの言葉を自分では確かめられない。

 それはいいとして、魔物の突進を避け続ける。そして、何回目かわからない回避をした後に、ついにクラウセッドが動いた。


「おらぁぁぁ!」


 ザシュ!


 一撃で首をはね飛ばし、魔物は死んだようだ。


「よし!」

「やった!」


 アタシ達はハイタッチをして、その後に、同時に顔を背けた。


「まぁ俺にかかれば当然だな!」

「アタシの魔法のお陰でしょ!?」

「ふん!あんなの無くても倒せたな!」

「何言ってんの!アタシがいなかった時、震えてたクセに!」

「震えてねえし!お前なんて実際なにもしなかっただろ!」


 ドォォォン!


 言い合ってるのもつかの間、村の周囲の塀が壊れ、同時に、瓦礫と共に人影が飛んできた。


「くっ…不覚、私も歳をとったと言うことですかね。」

「「先生!」」

「っ!何故あなた達がここに。早く逃げなさい!」

「やだ!俺も手伝う!」

「何言ってんの!早く逃げるわよ!」

「なんだよ!今更怖じ気付いたのか!?」

「そうじゃないわ!先生が押されてる相手に、アタシ達に何が出来るの!?」

「だったら尚更だろ!」

「二人とも危ない!」


 バァァン!


 瓦礫の砂煙の向こうから、大きな影が飛んできた。先生がアタシ達を庇って飛ばされてしまった。


「「先生!」」


 アタシ達は先生に駆け寄る。凄い怪我をしていた。


「二人とも…逃げなさい…」


 そう言って、意識を失ってしまった。息はあるから、死んではいないようだ。


「“ヒール”!」


 とりあえず応急処置をした。


「ヒールってこんな回復するんだ」

「知らないよ。怪我治すの初めてなんだから。そんな事より先生連れて逃げるよ!」

「魔物はどうすんだよ!」

「先生がいないのに勝てるわけないでしょ!早く担いで!」

「だったらお前だけで担いで行け!俺は魔物を足止めしておく!お前の魔法もまだ切れてないからな!」


 そう言って魔物に向かって行った。


「待って!敵うわけない!それにアタシだけで担げるわけないでしょ!…あぁもう!」


 先生を物陰に隠し、クラウセッドを追った。

 クラウセッドが見えると、既に大きな熊のような魔物と対峙していた。


「クラウセッド!」

「馬鹿!なんできた!…うおっ!」


 魔物の一撃を飛び避け、アタシの前にくる。


「先生連れてけって言っただろ!」

「アタシだけで担いで行けないわよ!さっきみたいに二人でやるわよ!」

「わかったよ!下がってろ!」


 クラウセッドが踏み込み、一閃。

 魔物が爪でガードし、カウンターをしようと、腕を振りかぶる。


「“ファイア”!」


 クラウセッドを巻き込まないように気をつけつつ、魔法で援護する。小さく火が起こり、魔物が怯んだ。


「ナイス!」

「次くるよ!」


 立ち直った魔物は、本能なのか、接近戦でなかなか倒せないクラウセッドから、アタシに目標を変え、襲いかかってきた。


「きゃあぁ!」

「ソラ!」


 ドスン!


「クラウセッド!」


 アタシを庇ったクラウセッドが突き飛ばされる。駆け寄ると、さっき掛けた魔法のお陰か、胴には浅く爪痕があるだけだった。だけど、吹き飛ばされた衝撃で意識を失っていた。


「“ヒール”!」


 傷を治し、魔物に向き合う。このまま逃げても追い付かれるだろうし、何よりクラウセッドを置いて行けない。


「アンタのせいで…許さないっ!」


 アタシはできる限り、強く、激しい炎をイメージし、魔法を唱えた。


「“ファイア”ァァァァァ!!!」


 グウォォォォォン!


 イメージ通りに…いや、より激しい炎が魔物を包み込んだ。

 燃えすぎじゃない?もうこれ火柱じゃない?

 数十秒後。炎は消え、魔物だっただろうものが残った。火柱の起きた場所は焼け焦げていた。

 熱は感じなかったな。魔法を使った人は熱を感じないのかな。

 現実逃避の為にそんな事を考えて、アタシはただ、呆然としていた。

5話を読んで頂きありがとうございます!

ようやくタイトル回収の一旦が出来ました。

ゲームとかでは、大体バフの魔法は自分にも掛けられると思うのですが、この話では自分に掛けるものは別としました。

そうしないと、自分にバフ掛けて肉弾戦で勝てちゃいそうなので。

そんな感じですが、これからもお付き合い頂ければ幸いです。

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