第4話
こんにちは!
明日葉 晴です!
最近、相談役の友人A氏と口論になりました。
議題はこたつにはみかんかお煎餅か、です。
私はみかん派ですね。
本編には全く関係ないですね。
前回のあらすじ
高い適性を活かすために魔法の修練へと挑むソラ。しかし、そこには大きな壁があった。魔力を感じることの出来ないソラには、下級以上の魔法を使うことが出来ないのであった。悲しみにうちひしがれるソラだったが、マリン司祭の言葉によって立ち直り、より厳しい修練へと挑むのであった。
=======================
アタシは、十歳になった。
この四年間、魔法の勉強と平行して、剣術も習っていた。剣術は、お父さんの休日や、村の道場のようなとこで教わった。
高い適性のためか、前の世界よりも体が軽く、動き易い。同年代の男の子達に負けないくらい剣を扱えるようになった。まぁ努力もしたんだけどね。
前の世界と違うことがあと一つあった。それは顔だ。前はかわいいってほどじゃない。って感じだったけど、この世界では、自分で言うのもアレなんだけど、大人になったら美人に育ちそうな顔になった。率直に言うと、お母さん似。
まぁ容姿のことはともかく、魔法以外は順調に育っていた。
今日は村の道場で剣術の訓練の日だ。
「こんにちはー。」
「おっす。」
「こんにちは。」
「おー。」
挨拶をしたら、ちらほらと挨拶が返ってくる。最近ではようやくみんなとの距離が縮まって来ている。最初は女だからと舐められていたけど、大体互角になったころから、仲間として認められてきた。
一人を除いては…
「おい!お前!また来たのか!ここはお前みたいな女の来るとこじゃねぇぞ!帰れ!」
来たよ。いつもアタシに突っ掛かってくる金髪少年。
「アタシは“お前”なんて名前じゃなくて、ソラよ。それに、アンタは最近はアタシに勝ってないじゃない。アンタが帰った方がいいんじゃない?」
「う、うるさい!俺は女相手には本気を出さないんだ!それに、俺にもクラウセッドって名前がある!」
「名前を呼ばない人になんて“アンタ”で充分よ。本気を出さない、なんて言い訳にしても苦しいわね。いつも息切らしてる癖に。」
「なんだと!お前なんて、ずっとマリン司祭のとこで勉強してるのに、まだ初級魔法しか使えないじゃないか!」
「あっ!言っちゃいけないことを言ったわね!気にしてるのに!」
「へへーん。悔しかったらお前も下級魔法使ってみろよー!」
周りはやれやれって様子でアタシ達を観てた。いつもこうやってコイツとは言い合いになる。最初は止めてた周りも、今では恒例行事のような扱いだ。
周りを観てたらアタシも冷静になってきた。
「はぁ、馬鹿らしい。アタシはさっさと稽古始めよっと。先生!今日もお願いします!」
調度いいところに先生も来たので、相手をしてもらうことにした。
「はい。いいですよ。クラウセッドも、努力してる子を馬鹿にしてはいけませんよ。」
「ちぇっ。女だからって、先生はいつもソイツの味方する。」
「クラウセッド。」
「はーい。すいませんでしたー。」
「謝る相手が違うでしょう?」
「はいはい。ごめんなさい。」
「まぁいいでしょう。ほら、ソラも。クラウセッドも努力はしているのです。マリン司祭からも言われているでしょう?」
「はい先生。…悪かったわ。ごめん。」
「よろしい。努力してる人を馬鹿にするのは、誰もやってはいけないことです。みなさんもいいですね?」
「「「はい!」」」
「はい。みなさんは稽古を続けて下さい。ではソラ、軽く一勝負しましょうか。」
「はい!お願いします!」
アタシと先生は軽く間をとり、向かい合った。
周りは勝負を観るために、周囲を陣取る。
「どこからでもどうぞ。」
「では…いきます!」
アタシはおもいっきり踏み込んで、間合いを詰める。
勢いを利用して、大きく振りかぶり、そして素早く木剣を振り切る。
カッ!
木剣同士が打ち合う乾いた音が道場に響く。
片手で受け止められた後、アタシはすぐに下がった。
「いい踏み込みです。速さも上がりましたね。」
「ですが、簡単に受け止められました。」
「まぁ、仮にも先生ですからね。それに、まだまだ攻撃が読み易いですよ。」
「どうしたらいいですか?」
「全てを一つの動作としなさい。踏み込み、構え、切る。のではなく、全部を“切る”として動くのですよ。」
「よくわかんないです。」
「では見せましょう。」
そう言って、先生は剣を持った手を下げた。
そして、何気なく動いたと思ったら、アタシの頭の上に、先生の木剣が来ていた。
「こんな感じですね。」
「見ていたはずなのに、全く反応できませんでした。」
「ええ、読まれない。を究極的に言ってしまえば、何をしたかわからない状態にすることです。最終的に、どの態勢、どの角度、どの動きでも、これが出来れば、一流でしょう。」
「アタシにも出来るでしょうか。」
「出来る。とは言いません。ですが、やらなけらば出来ないとは言えます。」
「わかりました。もう一本いいですか?」
「いいでしょう。今のでは、まだ、ソラを見きれてはいませんからね。次は存分に打ち込んで下さい。」
「はい!」
そう言って、アタシはもう一度先生と打ち合いをした。
全く足下には及ばなかったけれど。
=======================
その日の夜。
アタシとお母さんは、お父さんを待っていた。ここ最近、お父さんの帰りが遅くなって来ている。さらに、疲れの色も隠せてはいない。
「お父さん今日も遅いね。」
「そうね。最近、衛兵の人はみんなそうみたいよ。なんだか忙しいみたい。」
「そうなんだ。じゃあ浮気とかじゃないんだね。よかった。」
「どこでそんな言葉覚えたの?でもまぁそうね。あの人は浮気するほど器用じゃないわ。きっとしてしまったらすぐに謝ってくるわ。」
「流石お母さん。よくわかってる。」
「許すかどうかは、また別だけどね。」
そう言って、お母さんは、ふふふ、と笑った。怖い。けど多分、心の底ではお父さんを信頼しているんだと思う。笑ったのは確かに怖いけど、目はとても優しい。
「ただいまー…」
「あ、おかえり!お父さん!」
「おかえりなさい。ご飯温めるわね。」
「ありがとう。」
「お父さん、今日も遅かったね。」
「最近、ちょっと忙しくてな。」
「浮気?」
ちょっと意地悪で聞いてみた。
「どこでそんな言葉覚えたんだ?違うよ。俺はそんなに器用じゃないからな。もし、仮に、本当に間違いがあったとしたら、お母さんにはすぐにバレるだろう。そうなる前に謝るさ。誠心誠意な。もちろん、今も昔も、未来永劫することはないけどな。」
お母さんと同じ答えが返ってきた。この二人はきっと、心の底から愛し合っているんだろうな。
アタシはクスクスと笑った。
「どうしたんだ?」
「なんでもなーい。」
台所に駆けて行った。
「お母さん、アタシはお父さんみたいな人に会えると思う?」
お母さんは一瞬目を丸くした後、アタシがお父さんに何を言って、どう答えたかわかったのだろう。優しく微笑んだ。
本当に聡い人だ。
「きっと会えるわ。けど、もっと先にして頂戴ね。お父さんきっと泣いてしまうわ。」
「わかった。けど、いつだろうと泣くと思う。」
「それもそうね。」
二人でクスクス笑い合っていた。
「どうしたんだ?二人して?」
「内緒よ。」
「そう!女同士の秘密なの。」
お父さんは不思議そうにしてたけど、二人で何も言わずにずっとクスクス笑い合っていた。
4話を読んで頂き、ありがとうございます!
私は、作品をもう一つ書いて投稿しているのですが、そちらにはサブタイトルがあり、この作品にはありません。
理由は付けるのに疲れるからです。
全くもって下らないですね。
こんなんですが、今後ともお付き合い頂ければ幸いです。