4.婚約破棄
本日2回目の投稿です。
家に帰ると、お父様とお母様が二人揃って門の前で待っていた。
馬車を降りるなり、お母様からの熱い抱擁を受ける。
「私の可愛いダイアナちゃん!!今日はとおってもよぉく頑張ったわ!!嗚呼、なんて可哀想なダイアナちゃんでしょう。もう涙も枯れてしまっているわ!」
「お母様!」
ひし!とお母様の背中に腕を回してしがみつく。
どうしてお母様にはわかったのだろう。人に嫌われていると知って、私が今日、人生で1番落ち込んでいることが。これが母親というものなのか。
「まったく、ユージィンといいモンタギュー家のやつらときたら!我がキャピュレット家に泥を塗りおって!私の可愛い小鳥をこんなに悲しませるとは。やつら全員、串刺しの刑にしてやりたい!」
物騒なことを言い出すお父様である。
「お前にはもっと良い縁談を私達が必ず見つけてやるから、初恋なんぞはさっさと忘れてしまうのだ。」
段々話が見えなくなってきた。
「……どういうこと?」
「なんだ?婚約破棄の話はされなかったのか?」
親子3人で話が噛み合わずぽかんとする。
その後、話を聞いたところによると、ユージィンは今日私に婚約破棄の話をするということで、両家の間で段取りされていたようだ。
お父様とお母様には事前に話が来ていたが、ユージィンから
「最後くらいはちゃんと向き合ってケジメをつけたいので、僕からダイアナには話します。」と言われて今日の今日まではらわたが煮えくり返る思いをして私に黙っていたそうだ。
ガ――――ン
今まで、婚約者という事実だけに縋って生きてきたのに、それすらも無くなろうとしていたとは。本当に嫌われていたんだ。
悲しすぎて涙も出ない。
「婚約破棄の話は……ちょっとバタバタしてて出なかったけど、いずれ時間の問題だと思うわ。」
はあ、とため息がもれる。
ユージィンの家で、悲鳴をあげたのに誰も来てくれなかったことを思い出す。私を見送る時のユージィンの御両親やメイドの様子も。
きっと、婚約破棄の話を持ち出された私が絶叫したのだと思ったのだろう。
でも、婚約破棄も良いかもしれない。
ここまで嫌われていることが分かってなお追い縋るほどのパワーは、今の私にはない。
こうしてユージィンとの縁は切れていくんだ。
今の夏期休暇が終わったら、また学校で会うこともあるかもしれないけれど、もう話すこともなくなるのだろう。
「思えば、まともな会話は元々してなかったんだわ、私達。」
自分で言ってて悲しくなる。
さようなら、私の初恋。
その後、今日を頑張ったご褒美にと両親が用意した超豪華ディナーを食べ、今日のこの日のために用意されたたくさんのぬいぐるみやドレス、靴やらと、「切り刻むなり好きにしていい。お前が正義だ。」と渡されたユージィンの肖像画に囲まれて、悲しみに沈んだまま私は眠りについた。