完結済後、小話1・膝枕
相方が記念に書いてくれました!
やたらとイチャイチャする2人をリクエストしてみました。
ありがとう~!
「神の御名をたたえよ、世々とこしえに。奥義と秘儀を現し闇にひそむものを知り、光は御もとに宿る……」
木の幹に寄りかかりながら聖書を読む。ユージィンは私の膝を枕にしながら別の本を読んでいる。
「もっと、そこの発音を高くした方が良いぞ」
いつの間にか声に出してしまっていたようだ。こんなくだらない事でユージィンを苦しめたくない。
「ご、ごめんなさい」
「何を謝っている。あなたの呪文は私には効かない。いくらでも唱えてくれて構わない。聞きずらかったから指摘しただけだ」
「左様ですか」
心配して損した。
「ああ、でもあなたの声はとても心地よい。そういう意味では私に効いているかな?」
ユージィンは本を傍らに置いて、私の頬に手を伸ばした。何が嬉しいのか私にはさっぱりわからないが幸せそうに微笑んでいる。
下から見上げてくる端正な顔立ちの美形。美形に見られるのも抵抗あるのに下からとか、絶対に嫌だ。膝枕する事自体、散々揉めたけど、推しきられて今に至る。
「ちょっと、こっち見ないで」
「悩んでるから教えて差し上げたのだろう。ああ、悩ましげな顔も良いが、やはり怒っている顔が素敵だな」
「だから見ないで!」
「残念。ずっと見ていたいほどなのに」
ユージィンがお腹の方に顔を埋めて、私を腰ごと抱き締めた。
ひゃっ、そっち向いちゃ駄目。もう本を読んでいるどころではなくて、ひき離そうとするが、がっつりホールドされている。
「そろそろ、私に構ってくれないか?」
「ユージィン、お腹、離して……」
ユージィンがお腹で喋るのがくすぐったくて、息も絶え絶えに懇願する。
「お望みのままに」
お腹に隠れて見えないはずなのに凄い悪い顔で笑った気がする。瞬間、お腹から顔は離されたが、両腕に抱えあげられ地面が遠くなった。
「さあ、今の体勢からは解放してあげた。あなたは私に対価を支払わないといけない」
「……私は離してっていったんだけど」
お腹は離したと言いながら、鼻歌交じりに歩き出す。何処に連れていかれるんだか恐怖しかない。腕の中で怯えてる私の耳元で掠れた声で二人きりになれる場所に行くだけだとそれはそれは楽しそうに話すユージィンに抵抗する気もなくなってしまった私はそのまま悪魔に攫われるのであった。