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異世界で生活してるんだが・・・  作者: シキ
第一章 青年と異世界
7/18

7話 青年と死神2

ものすごい書くのに時間がかかってしまいました(苦笑


何パターンか書いてみたんですけど、一番しっくりくるのがこれかなと


這いつくばったまま青年は死神を睨みつける。その眼力だけで死神を射殺そうする迫力は対して死神には効果があった。今まで遊び相手にしか見えなかっただろう青年が突如豹変し、さらには自分の鎌を受け止めたのだ。それも得体の知れない能力で。一瞬で死神は青年との距離を5mほど離す。


能面は笑ってはいなかった。そして初めて両腕で鎌を構えるように青年に突き出す。状況を確認するためもあるのだろうが、いままでになかったその行動は青年に対しはっきりと警戒していることを伝えている。



死神が青年をさっきとは違った意味で様子を見ていると、変化が起こった。血が青年の周囲を纏い重力から這い上がらせるかのように少年を持ち上げた。


青年は自分の周囲に浮かぶ血を眺める。もちろん彼にこういったことができるなどといった特技があるわけではない。だがしかし、青年には一つ心当たりがあった。


(・・・・・“固有スキル”。)


そうこの世界にはそういった異質な技能が存在する。この異常な光景は青年の固有スキルによるものではないかと青年は考えた。さっきまで景色も霞んで見えていた彼だが、今ははっきりと死神を視界に入れることができていた。


両の腕を見てみると変わらず切断されたままだが、周囲の血が集まり血を止めるだけではなく、吸収しているようだった。


(・・・便利だな。俺の思考に反応するのか。これならあいつを・・・・殺せるか?)


今の青年はとても冷静といえるような状況ではなかった。有効といえる武器を手に入れた。血が止まり、血液が供給されていくことも感じる。だが腕が生えたわけではない。気が狂いそうな激痛を感じる。そんな何時発狂しだしてもおかしくない精神状態の中、青年の頭の中はただ一つ・・・それはただ目の前にいるあの化け物の存在を消したい、その感情だけが青年を支えていた。


全身から脂汗が噴き出るが、青年は死神から目を離さない。両者ともに相手の出方を伺っているのか動く気配がない。何か合図があったのだろうか。再び死神が青年の視界から消える。


『ガキンッ!!!』


その直後、右横から斬撃の音。青年が目を向けると目の前には血の壁と死神の鎌が衝突していた。今度は後ろに引くわけではないようだ。連続して光速の鎌が血の壁に向かって放たれる。


『ガキンッガキンッガキンッガキンッガキンッガキンッガキンッ!!!』


一秒間にいったい何回の斬撃が放たれたのであろう。血の壁にはヒビが入り始めている。だが青年に焦る素振りは見かけられない。


(・・・・・集まれ。)


青年がそう念じ切断された右腕をあげると、途端に彼の周りに浮く血が固まりだす。


(・・・・・放て。)


切断された右腕を振り下ろす。

それと同時に固まったビー玉サイズの血の結晶が山のように放たれる。その光景はまさに“血弾”。




猛スピードで血弾が死神に迫るが当たる直前、突如姿を消す死神。弾丸が過ぎ去ると再び青年の前に姿を現す。目の前には薄くヒビが入った頼りない血の壁と周囲の血がほとんどなくなってしまった青年。


白い能面がニタリと再び歪んだ。青年の命を狩れるということを確信したのだろう。鎌を振り上げるさまを青年に大きくゆっくりと見せつけた。今度はどんな顔を見せてくれるのであろうか。そういった凶器にも満ちた愉悦のような感情が能面から見てとれた。死神が青年の顔を覗き見た時だった。












青年の口元は笑っていた。







その瞬間後ろから死神を弾丸が貫いた。死神が回避したと思われた血弾はすぐさまUターンし死神に襲い掛かったのだ。視界外からの攻撃である。能面が驚愕に歪むように見えるその様を、全く関係ないとばかりに蹂躙する数百の弾丸が全て死神に叩き込まれる。


『知ってるか化け物。その“血”って俺の意思で動くんだぜ。さっき俺も知ったんだけどな。』


かなりダメージを負ったのだろう。血などは一切出ていないが、黒のローブがズタボロになり、目の前で鎌を取り落す死神。だが死神の目の前には青年が第二陣となる“血弾”を展開し、すぐさま放たれようとしていた。死神は鎌を捨てつつもスピードはいまだ健在なのか一瞬ではじめの広場の中央に避難することで第二陣を回避する。


だがそれは致命的なミスだった。


青年は現在自分の“血”を操る。さらにいえば青年の周りに溜まった床の血を利用している。実はもう一つだけ利用できるものがあった。




それはまたしても死神の後方を狙い貫いた。死神の両腕から突き刺さる二本の鋭い刃のような血。


(・・・・お前も俺と同じ苦しみを味わえ!!!!!)


死神の両腕が切断される。その血の刃は死神が捨て去った、青年の切断された両腕から各自に一本ずつ伸びていた。


ボトリと腕が落ちる。ローブ越しに見えるその腕は人間のような形はしているがあまりに不自然に細長く、病的にみえるほど白かった。


目の前の怪物は何を想っているのだろう。顔を下に向け落とされた腕をじっと見つめているのか、いまだ睨み続ける青年と視線がぶつかることはない。


だがここで青年に異変が起きる。突然糸が切れたかのように膝が地面に着き、周りの血もべシャッと鈍い音とともに雨のように青年に降り注ぐ。


(駄目だ・・・・・もう・・・・・立てねぇ・・・・。)


限界だったのだ。既に何時倒れてもおかしくなかった。そもそも既に死にかけのような状態だったのだ。


(く・・・そ・・・。俺は・・・まだ・・・死に・・たく・・・。)


薄れていく意識。青年の瞳は気づけば赤から黒に変わっていた。


青年の様子に気づいたのだろう。死神は自分の失った腕から視界を青年に戻すと、ゆっくりと青年に近づいていく。その白い能面には表情といったものは消え、ただ青年の目をじっと見ている。


膝に地面が着いた青年も視界がはっきりとはしないが、決して死神から目を離すようなことはしない。今にも地に寝そべってしまいそうな青年だが、いまだその瞳には戦う意思が宿っていた。


死神と青年の距離が3mほどになったときだった。


『・・・・・・あああああああああああああああ!!!!!』


青年の最後の抵抗なのだろう。絶叫とともに、一発のとても小さな血弾が死神の能面に向かって真っすぐに放たれた。大きさも威力も先ほど見せた数百発の血弾の一つにも満たないだろう。両腕がないにしろ、死神にとってその一発を回避することは実に容易いことだろう。



だが死神がその一撃を回避することはなかった。白い能面の額に吸い込まれるかのように命中する。だが貫くことはなかった。能面にヒビが入ったが、死神は青年に歩みを止めることはなかった。


最後の力を振り絞ったのだ。青年には最早何もできない。最後まで死神を睨みながらも遂に地面に倒れ伏すのだった。


(急・・・展開すぎて・・・わけ・・わからん・・・かったが・・・ここまでか。)


意識を失う直前素に戻った青年が最後に思ったことは、


素直に敗北を認めることであった。



辺りに静寂が訪れる。死神は倒れた青年をじっと見つめている。少しすると変化が起こった。黒い霧が死神を包む。霧が晴れたとき、そこには最初と変わりない姿の死神がそこにいた。腕も穴だらけのローブも完璧に復元されている。ただ白い能面だけはヒビが入ったままだ。


『・・・・・ビキッ!!・・・・バキッ!!』


能面のヒビが広がっていく。遂には耐えれなかったのか能面は綺麗に縦に二つに割れた。


そこから覗かせるのは幼い少女の顔。全体的に見るとひどく違和感しかない。


少女は無表情ながらも青年を見下ろす。


『・・・コノヒトデ・・・・マチガイナイ。』


少女は機械的な声でそう言うと、右手を青年に向ける。少女を纏う黒い霧が青年を包み込んでいく。


『アナタハワタシヲタスケテクレル?』


少女は少し微笑みながらも語りかけるように青年にそう言うと、自らも黒い霧に変化し、青年を包む影に溶け込むように混じりあう。




やがて青年を包む霧が消えるとそこには青年以外は誰も存在していなかった。




















もっと狂ってる感を出したかったんですが、青年のこれからの性格を考えるとどうかなと思い断念。後作者の表現力では厳しかった(笑


拙い文章ですが応援してくれるとうれしいです。

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