3話 青年と迷宮
書いてるときは、どういった展開にしていきたいか考えながら書いてます。
常に先のことを考えることができない作者です(笑
王都の城下町から出て二時間ぐらい歩いた。途中森の中に入りそのまま進んだ所にそれはあった。森の中だというのに、まるでそれが存在するのが当たり前だというようにその迷宮は違和感なく堂々と存在していた。
『ボウズ。これが迷宮。魔と森の迷宮だ。どうだ?中々迫力があるだろう?』
アクトがニヤリと笑い青年を見る。アクトの想像通りに青年は目の前にある迷宮にただ茫然たたずむ。高さは七メートルほど奥行きは先が見えない。それは神殿のような作りであった。周りは何故か草などが全く生えておらず、まるでこの神殿の周りはそこは私の領地だ。侵入することは許さないと言わんばかりの威圧感のようなものがあった。実際青年も感じている。ここは自分のようなものがいていい場所などではないと。
『大丈夫ですか?私も初めて来たときはこの威圧感に恐れを抱いたものです。』
デインが青年を少し心配そうに見つめる。
『大丈夫です。なんか・・・。とてつもないですね。これが迷宮ですか。想像してたものとかなり違いますね。まるで生きてるみたいです。』
青年はそれでも迷宮からは目を離すことができずにそう呟く。なんとなく目を離したくない。離せば何をされるかわからない。そういった無意識的な恐怖が青年にはあった。
『へぇ。あんた良い感してるね。その通りさ。この迷宮はこれ自体が生きてる。今から私たちはこいつの腹の中に入るってことさ。』
オルトが笑いながらそう青年に言うと、ぎょっとしたように青年はオルトに振りかえる。
(え?こいつ生きてんの?まじで?え?)
青年もまさか自分の適当な呟きが当たっているとは思わず、驚くがなんとなくそう言われたほうが納得できてしまうほどやはりこの迷宮には不気味な何かを感じた。
『まぁ一部の学者がそう言ってるだけですけどね。でもかなり有力説みたいですよ。それよりそろそろ入りましょうか。彼もそこまで威圧を感じていないようですしね。』
デインがそう言うとスタスタと神殿の中に入っていった。それもそうだなとアクトとオルトも特に気にすることもなく後に続く。
(いやいや。めっちゃ怖いんですけど。まじで入るんですか・・・。)
青年は内心ものすごいビビりながらも後に続く。後日聞いた話だと、この迷宮の威圧に負けて立つこともできなくなる者も結構いるそうだ。
青年と冒険者たちが神殿のような迷宮の中に入る。それと同時に中に入るとさっきまでの威圧感のようなものが嘘みたいに消えた。これには安堵する青年だったが神殿の中を見ると青年は驚いた。そこは教会のような場所だった。中にはアレン達と同じよな格好をした冒険者達が数多くいた。さっきまでの静寂が嘘のように冒険者たちの声が響く。さらに言えば確かに教会内はかなりの広さがあったが、外で見たのとを比べると確実に狭く感じた。青年の謎は深まるばかりである。
『ボウズ。迷宮はとにかくめちゃくちゃなんだ。中の構造の変化やら、防音やらいろいろあるぞ。ここは休憩所みたいなもんだ。こうやって迷宮の攻略や作戦を組みたてたり、情報を交換したり、売ったりしてんのさ。』
青年の疑問をわかりやすくアクトが説明する。どうやらここは安全地帯のような場所らしい。なるほどなー。と納得して四人は先に進む。どうやら奥に入り口があるようだ。進む先々でほかの冒険者がこちらに視線を送る。
『おい。アクトさん達じゃねーか。ついに40層突破する気か?』
『オルトの姉御だ。いつ見ても綺麗だなぁ』『馬鹿!!殺されるぞ!!』
『あれが疾風雷神か?』
『あれ?アレンさんがいねーな。てかあの黒髪誰だ?』
口々にそう呟いてるのが聞こえる。オルトのことを口走った者は隣の冒険者に速攻口を塞がれていた。ちなみにこの三人の所属するパーティー名は“疾風雷神”というらしい。本来はもう一人アレンという冒険者がいるらしい。
(オルトさんどんだけなんだよ・・・。)
慣れた者だと、三人は全く気にしたような素振りも見せずに歩き続ける。逆にそんなものに全く慣れない青年は少しびくびくしながらも後に続く。
しばらく先に進むと円盤所の何かと電光掲示板らしきものがある。
(急になんか科学っぽいのがでてきたな。)
青年はまだこの世界に来てからあまり時間がたってないが、それでも自分の元いた世界よりはそこまで文明は発達していないように感じていた。
『さてボウズ。この円盤が俺達を迷宮に運んでくれる。ちなにみあのでかい四角いのは掲示板つってまあランキングみたいなもんだな。誰がどこまで進んでるかが上位20チームまでが書き出されている。なんでもギルドカードについてる名前を読み込むらしい。パーティで挑めばパーティ名で読み込むみたいだ。そして円盤は念じれば自分たちが攻略したとこまでなら自由に行けることができる。まぁ詳しいことはよくわからんがな。便利だろ?』
『ものすごく便利ですね。えっとちなみに俺ってアクトさん達についていけるんですかね?』
『問題はないな。ただ攻略していないところを突破した時は優先順位があってメンバーの中で一番攻略が進んでいる、チームかメンバーの一人が攻略したことになるな。だから今回ボウズと一緒に新しい層を突破したら俺達の記録になっちまうってだけだな。ボウズが俺達と一緒のパーティーだったら俺たちの記録を共有することになんのさ。』
青年は頷きながら、理解する。ふと電光掲示板を見上げる。
(こんだけ有名な人達なら上位の中にいそうだな。)
・第100層 “魔王”
・第42層 “鬼兵隊”
・第39層 “疾風雷神”
・第29層 “聖歌隊”
・第27層 “エレメンタル”
・第・・・・・・・・・・・・・・
・第・・・・・・・・・・・・・・
(思ったより序盤にあるんだけど!?三位じゃん!!てかこの人達よく荷物持ちとはいえ俺のこと連れていこうと思ったな。にしても魔王って。断トツじゃねーか。100層って・・・。)
唖然としつつ青年が電光掲示案から目を三人に向けると、三人ともそれぞれ少しニヤニヤとしながらも青年を見る。
『皆さんすごいんですね。てか軽く引きますよ・・・。四位からかなり差があるんですが。でも魔王ってなんなんですか?』
『いやいや。引かないで下さいよ!!これでも私達結構凄腕で通ってますからね!魔王は私達も実はよくわかっていないんですよ。ただ初めて迷宮を見つけた冒険者が言うにはすでにその名前が刻まれていたみたいですね。魔王がこの迷宮を作ったという説もありますが・・・。まぁ魔人はともかく魔王は伝説上の空想の話みたいなものしか聞いたことがありませんけどね。』
『おーい。そういう難しそうな話はいいから早く行こーぜ。』
デインの説明を聞きながら、オルトに急かされた青年は三人と輪になるように円盤の前に立つ。
(魔王かぁ。って魔人はこの世界にいんのかよ・・・。)
『よし!んじゃ行くぞ。ボウズは初めてだろうから戸惑うかもしれんが、運ばれるときは安全だからな。安心して身を任せろ。』
アクトがそう言うと円盤が光りだす。少しドキドキしながらも青年は光に包まれるのを感じる。やがて全身に光を浴び目を開けていられなくなった青年は一瞬目を呟いてしまう。すぐさま目を開いた少年が目にしたものは・・・
『魔と森の迷宮にようこそボウズ。』
ニヤッと笑いながら大き目な袋を手渡すアクトの顔と三つの扉と燭台の火のみが薄暗く照らす部屋。それはまさに迷宮だった。
青年は驚きながらも三人の後ろから着いていく。これは初めから言われていたことだ。
『ボウズ。絶対前に進むなよ。魔物が出たら、すぐにデインの後ろにいけ。あまり離れずくっつきすぎないようにな。』
『わかりました。』
『といっても、危険だと感じた場合はすぐに私から距離をとってくださいね。その場合はオルトがすぐに対応するようにはするので。』
『まぁお前を守るぐらいなら余裕だ。ただいつでも動けるように気ぃ抜くんじゃねーぞ。』
『了解です。』
戦闘時は前線にアクト、オルト。後方にデインの配置らしい。デインが前線から抜けてきた魔物に対応する。その際なるべく青年を敵の視界に納めないように自分の真後ろに配置することにより、敵の注目を自分に置きたいようだ。ただもしも敵の数がデインの対応できる数を超えていた場合、青年を逃がし、その逃げる時間でオルトが後方に下がり、青年を守るようだ。
(てかオルトさんの発言かっこよすぎるだろ。そのうち姉御って呼ぶかな)
そんなことを青年は考えながらも三つ目の扉を開け進んでいる時だった。アクトが腰の剣を抜きオルトが体制を低く構えた。その状態を見た瞬間青年はすぐにデインの後ろに回る。
『さて、第一回戦だいつも通りにやるぞ。』
アクトが呟くと同時に奥から何かのうめき声が聞こえてきたのだった。青年にとって初めての戦闘が始まろうとしている。
(まぁ俺は戦わないんだけどね。)
戦闘シーンまでいけなかった・・・。
次回こそは確実に・・・。説明挟むとやはりサクサクとはいきませんね。
ある程度いけばサクサクいけるのかなぁと思ったり。
拙い文章ですが応援してくれるとうれしいです。