7話 激闘と反撃
激闘と反撃
「ガウ!」
スウェーで狼たちの爪をかわし続ける。時折カウンターを入れる。
「てか、カウンター以外ほとんど効かないし!」
何度か普通に攻撃してみたが、ラッシュでも1ミリ削れたかどうか。カウンターなら爪攻撃で1割から3割と大きい。突進で3割から5割ぐらいと削れる量が違う。
どうやらこのゲームのカウンターは相手の攻撃力が高ければ高いほど与えるダメージが上がるようだ。
おかげでカウンターのタイミングばっちり覚えてしまった。
「ガアァァ」
また突進か!おそらくこれを食らうと即死だろう。だが避けずに正面で構える。
俺もかなり肝が据わってきたな、など考えながら頭に拳をぶつける。やはりインパクトの瞬間拳をひねって押し込んだ方がダメージが大きい。
ゴキャっという音と共に狼の頭蓋骨が陥没する。そしてそのまま地面に落ちた。
「最後だ」
接近してくるオオカミ。瞬発的に爪を突き立ててくる。こいつもカウンターを何度か決めているのでダメージはたまっているはず!
「負けるか!」
こちらも酷狼の爪を突き立てる。組合になった。
組み合った瞬間にのど元辺りを噛もうとする。突発的にかわすと肩の端を噛まれる。
「ぐぎゃあぁぁ!」
激痛。一気に体力が激減していく。
仕返しとばかりに首辺りに咬みつく。獣人だと牙が生えているので結構なダメージだ。
「ぐえ!」
動物臭さと口に広がる鉄の味と肉の感触に思わず吐きそうになる。ここまで再現しなくても。
オオカミはぐっと力を込めて噛みついてくる。肩の肉が食われた。噛みなおそうとしてくる。
「はへるか《させるか》ぁあぁぁぁ!」
まるで引きちぎるように強引にオオカミの首元を食いちぎる。
オオカミの首が落ちる。
首の落ちたオオカミの体はただ力なく冬の体にもたれかかる。。
「ふう……」
冬は狼の体を押しのける。
気が付けば体力ゲージが赤色になっている。残りの体力が10パーセントを切った証拠である。とりあえず回復だけはしておきたいな。
オオカミが消えるとアイテムが散らばる。
『中ボス参餓狼を倒しました』
え?中ボスだったの?
言われてみればこの場所、ちょっとだけ開けているな。
『レベルが上がりました。ステータスが上昇しました』
レベル2→レベル5
HP30→60、MP22→28、STR10→30、VIT12→20 、DEX22→、AGI12→22、INT11→12。
どうやら俺は頭が悪い戦い方をしているようです。とはいえレベルが一気に3も上がったのはうれしい。
『スキル「スラッシュ」、スキル「かみつき」、パッシブスキル「カウンター体質」を覚えました』
『レベル5になりました。あなたの戦い方から次の動物に進化できます』
「おお!」
表示されたのは
『犬』『ネコ』『オオカミ』
各種の説明が見れた。
犬:肉を食べ、ひたすら戦いに挑んだものがなれる。
ネコ:肉を食べ、攻撃をかわし続けるとなれる。
オオカミ:食事を肉のみ、空腹、ソロプレイ、接近戦のみなど、厳しい条件で戦い続ける犬からなれる。まれに哺乳類からもなれる。
「あれ?オオカミって上位種じゃなかったっけ?」
説明の最後、オープンβの情報には載っていなかったぞ?ならこれしかないだろ。
オオカミを選択した。
『オオカミのパッシブスキル『睨み』『夜行性』『危機察知』『肉食』が手に入りました』
睨み:敵に威嚇する。こちらに敵を引き付ける。
夜行性:夜に活動すると攻撃とスピードアップ。
危機察知:近くに敵がいると分かる。
肉食:肉しか食べられない。野菜を食べるとバッドステータスが付く。
っておい!睨みと肉食!邪魔ああああ!ソロプレイなのになんで敵を引き付ける必要がある!肉ってあれだろ?あの不味い骨付き肉だけだろ?泣くわ!
思わず膝から崩れ落ちた。が、その瞬間、敵の気配がする。さっそく危機察知の効果か。
体力もないのでいったん街へ戻ることにした。
反撃はカウンターのことです。