30話 立地と見学
立地と見学
なんだか久々の嬉々のような気がするが……。
「おう、馬鹿野郎か。なんだ今日は美人を連れてきてるな」
相変わらずの失礼さだ。
「白雪の事?」
「村雨先生じゃないんですか?」
白雪謙虚すぎ。だがそういうところも良い!
「あんただよ。なんだ、冬、ナンパしたのか?」
「ナンパじゃなくて勧誘だ」
本当にナンパじゃないんです。最初は親切心です!最初はって別に今もナンパしてるわけじゃないし!
「ホントにお前は馬鹿野郎だな。こんな美人がいて口説かないのか?もしかしてそっち系?」
左手の甲を右頬に当てる。
「ちがう!普通に女の子が好きだ!」
「それは私も一緒だ」
「出たな変態」
現れたのは変態こと、モックだ。
「ていうかお前は何でもいいんだろ?」
「ちがうわ!かわいい、かっこいい、うつくしい、美女、美少年が好きなの!」
「ダメだ。こいつ」
「か、変わった方なんですね」
「……」
なんか口を開けて白雪を見ている。
「美少女キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
うわっ見つかっちゃった。折角隠していたのに。
「なにこれ!?すげー!超絶美少女ジャン!本当に人類!?」
「うるせーよ」
「いや、いや!これはすごいよ!?だってほとんどいじってないじゃん!」
「は?」
「いやほらこれ、いじってるのは耳と鼻と目ぐらいじゃん!いや、冬もそうだけどさ!すごくね?手かこのチーム最強ジャン!」
まじか。白雪もほとんどいじってないのか。じゃあ美人だ!
「いや、そんなことないよ。私はみんなみたいに美人じゃないし……」
「いや、すげー美人だよ!」
しまった。思わず声が出てしまった。
「あ、ありがとうございます」
白雪が顔を逸らしお礼を言った。俺、やっぱり嫌われてる?
「くそっ……生産職の自分が憎い。こんな美人とクエ行けるなんてずるい」
「そんなことより、武器の修理だろ?」
「ああ、そうだった!嬉々、これ、修理な。それと爪と、メリケンサックも」
「おう、わかった……ってこりゃ疾風のバグナウか!」
「?そうなの?バグナウなのは知ってるけど疾風って?」
「疾ってのは攻撃速度アップが付与されてるんだ。風ってのは風属性だな。風属性の特徴は攻撃範囲が広がる属性だ。疾風は非常に相性が良くて、広範囲攻撃を連発するのに向いてるわけだ。射程の短いナックル系のバグナウにはうってつけの付与だ」
「俺向きだ。でもこれってナックル系の武器になるのか?」
「ナックル系でいい。それぞれ武器は細かく分類があるんだよ。刀剣なら、剣、刀、盾剣、刺突剣など、短剣ならナイフ、小太刀、脇差などだな。ナックルだとナックル、グローブ、籠手、爪、ブレードナックル、素手だな」
「え?素手?それ武器じゃなくね?後グローブは籠手と違うの?」
「まぁ、そうだけどな。一応ナックルと同じ扱いになってるんだよ。グローブと籠手の差は、籠手は確実に防御が上がるけど、グローブは器用さが上がるかもしれないってところかな。バグナウはブレードナックルだ。因みに強化もできるがどうする?」
「強化で。素材は?」
「中ボス狼でオオカミの口から剣が出てるようにできるけど?」
「よし、その案で行こう!」
「じゃあ、素材と金な」
予算範囲内でした。先生の許可も出ました。
で、ちょうどいいところに変態もいるので土地の話へ。
「土地はいくらぐらいだった?」
「俺たちが目をつけたのは250万と150万Mの所。立地がいいのは250万Mの方150万の方はほぼ荒地だな」
「そうなると整地から始めないといけないな。そうなると人海戦術になるから余分に金をもらうことになる。広さにもよるけどざっくり15万だな。人工だけでだけど」
「ぼったくり」
「いやいや、整地って大変なんだよ。道具がそろってないからほぼ人の手でやらないといけないからな。まぁ、その辺は土地を見てから話ししようか」
「ちょっと社員連れて行くから待ってて」
社員とかいるのか。てかお前は何様だ。
「お待たせ。道具と、社員持ってきた」
「社長!僕は持つものじゃありません!」
「こいつはうちの社員、コウだ」
「モック工業のコウです。よろしくお願いします!」
この変態、社長なのか。
「コウの種族はルリボシカミキリだ。レベルは21だ」
「上司が変態で大変ですね」
「そんなことないですよ、すごい人ですし、たまに言動がおかしいときがあるけど、その、あの、び、美人ですし」
おい……こいつ頭大丈夫か?
「ほら、急ごう。遠いんだろ?」
聞こえてないのか。
「北の街と西の街の間に一か所、北の街の中央街寄りの所にもう一か所あるけど、後者の方が近いです」
「とりあえずそっちだな」
本当に真剣に思うのだが、こんな奴のどこがいいんだろう。
「お前は社員を大切にするべき」
「そう?割と大切に扱ってるわよ?給料は払ってるし、福利厚生だって」
「そういう事じゃないんだが……まぁ、今は辞めたりはしないだろうから良いけど」
「?よくわかんないけどさっさと行こう」
みんな鈍いよね。みんながみんな相手が自分の事好きかもなんて自意識過剰なこと考えているわけないとは思うけど、気付いてもいい人っているよね。
「北の街の外れだな。と言っても中央寄りだから人の通りも多いし、中央に近い分便利だな」
立地も良く比較的整地されている土地だ。
「そうだな。ここならすぐに立て始めることができるな。コウ、土地の大きさ測って」
「わかりました!」
コウが走って調べている。
「金額はこっちの方が高い。250万M。割引券が適応されて2,250,000Mだな。」
10パーセントの割引だった。この金額での10パーセントはかなり大きい。
「そうなるとまだまだ金を集めないといけないな」
一応所持金は150万Mにまでになりました。砂漠のキメラは大金を落としてくれました。
「終わりました!100坪ぐらいです」
「ふむ、かなり広いな。一般家庭の倍ぐらいの広さだ。4人なら充分すぎるし、後2~3人は余裕だな。2階3階を作ればそこまで狭さには苦労しないかな。ただ、立地的に増築は難しいかもな」
場所が場所だけに周囲を家で囲まれている。増築は周辺の土地を購入して増やさなければいけないため、家を買収、潰して、建築までやらなくてはいけない。金がかかって仕方がない。現実的に見て増築は不可能か。
「まぁ、増築は意識しなくてもいいだろう。立地もいいし、私は問題ないと思うぞ」
「虎鉄先生は?」
「……次見てみないと何とも言えないな。正直、メンバーは増えるだろうから増築は視野に入れたいな」
確かにそれはあるな。だが増築なら、第二のギルドハウスを作ればいいかというのもある。
「で、ここなんだけど、どうよ?」
北と西の街の間にあるので中央街ともさほど離れていない。立地としてはだが。
「ここって、ほとんど林だよね?」
「おう」
それはもう立派な林です。モンスターは出ないことは確認済みだ。
「荒地っていうか、未開墾というべきだな」
「いやいや、地面も雑草だらのボコボコ。こりゃあ、安値で売ってる訳だな」
「で、ここの土地はどこからどこまでが敷地にできるの?」
「おう、そこの木からあっちの木までだな」
「どれだよ……」
ざっくり場所を教えコウに測ってもらいました。
「200坪です」
「広いな。それで150万Mなのか?」
「ここならかなり増築が可能だ。けど、やっぱり整地が大変だな。木を伐採したり、地面を整えたり、これは人件費と時間が必要だな」
「時間か。どれぐらい必要?」
「出してくれる金額による。1円も出さないなら3年はかかるぞ」
「え……まじか」
「当たり前だ。家の社員だけで4人しかいないのに、それが全員こいつに取り掛かるわけにはいかないんだ。ほかの仕事だってある」
「そりゃそうだな。じゃあ、10万出すって言ったら?」
「腕のいい奴が2人追加できるな。それでまぁ、2年だな。100万出してくれたら1か月だな」
「そんなに省けるのか?」
かなりの削減だ。
「ああ、材料集めが極端に減るのと、木材の加工に人をつぎ込める。1度作ればシステム上何度も同じものが作れるからな。お前らがよっぽど変な家を要求しなければ、だけどな」
材料を手作りから購入にするのか、特に鉄製品など今はあまり出回っていないものはNPCで買った方が良いのか。
「よし、わかった100万出す」
「馬鹿か!君はそんな大金どうするんだ!」
「割引券があるから大丈夫ですよ。これを複数枚集めました。これでこの土地を買えばなんと!たったの100Mぐらいでご提供!」
「位ってなんだ。ていうかこういうのって普通は一枚限り有効だろう?」
「それぐらい解ってます。ここに3枚の割引券があります。これを錬金術師に渡すとなんと割引券竹になるのです!なんと3割引きになるという優れものなのです!」
「で、その錬金術師は?」
「そこは嬉々に紹介してもらう」
「で、俺のところに来たわけか」
「はい、というわけで錬金術師を紹介…」
「しらない」
「え?」
「錬金術師は不遇じゃない。まぁそれなりのリスクはあるが、今はそこまで不遇じゃねぇんだよ。悪いな」
「う、嘘だ!そんな馬鹿な!」
「アテナなら知ってるかもな」
というわけでアテナの所へ!
おまけ
作者「というわけで30話でした」
冬「いやー長かったな。もう4か月だもんな」
白雪「そうですね。私は2か月目ぐらいからの参加ですけどね」
作者「11日」
冬と白雪「え?」
作者「設定的には11日しか進んでないんだけど」
冬と白雪「え?」
作者「ずっと数えてるから間違いないと思うけど。基本的にここまで日付を飛ばしてないから11日しか進んでない。つまり3話に1日しか進んでないんだよね」
冬「たぶん読者のみんなはもっと進んでると思ってるよ」
作者「でせうね。私がそう思ってるし。ちなみに白雪は8日目で初登場です」
白雪「うそ!1週間しかたってなかったの!?」
作者「まぁ、1週間朝から晩までゲームしてたらこのレベルに違和感はないと思います。まぁ、こんなことはどうでもいいです。お二人さん、番外編の宣伝よろしく」
白雪「はい!30話を記念して番外編を書きました!場所は以前と同じところにあります」
冬「作者が忙しすぎて完成度には期待しないでください。一応2月17日の昼ごろ投稿予定です」
作者(ほら、冬君、面白い締めの一言)
冬(てめぇ!勝手なこと言うな!お前が面白いこと言えないのに俺らが言えるわけないだろ!てか白雪の前で滑らせようとすんな!)
白雪「是非、見てください!」
作者(ほら、白雪さんがかわいい笑顔で普通に締めちゃった)
冬(それでいいじゃん!!)
ロキ「ロキペディアはいろいろあって更新を止めてます。忙しいんだよね。後、ネタバレ要素が増えすぎるのもよくないからね。作者の仕事が落ち着けば書くんじゃないかな?」




