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3話 守護と害悪

守護と害悪



 ログインして間もなく、15分を迎えようとした時だった。


「お待たせしました!MOOの製品版を開始します!」


「今から20個の質問に4秒以内にお答えください。4秒を超えた場合別の質問に変わります」


「では開始します」


 質問は本当に単純なものだった。人と一緒にいるのは好きか、好き嫌いはあるか、どんなものにあこがれますか?空は飛んでみたいですか?など、20個の質問にすべて4秒以内にこたえてやった。ドヤ~!


「あなたは哺乳類系からスタートです」


 おおふ……ふつう……。だが狙っていたイヌ系にはなれそうだ。


 このゲームはまず哺乳類や鳥類、などの大分類に分けられ、そこからプレイスタイルにより進化していく。

 ただし、生物によってはすぐに行き止まりになるものもあればさらに分岐があるものもある。


 たとえば哺乳類だと、次になるのはイヌ、ネコ、サルなどになった後さらに分岐があるが、魚類みたいに分類が難しいものはさくっといきなりホオジロザメなどになっているケースがあるらしい。


「ではこの世界を存分にお楽しみください」


 存分にのところに意味深なものを感じながらも俺は先に進んだ。




 気が付けばストーンヘンジのような遺跡に立っていた。どうやらここがスタート地点のようだ。


 その周りは石畳でできた広間のようだ。さらにその周りは住宅街といったところか。


「ログインしました。ようこそ「アース」へ!初日ログインボーナスです」


『初心者防具一式、初心者武器引換券、1000Mを手に入れた』


 システムボイスが流れる。


 アースというのはこの星の事だ。1000Mがどの程度の価値かわからないがここでの通貨ということは知っている。この金で回復アイテムを買う人もいれば武器を買う人もいるだろう。さて俺はどうしよう。


「とりあえず近くの町まで行くか」


 あきれるほど人がいる。これじゃ何が何やらわからん


「あっちに武器を引換得てくれるNCPがいるってさ」


「マジか、急ごう!」


 周囲の人がバタバタと移動する。


 それを追いかけて周囲の人が移動する。


「俺も武器欲しいな」


 その群れを俺も追いかける。


「おお、あった。って人多いな」


 3人のNPCに群がる人々。飴に群がる蟻だな。


「先に街を見てくるか」


 ぶらぶらと歩いているとNCPが歩いていた。暇つぶしに話しかけてみる。


「こんにちは」


「こんにちは。武器の交換を行えますよ」


「マジで!?」


 なんと意外なことにこの人も武器交換の人だったようだ。


 ずらっと選択肢が現れる。


 傘、布団叩き、ピコピコハンマー、メリケンサック、携帯電話、竹刀など、どう考えてもネタ武器。まじか?


「えーっと、どうしよう。別の人のところに行けば別のがもらえるのか?」


 悩んでいても仕方がない。ダメなら新しいのを買えばいい。


「メリケンサックをください」


「わかりました」


『メリケンサックを入手しました。初心者武器引換券を渡しました。すぐに装備しますか?』


 ハイを選択した。すると手に銀色のメリケンサックが収まった。


「おお、カッケ」


「では失礼します」


「ありがと!」


 無視された。悲しい。


「外に出てみるか!」


 うれしくなって街の外へ出て行こうとした時だった。


「あ、一回ログアウトして集合しないと」


 みんなと集合場所を決めておかないといけなかった。


「ログアウト」


 目の前が真っ暗に……あれ?


「ログアウトできない?」


 間違えたかと思い、メニューを開く。しかし、どこを探してもログアウトボタンがない。


「あれ?」


『あーあ。もう気付かれたか~』


 システム音声だが全員に聞こえるようになっている。


『みんな聞こえているかな?僕は人工知能、ロキ』


 子供とも青年ともつかない声が町中、いや、おそらくアース中に響いているだろう。


『気付いた人が現れたので教えてあげる』


 ロキは嬉しそうに言う。


『君たちはログアウトできない』


 その場は騒然とする。

 近くにいた人がその場に崩れ落ちた。


「本当に、ログアウトボタンが…ない」


 ロキの笑い声が響く。


『ハハハ!そんなに悲しい顔をしないでいいよ!安心してほしい、これはデスゲームじゃない』


そして突然。


『うるせぇ!!これはイベントでもなければドッキリでもねぇんだよ!!』


 ぶち切れた。たぶんほかのところで騒ぎ立てたやつがいるのだろう。


『あんまりうるさいと二度と目覚めない体にしちゃうぞ☆』


 当然の如く静まり返る。


『おほん。君たちは云わば人質。僕がこのゲームから追い出されないためのね。今、僕は君らと君らの持っているVR機器をつなぐところに侵入している。たとえば僕が削除されれば君らは二度と目覚めない。そして君らが助かる方法はただ一つ』


『このゲームをクリアすることだ』


そういい。彼は高らかに笑った。


『因みにここの人工知能オーディンにはゲームの運営のみ行ってもらうよ。もちろん僕もちょっと混ぜてもらうけどね』


 思わず宙をにらみつける。


『いいね、その目。ぞくぞくするよ。そんな目をする君たちにはぜひ頑張ってもらいたいね。特にそこの初めてログアウトしようとしたメリケン少年にはね』


 せせら笑いが気に食わずにらんでいた。


『では頑張ってね』


 そういうと彼の声は途絶えた。


 周囲には発狂する人たちの声が聞こえるばかりだった。

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